しんにゅうは蕪（かぶら）ペンこそおもしろく青のインクがのたうちまわる

　　　5月、失楽園

顔じやないといふほど顔は大事なり鰐の背中のアボカドひらく

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大和煮の空き缶ひとつ捨てられて雨水をためている草むらに

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公園で猫をかまった代償に泥　このところ<陸>に会えない

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ＣＭの女子十二楽坊歯切れよく柑橘系の香りの音色

口ずさむ　頬に小さな　泣きぼくろ　愛しい人よ　なつかしの曲

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リトマス紙　色が変われば　酸性か　アルカリ性かナ　はてどっちだっけ

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ものがたりは生死を超えて螺旋して千年のちにまた逢うでしょうか

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葉の茂る垣根の隙より顔を出す猫は探偵のような眼をして

水たばこをくゆらせて見る太陽が液体となる無防備な夏

しゃぼん玉が日差しに吸われる時みたいに禁句がひとつ放たれてゆく

ママレモンのうつわはげしく黄を吐いて母は強くてカナリヤでした

皇室に女帝現(あ)るべし液体に属す胎児と乳となみだと

ぶらさがる蜘蛛に吐息をふきかける黄泉に春夏秋冬ありや

塩素入りプールに泳ぐ子らの足流木のごとつややかにして

チョコレートを作りしおとこ艶ふかき加加阿の精に恋するけはい

銀色に細く張られし蜘蛛の糸夜に帰れば見えなくなりぬ

覚えあるピアノの音が聞こえ来る貴方の空を泳いでいたい

生の香と死の香を含む赤ワイン我の闇夜に命与えよ

屋根裏の父に憑きたる白髪鬼蜘蛛の巣被り床板破る

円月が平らかに浮く渡月橋　望まなくとも受胎する日は

愛されて大きくなった泣きぼくろ その指つぎは何を抱くの

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赤ワイン　お客様への　おもてなし　隠れて味見　私七歳

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両袖を　胸に抱いて　遠目線　潮来出島の　あやめ咲く頃

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その昔　大和撫子　女道　時は流れを　変えうるものと

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幼い日　父にもらった　髪飾り　落として探す　雨の泥道

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携帯にぶら下がってる十字架は何にも言わず吾を見据える

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やさしさはこがしてしまえ都会ではドラキュラアメは売られていない

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黒板の相々傘の落書きを窓より照らす月の清けき

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今もまだぬいぐるみでは癒されず明日はポチの三回忌なり

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あたくしを待ち受け画面に封じ込め携帯するなど笑止千万

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酩酊の果てに出会いし飯盛りの行灯の火に揺れる泣きぼくろ

制服が脱げないことを理由にし明日明日に延ばす告白

http://hp11.0zero.jp/173/25345225/

どんぐりや松ぼっくりでコマ作るギリギリ世代なのかも、私

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寒い日に屋台でラーメン食べる日を夢に見ながら二人で暮らす

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こたつでは君と私の靴下の片っぽだけが温められて

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たそがれて言い澱みしまま見送れりみづから敷きし道行く女を

自らのリズム守つてそれぞれに歩めばいいと折々に云ふ

http://homepage3.nifty.com/flat_m3/

戴きし歌集に友の哀しさを知りたる夕べに山茶花の咲く

祖父は主義捨てたがに柔らいでアメリカさんとつぶやいていた

終戦の幼なに歌いしバラの花焦土に咲きし今年の街にと

映画村ヨーイと響くメガホンの聞こえるがごとあなたとの旅

桜咲く散る祈る匂う王朝の雅びの人の都ぞ偲ぶ

一度は廃線となりし電車路　線路生まれの草逞しき

眠らねばならぬならぬと思いきに眠らずこの手で編み物白夜

嗚呼と言い運（うん）と応えて豆蛸の並び干される異次元の軒

われよりも『聊斎志異』を愉しめる紙魚か銀色にその身体透く

http://www.scn.tv/user/nisi-t/takashi/

櫛の歯の欠けるが如く学び舎の集い抜けゆくそうそうの友

http://www.rak1.jp/one/user/owo/

あっけなく引率の先生溺死する真空な夏が連れてきた異変

http://spaces.msn.com/members/matsugumi/

蒼天の水面を泳ぐ竜の背のうろこが舞い降りるほど五月

http://www.geocities.jp/xmqds750/index.html

赤ワイン透き通ってくるあの頃が星を見る頃雲を見る頃

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母の袖汗の噴き出す手で掴む叔父の戦死など知らないけれど

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好物は大和の国のジャムパンで祈るのがクセ青い目の友

http://spaces.msn.com/members/matsugumi/

ボール追い泥まみれの青春を演じ続けた絵のような夏

http://spaces.msn.com/members/matsugumi/

汗かいた？罪深き夜の帰り道忘れて君の背に頬あてる

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=saene

探偵が来てくれない日はなんていうか犯行失敗怪盗冴音

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=saene

チョコレート包むことなど知らぬままひんやりと生まれくる銀の紙

http://www.geocities.jp/xmqds750/index.html

産声は予感　世界は難解で泣くより他に解法は無い

http://d.hatena.ne.jp/mas0721/20050521#1116638654

引き潮の浜に釣り師の足跡が一直線に岩を曲がれり

はつなつのさ庭に咲けるジャスミンの花束の香なりとせめて届けよ

もっと死を、死体を見せてはくれまいか戦を続ける者たちのため

http://www.geocities.jp/nannokanno575

狩人の姿形は見えねども梓弓てふ月を待つらむ

うたた寝はこくり雛罌粟てのひらは皐月の風にゆらゆらゆらり

たそがれに染まる項に歯を立てて（蜜柑味だね）（オレンジだってば）

http://takaokaism.ciao.jp/tsumugi/

橋の上進めないしもう戻れない。知らない不安。知ることの恐怖。

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てのひらをこぼれてくだけていく命。ならずものめが。ならずものめが。

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祖母はいま昨日と同じ天井を見つめて今日を生ききっている。

http://www2.tbb.t-com.ne.jp/popgirl/

続くからずっとなぞって歩いてる煙草畑に落ちる夕陽と

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

魔女みたいグルグルグルとチョコレート笑い皺のみ男ですけど

http://punk-boom-bang-ex.txt-nifty.com/draft/

十字架にいたぶられたる魔ものらのなみだを吸ひて慈母のごとしも

http://page.freett.com/willows/zp_tanka/pillow.htm

　　　5月、失楽園

制服の子らが笑つてすれちがふわれの母の祖母の魚影のやうに

http://www15.plala.or.jp/kasane/

（ハッサクは、ミラボー橋を渡りきると、橋の袂から５、６軒さきにある安い酒場《あるでん亭》の中に入っていった。ハッサクの後を尾（つ）けてきた探偵は、ちょっと立ち止まってハッサクが店内に入る様子を見ていたが、ひと呼吸ふた呼吸してから、ハッサクを追いかけて店内に入っていった）

中華風チマキが美味いゾ！！　紹興酒注いでゐる主人はフビライ汗（ハン）の末裔

http://www.h3.dion.ne.jp/~be-toven/

袖丈のあわない服を着るごとき違和感と思う母との会話

たそがれるふりしてたてた聞き耳　窓の外など知らなくていい

前のめりで進むあなたも好きですよ　都会の月はふっくら笑う

http://blog.livedoor.jp/kirin100/

かぎろひのフエアリーテイルを原色に染めて優雅な蜘蛛女のキス

どれほどの量の麻酔を打ったなら地球の痛みはやわらぐのかな

http://www.geocities.jp/nannokanno575

何色の額縁だってかまわない壁に飾っておくだけだから

http://www.geocities.jp/nannokanno575

白壁に青いインクをぶちまけてひとりじめした僕だけの空

http://www.geocities.jp/nannokanno575

並走する闇　ずれてゆく次元　満月というひとつの答え

http://www.geocities.jp/nannokanno575

横顔で拒まれている夕暮れに馬酔木こぼれてそこだけ白い

http://www.tcp-ip.or.jp/~panse219/index.htm

焦がれてた　私の隣りにすっと立ち、同じ目線でものを見る人

http://d.hatena.ne.jp/megumiiwasaki/

蜘蛛の子のかそけくありて風のなか糸光りつついつまでか飛ぶ

八月のＷＷＷゆ剣太刀戸栗郁子（東京ローズ）の麗しきこゑ

http://www8.plala.or.jp/haru3-kan/

置きて行かば妹はま愛し持ちて行く梓の弓の弓束にもがも（読み人知らず　万葉集）

離れてはいとど愛(かな)しも防人の梓の弓となりて侍らむ

http://www13.ocn.ne.jp/~mimisong/

子守唄うたひし人のうたた寝に微笑みて風の通りゆくかな

http://www13.ocn.ne.jp/~mimisong/

ちっぽけな背中に七つ星を背負いテントウムシが飛び立つ宇宙

http://yumi.myfws.com/

完璧なカップ焼きそば夢みてる第二土曜は湯切り教室

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

わたくしの精魂こめた文章もあなたの剣でずたずたになる

続々と押し寄せてくる人並みの一人となりてにはかに竦む

http://homepage3.nifty.com/flat_m3/

プリズムに透かすあなたの胸の内実は見えねど色は様々

http://www.rak1.jp/one/user/owo/

中学の修学旅行でおとうとが祖母に買いきし柘植の櫛なり

http://fairydoll.exblog.jp/

見る人の角度によって異なった色に輝くプリズムに似て

http://fairydoll.exblog.jp/

僕たちはアダムとイブの真似をして林檎をかじり歯茎が痛い

http://blog.livedoor.jp/ammy/

自転車の籠の中なる鞄から早く帰れと携帯の鳴る

夫のため禁煙飴を買ふことに愛と依存はいくつあるのか

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

この年になりて発見せし黒子耳の後の幸せぼくろ

この街の花告げ人か桜纏い時を喰みつつ角曲り来ぬ

スーパーのサラダコーナー春めきて薄物野菜あはあはと居る

淡紅に染めたる爪をかざし見る未だ私も乙女を持ちぬ

ゆすら梅小さきつぼみ気配して庭の花々一気に芽吹く

桃色のセントポーリァ雪消えし窓辺に移し春待ち紅茶

声のなき言葉　纏いて坂をゆく逝きまして夫三年となりぬ

時を編むかぎ針ひとつ持っているレースの模様はまだ分からない

http://cahier-bleu.cocolog-nifty.com/izu1969/

仔馬にもどくんと脈打つ心臓はあり儚くも立てないままで

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

二色の独楽を聴きながら永遠に眠る準備をする落陽

http://homepage3.nifty.com/k_k_s/

兄姉もおとうといもうとジジ・ババも生まれし時より吾にはあらじ

http://kadesh.air-nifty.com/tanka/

紫を堪へて白を祝ひなば紅白そして緑の続く

http://kadesh.air-nifty.com/tanka/

一冊をどこまで言葉で埋めてもパズル雑誌の変わらぬ軽さ

http://yaplog.jp/noma-iga/

　　　(4)空欄を埋めてみても

自意識は人に見せたくないものを耳のうしろでミモザが香る

http://yaplog.jp/noma-iga/

長老に案内請ひて横浜の史跡巡りしより十年過ぐ

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山頂を吹き抜けてゆくそよ風が拭ひし汗は霧となるらん

http://kadesh.air-nifty.com/tanka/

宿世とて来世とて手放しはせぬこの官能の櫛おみなならばのう

わが脳を無線使ひて調べたる探偵のごとＭＲＩ

http://kadesh.air-nifty.com/tanka/

ブランドの名前みたいにミリタリズムなんていわされたくはないけど

結婚は幸せですか甘い甘いムースの中を泳ぐみたいに

おとめごが想いを託すチョコレートはいつも彼女の血の色と味

潔白を表す白を選び得るならばうさぎの白でありたい

おーぷんざせさみと唱え目を瞑り麻酔界へは耳から入る

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

ちちははが口ぎたならしく　唾きとばし喧嘩しをるを　九歳が傍に叫びぬ　咽喉裂きて「仲直りして！」　泣き叫び「仲直りして！」　此の世の果て置き去りされし　絶望のこゑしぼりだしぬ　九歳のあはれに生きぬ　責任はただわれにあり　情けなきふがいなき身の　おとこなる父にあるものを　九歳をきのふも今日も　かなしませをりぬ　（九歳の未来（みらい）に）

もはや大人（おとな）の九歳ならばあはれこころに占める思ひに哀しみの充つ

http://blogs.yahoo.co.jp/mirainozom

接続が簡単すぎて大空は耐えきれなくなる青い、あおい死

宝剣のねむり恋ほしき夜なりけり愛しき者よわたしから去れ

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泳ぐほどかなしくなつてくるうみをおよぎきるころみづどりになる

遠い夜　娘の顔に泣きぼくろあるをかなしむ母を見上げた

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（夕方、全ての手続きが済んで晴れて釈放されたハッサクが警察署の門を出てきた。辺りをきょろきょろ見回すが、出迎えてくれる人が急に湧き出すわけもない。ハッサクは首をややうなだれるようにしてミラボー橋方面に歩き出した）

門扉のかげに探偵は五杯目の珈琲を飲みぬミラボー橋から霧は流れて

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じんわりとぬくみを伝ふおとうとの小さきてのひらを失ひき

http://homepage2.nifty.com/sora_uta/index.htm

開かれて蒸れた雌蕊は父求む　蜜蜂といふ探偵を呼ぶ

奥鬼怒に解禁来たり　沢渡り谷間の岩岩山女の誘（いざな）い

夜が更けたうしろのボタンはずせない　もうとどかないわたしの背中

魚つかむ川面が顔にゆらゆらと光が変わった僕等の五月

埠頭には乾電池はずしたトラックが貨物船待つ有明の海

空洞を埋められしその一滴　青信号に盗まれてゆく

和歌詠むは大和に続く心ばえ風雅に遊ぶまほろばの夢

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黒鍵を選んだやうに降る雨は六月鬱に麻酔をかける

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　書き順を知ってはいるが思わずも自己流が出る飛行機の　飛

　ちょこなんと出窓にすわるぬいぐるみ窓際族の熊のプーさん

妻は夫を携帯し夫は妻を携帯す　離れて思えば

月待ちの夜の畳に落ちている櫛なんて云うもの　ちょっとやりすぎ

それぞれに別種のリズム打たせつつ起承転結の異なる家族

くるまれど吾を抱きてはくれぬのか洗濯糊のきいたシーツは

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図書館に満つるこころはふくらみて帰路の急坂転びつつ下る

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ぬいぐるみに母の温もり求めては裏切られてたシャボン玉の向う

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君の持つ携帯灰皿こじ開けて過去を棄てなむ懐古はすまじ

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深く深く海より深く沈みたし十万馬力の心持たぬ吾

正露丸のにおいにむせぶ寝待ちにはうさぎを一羽枕辺に欲し

矢を打てぬ弓にて弾かれ旋頭歌のごと低音を歌うかチェロは

そらみみでディヴェルティメントは聞こえれど憂きうたた寝は歌を殺しぬ

あだ花のひとつでも良い咲けたなら額で睨む癖もやめるわ

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

金づちと千枚通しでの「解剖」に耐えていたあの古乾電池

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うみほたる横浜近くなりにけり片道代が多少かかるが

お腹くらいぺこぺこになる　泣きぼくろ流されるほど泣いたあとには

http://www.mag2.com/m/0000121502.htm

抱きしめて我の頭を撫でし人母のようにも空のようにも

冬ごとの変身の果て僕たちはやっと小さな李になった

http://www.mag2.com/m/0000121502.htm

液体になったり固体に戻ったり午後の古文書学の眠さに

新聞紙丸めた剣を背に帯びて影と闘う三歳の夕

十字路をいつしか君が通っても　運命的に時間がずれてる

厚情に悪いんだけどと剣を刺すあんたどこまで悲しい性格

制服の君しか知らぬ僕の夢　窓辺の席の頬杖の君

松でなく竹でもなくて梅でなく　ただ一本の名もなき木の我

阪神が逆転勝ちで勝った夜　スポーツニュースとチキンラーメン

靴下の穴を見つけて笑う娘（こ）よ　他生の縁を拾っておくれ

気づかない僕の目のさき現れて　その後ろ髪引けというのか

ぐるぐるが頭の喉にひっかかる　みては忘れる螺旋語の夢

幾千万の雨粒の喜怒哀楽を忘じとたった一粒泣きぼくろ記す

君のまま変わらずにいてくれるなら　僕を忘れる許可証出しましょ

所在なげワイングラスを揺らす君　眺める僕の音のない夜

長袖を腕まくりする人が好き　夏来にけらし君いなくとも

まんなかにあるのに何故か遠回り　奈良の都と大和歌かな

えっへん僕は泥んこ泥んこ泥タロウ　なっ　おこらんといてやおかあちゃん

何の絵か分からぬままに終わるかも　人生というジグソーパズルは

きっと今君も珈琲すすってる　香り繋がる僕らの暗号

ポッコンポッカ子達(こたち)を乗せて馬車が行く　大きなおめめに秋空高し

二度までは仏の父でおりましょう　三度目からの父は官僚

お前はさ迷惑なんだ出て行けよ　鏡よ鏡我を映すな

姉の言うズルイも何も分からない　生まれたときから僕はおとうと

画集買う君待つ僕は君の色薄紫と独り決めした

車窓より横浜の街見下ろしてスイッチ入れる東京モード

汗タオル自転車こいで帰る路　ビール恋しい昭和の父に

探偵さん子猫の親を探してよ　捨てるも出来ない飼うも出来ない

禁に触れ削られ痛んだ凸凹は丸みとなりて海のにほひす

恋してる誰かがそばにいるときは背中に目のある私なんです

この川に来春もまた戻り来い　黒いセビロが眩し若魚（わかうお）

捨てんときもったいないがな乾電池　休ませといたらまだ使えるで自分

盗人（ぬすびと）と咎められぬか畏れあり　斯く生きて在る後ろめたさで

水田に孤影泳がす観覧車富山平野は匿いもせず

虎杖の赤く太きを四つばかり手折りて戻れ揚々として

主義だとか　主張だとかを　素直には　言えない私　まだ25歳

満月をやまねが越えて笑ふから空のカツプで飲むチヨコレート

原チャリを置くには広い駐車場　うさぎを放し飼いにしてみた

http://punk-boom-bang-ex.txt-nifty.com/draft/

金色の剣を抜いて襲いくる陽には負けぬと今日も厚塗り

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ならずもの、否勇者になるため壷を割り隣の箪笥を破る日々　

母になるとは獣（けだもの）に還ること　おもねるものはみな噛み殺す

競泳用プールに古式泳法で止まり続ける男がひとり

旦那様ほどよくなされいゆっくりとホットチョコレート吹いて召されい

女狐は碓氷峠の夕暮れに変化自在の尾っぽをかくす

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詰襟の制服丸坊主いまよりは荒れてなかった子らの中学

波に立つ今年はじめの夏雲を螺旋に巻いて海鳥は飛ぶ