失ったことがあるのにわからない　脱ぎ捨てていく雷雨、制服

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ナイフより鋭き言葉忘れ得ず今宵は燗を熱くつけやう

質素から豪華へ流れ覆（ふく）したる歌人の訃報届くはつなつ

祈星（いのるほし）と書いてきららと名づけたるミニ豚を抱きあをく眠らん

温暖化進む地球にどの国が一番早く滅ぶだらうか

サラダ菜の先でくすぐりあうような青春というなまえの話

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一億の花のつぼみを踏み潰す時間、僕らは手を繋ぎましょ

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うつりゆく内ポケットには風邪薬熱き小銭と後ろ見送る

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あどけなき顔はすでに疲れをりリクルートスーツで受ける面接

目の前の喋り続ける母に飽き消音（ミュート）ボタンは何処かと探す

葉巻には火がつく新聞紙には蛾が落ちるあしたは夜まで雨で

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好きだから食券わたすこの廊下曲がるつもりもないのに曲がる

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罠なんてそこらかしこに落ちている使い古しのリカちゃん人形

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赤い花黄色い花の咲く中で水色の声探している今

単純に声として来よ、忘れよと吾を虐ぐるひとつ言葉は

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おとうとがほしいと言って困らせた誕生日だったお子様だった

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不器用な暑中見舞いとぬくもりを薄紫の葉書に込めて

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横浜の空気を詰めたプリウスで里帰りする姉御一行

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汗ばんだ手と手繋いであぜ道を渡る　ひっそり霊が見守る

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あぶり出しマスターすれば探偵になれると思っていた夏休み

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晩春の深夜喫茶で母のこと源氏名をもつおとうとに告ぐ

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教会の棚にグレコの複製画、剣太刀(つるぎたち)身に携ふるパウロ

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緊張のレベルほどよし詰襟の制服の首のホックを留めて

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窓に見る松葉に心和みゐしＮＥＣ松風台寮

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「あのラーメン屋実にまづいね」教会の長老がそんなこと言つていい？

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片方のなき靴下が四枚も出で来ぬどこにあらん片方

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春泥を玄関へ運ぶスニーカーただ叫んでははやも出てゆく

がばりっと落ちたパズルのここが目ということだけが分かる一片

さびしさに一羽死ぬるを見しゆえか怖じたるうさぎまぐわうばかり

袖ヶ浦ナンバーなぜか嫌われてコンビニ少女は立て膝のまま

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続柄に妻と記せるときめきがあったことなど夢のようです

意味のないこだわりとしてケータイは「携帯電話」と漢字で記す

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迷いつつそのままにする駅ビルのトイレの床に落とした櫛を

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生活のリズムが狂っているような <陸>がどこにもいない違和感

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ペンギンの色をピンクに塗りかえて僕ってとても正直な人

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やわらかなましろい声を聞きましたついに花弁になったお耳で

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初夏恵む新じゃがいもの贈り主はるけき北の大地を思う

「付き合ってみようか」なんて居酒屋で遷都論じるような軽さで

http://blog.livedoor.jp/catjun/

せり上がり突然切れる　どこまでも続くと歌う線路の終わり

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真夜中のキッチンで飲む眠剤は生まれる前のような白さで

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黒革の学生鞄の内側に蛍光ペンの友との誓い

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腰骨の黒子の星座これまでに発見したる女（ひと）たちのこと

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十余年消さずにあった落描きは写真の幼といま君の背にも

二番ホームにグレーのスーツのうづくまる｢持病の癪(しゃく)か？」｢否。携帯着信」

落ちたての松ぼっくりで厳粛におぼえたばかりのこんやくをした

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液体から固体へまるで魔法みたいと思っていたお菓子作り

いまさらねそれ位の善行じゃ上へは行けない蜘蛛救出茶番

時間厳守、走っても間に合わないなら泳いで行けばいいじゃない

本当にあるらしいたぶんもう手遅れチョコレート中毒重症患者

大きくなったらうさぎになるの　ふわふわの白い小さい赤い目の

これだけはゆずれないきれいな形弓型の眉マイアイデンティティー

得がたきもの　春の午後のうたた寝（春以外も可）

楽しくてたまらないならそんな顔すればいいのにまた落第点

今の私はどこにでもあてはまるだろうスイスの夜でもアラビアの朝でも

雪の日の教室の隅のストーブの上の君の指先

苺シロップパズルのかけらスパンコール陸ガメの目ほど深遠なもの

暖流と寒流交じり豊かなる魚の町よ猫にも刺身

人格はあるのかと問いし知事居りき脳性麻痺の賢は変人？

ベネチアングラスに合わない安ワインそれでも珊瑚婚はめでたい

お話の途中ですけどシンデレラ城は貴方と行っていません

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それとなく匂わせおれど振袖は辻ヶ花だと当ててあげたり

腹晒す数多の魚を見し園児大和は叫ぶ「ああみな死んじまった」

次々に目を輝かす幼子の泥の中なる蛙はおたま

科学の子〈アトム〉の曲に背を押され満員電車に挑む高田馬場（ばば）駅

http://yumi.myfws.com/

自閉症の淳の得意はジグソーのパズルその速いこと速いこと

疲れにはハーブの香り新しき脳細胞の生まれる気配

消防車の進路妨害ビル火事に集まる車と野次馬見物

官僚の保身を嫌うと言いにつつあああの人も結局同じ

絵を描きにプロバンスまで来しひとはひまわり畑の迷路に消えし

配偶者同士仲良きお陰にて確執消えしおとうとのこと

演歌にはあらず気品に満ちおりて友の歌集は「紫の雨」

文通の時代のありき長く長くついに逢いたる街は横浜

血と汗の報われざるは要領の悪き負け組「セールスマンの死」

「調査する後悔よりもしなかった後悔」ノルか浮気探偵

親子とはまこと遠慮な関係よ特に「結婚しろ」とは禁句

気まずい訳やっと解りぬ蠍座と魚座の背中合わせの相性

暖流と寒流交じり豊かなる岬の町よ猫にも刺身

暮れ早き深山に迷う乾電池切れる頃見えし小屋の灯

アリババと四十人の盗賊はまだ牧歌的　ブルとショベルカー

石畳の夢の坂道雨上がり中世の家並に虹の架け橋

テロリストＮＲ１のならずもの国家元首のジョージ・ブッシュは

母が居て涙乾かず自爆テロのイラク人にも米兵にもみな

液体の雪塩ミネラルカルシュウム毎日白雪姫を夢見て

ゴキブリとどっこい勝負いえ蜘蛛は殺してならぬ我が家の家訓

膝痛と運動不足の解消に泳ぐよ泳ぐ一・五キロ

冬山に行かざれば尚必携のチョコレート忘れバレンタイン忘れ

殺される為に飼われるうさぎにし化粧品テストにひとみを消費

影の部分思えど鋭き弓張り月凍りて黒き鉄塔の上

早く起き散歩一時間日を背なに読書とうたた寝うたた寝と読書

楽なこと楽なこととは思はねど万引き空き巣ひったくり強盗

フランス語を専攻するに合格のし易いと美保のアラビア語受験

引きこもりの圭がこの頃変わりたり絵画教室に自転車で来る

岩木山の山頂にして陸奥湾の形に両手を挙げて万歳

たそがれは総てを許し沈みゆく傷つけあいしこと多かれど

友というべたべたしたもの要らぬとう痛痛しきよ君の矜持は

主義者とう言葉復活日本的文化の範疇越える者見よ

焦点をはぐらかす術保身のみに非ずきストレス防ぐ為なれ

結構な声になるんだメガホンの選挙部隊が連呼し行けり

東京都調布市入間学園に入学安保闘争知らず

線路にはぺんぺん草の生えおれどマニア好みの単線単輌

眠るには般若心経二度目にはおしまいまでは行かざるままに

鞄にはパソコンあれど使えない朝夕立ちっぱなしのラッシュ

発見と思えど既に先人の歌にあるらん結局類型

汗をかく力も弱き母　われの若さは母を剋してもいた

時を読み機を見る力の弱き者われら家族は負け犬ならん

焼きトマト意外に旨し聡明な女と宣う美佳とサラダと

我らみな生かされしものか生くものか答えは泥にまみれまみれて

http://chiyako.exblog.jp/

月青き沖に連なる淡き灯のひとつに亮太は真夜を働く

咲き継げる椿に寒波強からんつぼみのままに転がるいくつ

ドスタール、シャガール、デフィー目移りて落ち着く先のマチスの色は

戦争のできる国にと声秘かテレビの愚かな笑いの陰に

いちやうにポーカーフェイスをしてをりぬ古式泳法の一団があり

下駄箱に棲む紫の蛇曰く「幸せ運んできたんじゃないよ」

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

変だとか変じゃないとかなんだろう宇宙に人がいることが変

寂しさに良く効くワインで染め上げたワンピースを着て通学をする

5分袖のブラウスぐらいがちょうど良い恋と無縁の八月だから

ひざうらに汗きらめかせ駆け出せばあなたの胸にひらくひるがお

http://www2.spitz.net/hinatsu/

音楽に聴こえるモーター　期限切れ食品廃棄計画の朝に

http://d.hatena.ne.jp/ggippss/

秋津島大和の民の寂しさにタッチ画面の犬ら尾を振る

http://www.geocities.jp/ymizusu/

つたうのは液体ただの液体だにじむ背中に未練などない

http://sbarazzino.client.jp

スキンヘッドの青きを見る今日三人目じゃがいも料理が食べたくなりぬ

http://www.scn.tv/user/nisi-t/takashi/

ミルキーな母、エールチョコレート的義弟を連れてきた夏のある日

ハツナツのみそ味にっこりラーメンも恋は辛めに七味唐辛子

おとうとに置き去られたる姉なれば借家にひとりピアノ鳴らしぬ

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まっさらの貸し出しカードを抱きつつ棚に眠れる紫式部

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横浜家一族の棲む土地なりき右も左も後ろもいまも

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かく汗の匂いもちがうこの町の人々すべて眠りおりたり

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尋ね人探せるふりで道すべて嗅ぎたるチビを探偵と呼ぶ

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＜立入リヲ禁ズ＞の文字を覆うがに草の茂れる転校初日

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世の中は矛盾だらけだ三河弁話せぬ背中にも耳はあり

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魚など金魚以外はみたことのない子の歩くスクールゾーン

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ふと君の乾電池よりいつわりのもれだす気配　黒板を消す

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野イチゴにツクシゼンマイ　盗人（ぬすびと）のわらわらふえる春の放課後

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靴下のワンポイントにクローバー　クールにラッキークールビズなり

意志を持つ髪をほどけば風孕み一人静に舞ひゐるごとし

窮屈な螺旋階段登りつめ灯台守は梅だと叫んだ

嬉しさで失ふ涙の泣きぼくろ　二つあるなら一初あげよ　

片付けられない女です

来し方の思ひ思ひ出憑依せし　もの・モノ・物等の九龍城を為す

変身のベルト売れ残り新しき仮面ライダーの説教くささ

http://www1.u-netsurf.ne.jp/~okiraku/

地下深き廃墟にワイン蔵はあり投機家たちはじき死に絶えむ

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ひじの下根拠もなしにびらびらと七分袖とは迷惑な丈

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食玩の大本命だ海底で大破の大和ジオラマキット

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靴なんて汚れて普通ほつとけば泥は乾いてパラパラ落ちる

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ホロスコープ描（か）き君との未来占ひぬ女（ひと）の憂ひをはじめて知りて

痛がりで傷つきやすいこころには常に麻酔をかけておきましょ

http://mizukiuta.exblog.jp/

ぞわぞわとやや右よりの胸騒ぎ途絶ゆれば寝ぬ余韻のなかに

http://homepage3.nifty.com/reikononamida/

ぎこちないをのこ見つけてダフ屋らはリップ売りつく横浜の丘

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

楽の字のさまにひらいて睡りゐるあなたの夢の旅路はそつと

農道の辻々にふと顔を出す泥人形が抱く百合の骨

http://www.geocities.jp/ymizusu/

夕暮れの金木犀の花陰で遠い二人の影を見ていた

http://ami.lovesick.jp/papillon/

どちらへも自由に行けるから進めない今われは十字路に立つ

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一瞬で浮き上がらせて落とされる君の笑顔は諸刃の剣

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制服を脱ぎ捨てて知る縛られているから安全だった毎日

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渡された松ぼっくりに手の温み君がまだいる捨てられずいる

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過ちを悔やむことしかできなくて、パズルになった世界を壊す。

http://www2.tbb.t-com.ne.jp/popgirl/

香料の味しかしないガムを噛む。涙が出ないんだよね今朝から。

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じゃあキミは立ち上がろうとする子馬にも無理すんななんて言うわけ？

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内側から腐って崩れはじめてるキャベツみたいな地球、まさかね

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男爵の選ぶ五月の女王様じゃがいも畑の朝のにぎわひ

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

寂しさもひとつの罠になりそうで夜の１０時に電話を掛ける

http://hp11.0zero.jp/173/25345225/

今はただ無意識な動作だけしたい歯磨きしよう洗濯しよう

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おもちや屋のぬひぐるみどもにみつめらる　まだなさぬ罪を自供せよとぞ

ふるさとの訛りなくして嘘ばかり携帯電話に捨てる・新宿

戦争を続けるためのエネルギー「愛」から得ている人というもの

櫛をもてオールバックを整へし横山やすしの昭和は遠く

三三七拍子のリズムで放屁する特技を持ちし伯父の新盆

三白眼の虜囚縊りし縄の輪の円周率は無限に続く

虫歯抜く歯科医すずしき眼を持てり麻酔の針のあまにがきこと

雨に濡れ光る線路のカーブせり重き荷持ちてひたすら歩む

スライドを映せる暗き教室に眠りつつ見る憤怒の仏像

ひそやかな思慕朝ごとにつめゆきし鞄の色の褪せしをまだ持つ

５０年連れ添いて来たる夫の笑み少年のごとと今日の発見

いつからか色を変えいる半夏生木の下陰に時移りゆく

ミニトマト夫作りしを皿の縁に飾りて今日のサラダ華やぐ

隔てられた夜の中庭ひたひたと茉莉花の香の水位が上がる

http://catwalk.squares.net/

足早に追い越し行きし異国の乙女は淡き香を残す

早春の時刻表には終点の始発列車がカーブを描く

http://blog.livedoor.jp/catjun/

取り分けたトマトサラダは昨日よりボサノバじみて滴っている

http://blog.livedoor.jp/catjun/

淡々と生まれる言葉青空に積乱雲を呼び寄せている

http://blog.livedoor.jp/catjun/

とんがりし唇花のつぼみのようふくれても泣いても可愛い吾が子

母われの前では無防備湯上りの娘の肌の色生き生きと

早口の講義追いかけノートとる先生の低き声好もしく

愛しあう官僚たちのささやきは東スポ休刊日の影にて

http://homepage3.nifty.com/k_k_s/

黒きうさぎ目の前に出でてつまづきぬ　凶なるやはたまた吉なるや

擬態語は表現の自由　水泳をするまっすぐな腕はぴきんと

http://psyco.jp/suruga/

六つに割るバスケットボールの影追いて補欠選手の足音の啼く

発汗は生理であってこの汗は僕の管理下にはありません

気になって眠れないので今日までで探偵業は廃業とする

禁じてはいないし禁じられてないが僕を見つめていないのは何故

十字架に眠るイエスを見上げつつ確かに赤き血を抜かれをり

http://homepage2.nifty.com/sora_uta/index.htm

老衰のうさぎの背から抜けた毛は雨に流れた　ひじが冷たい

少年は数千年を待ちわびて校舎を仰ぐ　弓のみを手に

多分きっと大事な手紙汗をふき孔雀をつれて詫びにくる鳩

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

「お前って男じゃねえの？　本当は」罠と知りつつ投げた珈琲

http://love.ap.teacup.com/watashinouta/

制服のおぞましき波さからうて一本の道われは来たるか

一服に終へし青年向ふ途の松の青みの鮮やかにして

ラーメンも商ふちさき甘味処北千住の駅前なりしが