携帯の着信音をショパンから六甲おろしに変えた雨の日

赤い靴履いてる娘は未だ消ゆイメージのある横浜は今も

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安宿の洗面台で櫛の歯をはじいて爪の不揃いを知る

お変わりはありませんかと尋ぬれば空の櫃見す伯母の福顔

雨の日の欄干を行くかたつむりの螺旋模様が嫌ひなりけり

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泣きぼくろこんな人には会つたことありませんぼく泣いちやひますよ

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我こそはアインシュタインの生れ変りと信じてゐけり高校時代

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ヒロインの名前に使われそうもない花ばかり選り花束にする

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（運命デモ英雄デモナイ）交響曲第四番って何だったっけ

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わが眼には雲を呼ぶ龍野外映画会よくありしこの寺の松

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このよなかリズムがあわずばらばらのままであなたと次のよを待つ

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憧れの歌手なる君がソムリエとなりてワインを注ぎ給へり

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君の庭に見たり半袖より出でし白き腕(かひな)と君の子供を

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本当の大和(やまと)はどこだ検索をしたれば大和(だいわ)ばかり出で来ぬ

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美しき野鳥の集ふ真泥(みどろ)池「真」の字もらひわが名は成れり

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パズル解くごとくに楽し定型のリズムに合はせ文字を入るるは

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古き良き和食の膳に私だけサラダボウルを持ち込む異分子

あの淡い嫌悪の感じ隠せずにふたり眺める夕日すさまじ

咲くつぼみ咲かないつぼみ湯の中に命を止める日常のこと

想定内でしたか？水無月にじむ壁変色進む家族写真は

されどいままぼろしの兄の声はせず真直ぐな道にただよふ陽炎

影ながきマンモス団地の六階でゆっくり繭にくるまる継母（けいぼ）

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変人と個性的との差は何処にあるのかわからず君を見ており

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「いつ飲むの？」聞かぬふりして寝かせおり一本だけのワインを守る

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袖無しのＴシャツ着られぬ中年の我には元々振り袖のあり

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ちんまりと大和三山座しておりいにしえ人の恋を語りぬ

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歩き方下手なわたしのふくらはぎ泥のドットが雨降りにあり

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バラバラのパズル拾いて組み合わせ記憶を辿り我は創らる

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残り香の消えないうちに思い切り深呼吸して肺に刻まん

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馬鹿なのはわかっていてもあなたには言われたくない大きなお世話

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官僚の完了形は天下り我には無縁の世界なれども

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迷っても迷わなくても選びたる答えは同じそれでも迷う

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おとうとは生まれた時から姉がいて疑いもせずおとうとでいる

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目を細め紫の煙くゆらせて独り佇む女になれず

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赤い靴履いてる娘は注意して異人住む街我のイメージ

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真夏日のエアロビ背中に汗流れ痩せた気になりぐびと水飲む

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探偵になりて自ら観察し報告書には如何に書くらむ

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禁断の木の実囓れと唆す蛇を愛したイブの血騒ぐ

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相談は答えを求めるためならず背中押さるる口実欲しさに

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人間は魚だったと聞いたから捌かれたくてこの身を開く

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それだけじゃ役に立たねど乾電池君は動かず誰かを動かす

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罪なしと開き直りし手にしたる枝を誇れり花盗人は

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いくつもの橋はあれども渡るべき一本選べず遠回りする

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西部劇なくてはならぬならずものガンマンだけでは映画にならず

楽園は追われてもいいときどきは疲れてもいい　眉を描き足す

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アラビアの砂漠のいだくオアシスのオリーブの眼もう押しもどせずに

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教室に忘れたはずのパステルが誰かの指を染めるゆうぐれ

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タグボート揺れる水際　踵から陸の左岸の灯台になる

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シジフォスの群れをしばらく匿ってたそがれの都市緑地公園

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友だちというここちよさつやつやのこの玉虫のせなかはみどり

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平和主義とよべば儚い虹が立つ　たたかったあといつもくるしい

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気持ちよく息ができない焦がしたというよりは煤まみれの胸で

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メガホンはそっとおろして聴きあてるあなたのなかにほそく鳴るＡ

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２．green

影ばかり（けいかくてきにつくられた湾岸都市の）風はとどめて

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液体のように温度と圧力がかかるとラブさえ凝固するでしょう

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夏廊下右に曲がれば鉄の扉裸足のままで真っ直ぐ進む

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題三つどれに詠もうか三ヶ月やはり詠めない丹古母鬼馬二

風邪の熱下がって満たす空腹の幸福朝のミックスジュース

オール明けじゃがいも剥いてそこまでで眠るとろけるシチューは明日

ひとを食つた顔してＮＯＶＡのＣＭに桂枝雀（しじやく）出てをり　六年の白（びやく）

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母の手の届かぬ場所に眠る子の額を触れる風でありたい

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巣を持たぬ狩人蜘蛛の足高く積みて燃やせば釘生るるらし

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老婆らのふしぎな肉体がふしぎなリズムで踊るいきいきサロン

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ビリーの曲聴きしそののちどんな歌もただうすつぺらに思へるは何故

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四十のわが生まれ日に届きしは四十本の薔薇の花束

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穏やかな四月の海にきらきらと春を告げゐる陽光遊ぶ

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未来にはサイバースーツ量販店なるものありて賑はひてゐる

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振袖といへば今では二の腕の弛みのことなり、さらば夏の日

しかすがに大和しうるはし夏深み空の紺碧海の群青

留守がちな君のこころに置手紙しているように話しつづけた

http://www.geocities.jp/nannokanno575

蝋燭の香りただよう闇に座し死者の吐息を耳元にきく

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弁当を忘れても傘忘れるな　但馬に住むなら常識である

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願ひごとより恨みごとれんれんと絵馬に書きをり春のゆふぐれ

伊勢海老を餌に使ったくらいでは官僚を釣ることはできない

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人様に道を教わるくらいなら迷ってるほうがなんぼかマシだ

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その茎と縒り合ふて立つ螺旋花は定めのままにくれなゐひらく

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

１０月はたそがれの国　逢うときはいつも違った顔に思える

http://psyco.jp/suruga/

現実に夢のナイフを突き刺して引き裂くごとく詠まれゆく歌

http://fairydoll.exblog.jp/

アラビアに影の倭たしが向かう午(ひる)　乳香の木に絡みつく月

http://blog.astra-miya.com

火(ホ)の国の旅路に鱗生やしましょう足の裏には倭(ウワイ)語教室

http://blog.astra-miya.com

優作に街に戻れと囁かれグラサン片手だ気取る探偵

http://www.natsuse.com/diary/

　折節や　漂白剤で変わるならフキンのついでにつけてみますか

透明なワイングラスを描く色をみつけてきてね　ゆびきりげんまん

ラーメンの湯気と一緒に白濁させたい昨日と今日午前二時

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心にも健康であれスポーツに菜園作りにいい汗をかき

謎解きも知らぬ異国も不思議ゆへ探偵シリーズ夢中で読みぬ

泳げないひとが指差す澪の黒　月に喚ばれて大潮が来る

http://www.geocities.jp/ymizusu/

子どもらにお手本示し今日からは煙草の宣伝禁止となりぬ

柊の香りよき花背中見て育つ子どももほのかな匂ひ

上陸せよ海豹(アザラシ)を抱く倭れの瞳(め)に映る星その海から此処へ

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たそがれ　ノーサイド　絶交を恐れて世界を売った日の御子　私生

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友よ隠れよ三重に偉大なる鬼の右目の果ての倭国に

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五十鈴鳴る風を三つ編みグノーシス主義を靡かせ倭れ一つの身

http://blog.astra-miya.com

焦点は天狼の眼“Misirlou”吹かし倭れを追い越せ幾億の天

http://blog.astra-miya.com

標本にして愛したいチョコレートにのこされたうつくしき歯の痕

まなうらへ満ちるみどりに野うさぎを放ってあそぶ詩の生れぬ日は

画面ではマリオは駆けるトンネルを私も未だ迷路を抜けず

朱鷺色の空のメガホン高らかにわが罪状を響かせてをり

ＢＳの都はるみの恋歌が危険水域　逃れ来よ君

おとうととおない年の癒し系あと二ヶ月はふたつ違い

気体にも液体にもなれない君は君だからいい　ゆるゆる眠れ

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紫の雨音強く声消され別れの予感受話器の奥に

交尾とは己が半分与うこと赤きワインに泥水注ぐ

灰色のアスファルトからじわじわと天変地異は為政者の罪

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二丁目の明治屋を出る白ワインの緑のボトル二本抱えて

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片袖が翡翠色したimをエスカレータの正面で待つ

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初役の按摩宅悦大和屋は恐がりと知る八月の闇

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Tiffanyの脇の細道　うすく泥のついた踵の跡を残して

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伊東屋のパズル売り場で見失う銀色のたま百八つほど

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森林という名の香が下オリーブ核を経由して左手を染め

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馬場先門の角を曲がれば等身大の緑のワニが待つ丸の内

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国家公務員一種試験（こくいち）を受けて来年官僚になる友人のレモンイエロー

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迷子は青いズボンをはいて受付嬢の手袋の手を離さずにいた

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死にかけたおとうととして肘を抱き夜明けの枕に白い雨降る

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うす紫の新書サイズを捕まえたブックセンター三階のレジ

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ヒトといはれるモノがなにかすればすべて死ぬヒト進む食ふために

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風に色はないもの？いいえ、そのいいえ 草食獣の笑ひを笑ふ

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結婚も子づくりも新居購入も計画通りのＷ氏おそろし

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穏やかな時間（とき）がゆっくり過ぎてゆく　あなたの愛は届いているよ

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　　長嶋茂雄氏、七月三日東京ドームで広島戦を観戦。

計画通り < ３ > の付く日に復活をとげたるひとの哀しみを知れ

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暖かい海の中から陸地へと打ち上げられた人たちの群

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薔薇の名をあたえられのち人の手で姿かたちを変えられた花

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炎天下なんとか喉を通るのは冷やし中華と冷やしラーメン

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右足の僕が見つけた左足　君のことだと叫ぶ靴下

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気にかかる眼鏡を覆う前髪が切れ切れ切れと鋏突きつけ

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私にも螺旋階段設置希望　無限に続く巻貝の殻

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昨日まであったはずの泣きぼくろ皺に隠れて今日は見えない

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結婚は姓と戸籍が変わるだけ　ほかには何も変わっていない

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つつましくいのちは続くときに人を愛して愛されぬと覚悟して

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海馬よりまだ奥にある抽斗を覗けば赤い濡れた手袋　

おばさんの靴下らしきものなれどいまどき流行りの靴下でもアル

四分音符むすんでひらいて何のリズム？　きゃっきゃと笑う幼子のゆび

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切れてるか続いているか分からない。わたしにとってあなたはなあに？

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なあ奥よ、麻酔をせねば死ぬるじゃぞ。何言うたとて儂は気にせぬ。

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額づきて許しを乞ふも詮なきや人の心のうつろひやすきを

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　　　6月、変な人

変若(を)ち水をもとめて月下、夏生とふ美(は)しき名のひとと「カフエバー青」へ

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チョコレート風味のラブ・ローションの中途半端な粘りか愛は

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真夏日の井戸にこぼした青インクじーちゃんが見た海より蒼い

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返す気はあるんだけれど延滞を続けつづけて返せない男（ひと）

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簡単に「麻酔ください。」などと言う病気は人を病気にさせる

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紙は裏も使いますプリントはモノクロですでもラーメンはチャーシューがいい

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泥鰌屋の二階でどぜう鍋の由来など読みふけてをり　あつ、　　花火

ンパタンパ、パパズルパタン捨てられぬ文化屋雑貨店のブリキのお猿

「おい、これも不良品だ」と父は言うくぼみのついたチキンラーメン

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抜け殻のように靴下脱ぎ捨てて十七才の乙女　大の字

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官僚の増毛計画つつがなき日本の夜を鴉啼き交ふ

さきはひを告げしジプシー占ひの水晶球を砕きにゆかむ

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胸騒ぎに揺るがぬ決意したならば女たるもの泣いてはならぬ

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発見という語を用いて歌をよむ題詠なればこそのことなれ

ただ生きているだけだけど時を経て鬢に霜置くよわいとなりぬ

エクレアを肴に酒をのむ私　何でも食えといわれ続けて

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アサシンの縫い止めた影逃げられぬ敵を弑するときの君の眼

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この世界が変わった日から十字架もここでは処刑の道具に過ぎず

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また一人仲間が去った幅広の剣をショップで購ううちに

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守護騎士の赤き制服モーニには似合わないから止めておきなよ

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松籟を呼ぶ狙撃手の剛き弓きっと心より遠くまで届く

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あのパブにラーメンはありやエメットが啜っていたならそれもまたよし

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狙撃手の新たな装備靴下と靴と帽子と鋭い目尻

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白き髪に神は宿るとダナは言う小麦の肌の白き入れ墨

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平行の螺旋を下りゆくように二人の少年二つの冒険

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エメットもマッケンローも泣きぼくろの女に引っかかったらしいよ

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湯上がりにシーツで溺れ汗冷えてつめたい腕に身を押しつける

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探偵になりたい君を調べたいどこで食べるの？誰を見てるの？

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君こそが禁止薬物実力をはるかに超えて走り続ける

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追いかける君の背中を夢でああ翻（ひるがえ）る羽毛布団に朝日

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となりあう未来は優し　おいてきたつもりの過去の傷痕舐める

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薫り立つパン一切れに似合ひゐる程良き主義の二つ三つなど

雨と知る最初のしづく胸にああぽつりぽつりと降る焦燥は

蜘蛛の巣で作った橋がため息でほころぶ　子供にもう戻れない

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おばQ漫画に出てゐし「小池さん」いつもラーメン啜りてゐたり

靴下が脱ぎつぱなしにされてをり夫がテレビを見てゐしあたりに

前髪を風に吹かせて一歳児乳母車より小さき手を振る

灯台のてつぺん目指し上りゆく急勾配の螺旋階段

泣きぼくろいつの間にやら消えてをり　幸せさうな友の目尻（まなじり）

ブランドの店が並びてすまし顔　すつかり変つてしまつた銀座

南天に魚族の子らは集ひて鱗が光る眼(まなこ)が光る

不可思議な狐の手袋咲き始め　乾電池には妖精が住む　

　　「体脂肪率なら２０％未満は適正値か……」と、
　　　われ思ふ。「君が代」の流れる数十秒間に。
　
布きれの二割弱占むる緋の●を痩せさらぼへるボクサー見上ぐ

http://www8.plala.or.jp/haru3-kan/

早春の庭にうさぎの親子ありにんげんの子を隠しつつ見る

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いつの間にか吾子の目許に泣きぼくろ生るるを知らず暮らせり四年を

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

サメのいる海に架かった橋として平均台を渡ってたころ

憧れていた探偵物語はスクーターだったのかもしれない

http://homepage3.nifty.com/k_k_s/

太陽を盗んで壊し粉末はパックに包みフリマで売るんだ

http://punk-boom-bang-ex.txt-nifty.com/draft/

発火する勇気がすこし足りなくてボクはいつでも０次元のまま

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いじめ見ぬ振りして袖手おそろしや三十九人無言の仮面

膝上にうすく残った靴下の跡なぞられる梅雨が明けない

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ゆふされば黒衣をまとふ防砂林なみだはいかに流すべきもの

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もう既にどこか毀れてゐる真昼キャベツは種子を太らせてゐるか

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ポエジーはフォルムの上位概念かサラダの歌がなかなかできぬ

　ひとを恋するたったひと目が確かならナイフでえぐり取るべきものを

あまりにも遠く届かぬものを恋えば湯上りの裸身　手を空に挙げる

　夏なれば寒色系を装いつあやうし暖かきこころ　たった一つの

通せんぼするかに薔薇の棘の門少年の血は真白に浮きつ　

巻いていた髪を下ろしてまた巻いてお鍋を焦がすその髪の色に

珍しき街をめぐりしマラソンの完走者なんて絮の来しあと

放し飼いの文鳥と言へど目の動き審査員の主役つとめる

英語のアイエヌジーほどの未来をば共有したき一人と逢ふ