信号を守る背中がいっせいに生い立ちを捨てかっこうと鳴く

美味そうに生け簀をまわる魚の眼がカニに何やら相談してる

切れかけの乾電池なの　足ツボをつついてみはる？ねえ旦さん

かたくなに拒む背中が涙もてものごころに積むくやしさ其之壱

木の死骸を堅きといひて　動物の死骸の骨を　また堅きとひろひあつめて　歯の糞をとるつまやうじに　髪の毛のあひだに生きる　しらみなどを漉き取るために　密に切り目せせこましくも　入れ来たるかなや

ニンゲンのつくるあらゆる不必要のもののひとつに櫛にてあるらしも

http://blogs.yahoo.co.jp/mirainozom

『ラジャー！官僚消滅完了しました！羊羹でも食べますか？』

http://www12.ocn.ne.jp/~kitten/

吾子学ぶ教室に集い直感す二重らせんの忠実と変異

ものごころついた時から怠慢な泣きぼくろには貸しがあります

http://www.h3.dion.ne.jp/%7emaples/index.htm

決断をしなきゃならない選ぶもの捨ててゆくもの回転木馬

http://fairydoll.exblog.jp/

再婚し横浜瀬谷区に住むという妹逝きて六年経てば

汗ぬぐう振りして涙ふいている勝利のあなたを称えながらも

気ばかりが焦る卯月かクッキーの食べかす払いノートを閉じる

ひとさまの不幸のきざし映しだす水晶球のやさし紫

綺麗事ばかりではない教室の翳りゆく色　僕等　大人に

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i＝utayomu

陸海空宇宙開発地下工作ランドサットよ地球はまだ青い？

術もなくたそがれる日もあるけれど食べて眠ればまた朝が来る

先頭がなぜか渡った小枝橋　蟻の性（さが）にて粛々と行く

ならずもの気取るかなへび肩で風切りてつくしを押しのけていく

てのひらに　ほら宝石と雲母石のせてあなたは綿毛を吹いた

山肌を沢へとつたう液体は春と尾根との睦みし証か

メガホンを取るとき置くときいずれもがドラマとなりて映画監督

おとうとの鞄の中の混沌に希望を少しふりかけておく

http://homepage3.nifty.com/flat_m3/

空近く細き光をなびかせて風とたはむる蜘蛛は静かに

http://homepage2.nifty.com/sora_uta/index.htm

六道の辻に迷いて鬼共と地獄極楽あっち向いてホイッ

http://sun.ap.teacup.com/crow/

ひざうらに草匂い立つ母国語にない発音で朝を呼ぶとき

http://www2.spitz.net/hinatsu/

あさがおはきみにあげよう向日葵は弓道部員富田靖子に

駅からはレンタサイクル三百歳の桜に逢える楽しみの道

http://www.scn.tv/user/nisi-t/takashi/

靴下がストツキングに進化して大腿（もも）をつたへば少女は変る

世の中を舐めて意の侭なる筈と他人の財を盗むは哀れ

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

冬の日を浴びてビーズの髪飾り揺れる結ひ髪背もたれの上（へ）に

渡れなき橋があること知りて尚一番星に廻り逢ひたし

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

したたかに法の網など潜り抜け鎮座して居るならずものかな

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

若き日の苦節見せざる母の笑み声高らかに音符を創り

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

フラスコの中へ融けゆく液体の変化に見張る化学の不思議

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

軽々と蜘蛛の館に行くなかれ糸に縺れし蝶となるゆゑ

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

砂浜に寄せては返す銀波の襞に泳ぐは女の一生

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

彷徨へる森にチョコレートの如く詩ひし二羽の鳥は何処に

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

夜に映ゆる月のうさぎを未だ見ていぬと真顔に呟くお人

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

もどかしく覚ゆるがゆえゑ弓張りの月の如くに眉墨を引く

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

液晶をみつる吾が眼の限界にうたた寝らしき反応をする

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

雲流れ行く蒼穹に淡々と描きてみませ気楽なことを

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

どうしても古代の絵文字や暗号と思えてしまうアラビアの文字

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

吾がおさげ髪を解せし児童らの仕種思ひ馳せたる教室

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

重荷すら勇みて運ぶ君は今陸上競技の部長退く

http://www.denpan.org/home/yumejiem/

「コナン」って名探偵のことですね　未来少年？誰なのそれは

どうしても禁帯出と言うのなら司書のあなたを持ち出してみる

薫風に洗いざらした白いシャツあなたの背中蹴りを入れたい

未青年Ｋが含みし貴腐ワイン天より降れり暗夜の底に

http://www2.diary.ne.jp/user/144560/

雀色どきに愁ひは少女子（をとめご）のブラウスの袖口を啄む

http://www2.diary.ne.jp/user/144560/

無表情だったあなたを変えたのはあの人の髪紅い唇

独特の渋味が私を痺れさせワインも嫌いになってしまった

袖口が語っているのは涙雨チャペルロードは遠過ぎました

今はもう大和の彼の地に住む人の面影だけが記念碑みたいに

泥仕合ひとあし先に抜け出して高見の見物すればいいものを

凸凹が噛み合わぬはずないパズル欠片を探して彷徨うふたり

その香り私の中では不在ですあなただけには知られたくない

不可解な光と影が織り成して馬頭星雲彩られてる

官僚も企業のトップも雲の上支えているのは我等なんだけど

迷いますこの先どっちに行こうかと小心者の出来ぬ選択

千年はうたた寝のうち　桐の花舞ひ散るころにお会ひしませう

http://blog.livedoor.jp/capybara2/

先輩の技を盗んでレギュラーに夏の選抜球児の興奮

吉川版「新平家」より「金色のガッシュ」の方が気になりていつ

あの橋を渡らば家まであと十分二十年住める坂多き街

体脂肪また付きたれば掴まれて声裏返る蝉のごとしよ

抱卵のキジバト襲ふ黒き影鳥の世界もならずもの生く

まっすぐに風よ吹けよ吹きおろせ都に春のはじまり告げよ

ヨハネの根震わせてBeat It最終のマリアのつぼみ育んでいる

http://blog.astra-miya.com

うの文字のゝ(ちよん）は開きし『短歌人』われはつとなりうたた寝をする

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

文明は見事開化し横浜のハヤシライスは１５０歳

http://www.geocities.jp/nannokanno575

アラビアンナイトをそつと繙けば闇にひしめく星のかけらは

http://user.shikoku.ne.jp/retoro/index4-tanka.htm

適量の汗と涙でごまかした。傷つくことがただ恐かった。

http://www.geocities.jp/nannokanno575

苦き過去ワイングラスにそっと混ぜ酔いどれ天使忘却を断つ

傷ついた少女は必ず夢を見る月の砂漠で迷ううさぎを　　

http://www.tcp-ip.or.jp/~panse219/index.htm

たそがれの雨音はひどく美しい　繻子越しに感じていた体温

桜花散る　春の日差しの暖かく花よりほかに知る友のなし

紫陽花の地球儀ひとつくださいな海の深さを示したものを

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

あいまいな笑みをうかべてどちらにもなれないままの半魚人たち

子を持たぬ友といてふと　あきらめたものの器を比べる真昼

発見は浅草のビルに「うんこー！」と言わなくなりし沙希の適応

迷子の子猫ちゃんはロブ＝グリエの囚われの美女なのよ！助けてね！

http://www12.ocn.ne.jp/~kitten/

最後尾のデッキに立って見つめればひかりと流れる二本の線路

あと五年早く逢えたらよかったのに焦る私苦笑いの君

http://yaplog.jp/ck_m/

タテジマのメガホン片手にビール飲む今年は笑うと豪語する君

http://yaplog.jp/ck_m/

隣家には離婚したての叔母がいる犬三頭とうたた寝の初夏

http://www.hcn.zaq.ne.jp/cackg204/

食後すぐ胃薬を飲む先生の苦手は夏と音楽、ピーマン

http://www.hcn.zaq.ne.jp/cackg204/

やわらかなアラビア文字は美しい古馬小屋の奥で自慰する

http://www.hcn.zaq.ne.jp/cackg204/

教室のいちばん後ろで髑髏彫る少年いつか詩人をめざす

http://www.hcn.zaq.ne.jp/cackg204/

春風とおにぎり三個あればよい陸の孤島で心遊ばせ

http://www.hcn.zaq.ne.jp/cackg204/

そしてまた今この瞬間幾千のならずものから歌が生まれる

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

幾つもの山越えたのが昨日のよう　祖母の膝には爆弾がある

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

靴下に入る程度のプレゼントそこに感じてほしい幸せ

http://www.k2.dion.ne.jp/%7Erokkatei/

木蓮の紫にじむ風ゆるく町をわたしをあなたをわたる

http://homepage3.nifty.com/flat_m3/

官僚と呼ばれむじなに変化する金と力が負けたこと無し

http://love.ap.teacup.com/watashinouta/

はねる魚を乗せて重りをずらしつつ行商の媼は値段をいへり

見つかった　僕の右手にぴったりの左手さがすジグソーパズル

http://blog.livedoor.jp/ammy/

どこまでも行けるつもりの窓の外。教室にまくヒマワリの種。

http://www2.tbb.t-com.ne.jp/popgirl/

陸に憧れて一歩を踏み出した魚の話が聞きたい夜だ。

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前髪を切ったんだねと声かけるたとえ揃えただけであっても

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どうせならもっかいちゃんと笑うまで生きてみようときめたたそがれ。

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夕闇の突撃部隊出陣す 「鞄に入るだけの希望を」

少しでも今より楽になれるなら消去ボタンで君を消したい

徐に地図を取り出し探偵は繁々と見入る横浜異人街迷路図

すっぽかされた詫びのメールに書かれてる汗、汗、汗から微かな臭気

淡水魚金魚鮮魚に熱帯魚すべて一度にくわえて走れ

私は直列つなぎの乾電池激しく光りすぐに切れます

びびってるピッチャー横目にリーリーリー二塁ベースを盗めランナー

下り電車見るの大好きな人がいてその線路だけすごく赤いの

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断眠の狭間の夢に君の瞳はカラス群れたる内にまばたく

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ヴィトンの鞄ぶるんぶるんと振り回し駆け出せば留め具壊れてああ夏

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放射能汚染のニュースなど流れれば原発見たと子らは目隠す

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壁時計左回りに回しつつ睡眠導入剤（ミンザイ）などを飲み込む夜更け

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君の爪入りたることに文句なし七月六日のマカロニサラダ

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駒ヶ岳の山嶺より出づ曙光は国道１号に淡々しくも

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春雨に濡れたつぼみを指先で嬲れば声高く笑う菩提樹

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向日葵の枯れたる色に人々の笑い顔などよく似て九月

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関西テレビを定年退職した桑原アナの座右の銘は明石家さんまさんと同じく『生きてりゃ丸儲け』らしいが、実は私もだ。



　魂あれば人生は賭場張りまくれ一発見果てぬ夢当てるまで

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　時は今！
　　　そない思わんでもないが
　　　　　子の守せんとなぁ〜嫁の愚痴聞かんとなぁ〜

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お試しでノンドレッシングも美味いかもサラダ感覚短歌増殖

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天弓を遠くに置きて肉じやがの出来具合とは愛のしづけさ

ヒロシマの神話のなかから抜け出した人と真夏の橋上にいる

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ダメ亭主義理も果たさず飲んだくれ昔かじったマルクスを説く

熱過ぎる胸の中から飛び出したハートは焦げてちょっぴり苦い

君の胸枕にできない今宵ならJAZZの香を纏って眠ろう

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ちぎられた馬券は空に舞いましたギャンブラーとの恋はこりごり

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ひた面のをのこ子の目にさくら零（ふ）り雪降（ふ）り旧（ふ）るるそらみつ大和

http://www2.diary.ne.jp/user/144560/

電車など　毎日乗っているのにね　線路を見たのは　いつの日か

いつの間に　眠っているのか　謎だった。　今ではそれが幸せな日も

真夜中にひとさしゆびが銀色の螺旋なぞればもどれなくなる

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不器用は武器にはならず人知れず喉につまった泣きぼくろたち

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変てこなかたちのこころ都合よく最適化するボタン押したり

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錯覚でありますように蓋をしてホットワインにたよる夜です

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覚悟などなつてなくてももうすでに袖振り合つてしまつた般若

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袖口にいくども目許を拭ひつつ吾子は話せり学校のこと

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よっこらしょどっこいしょってお月さま　大和なでしこ的な緩慢

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泥道のぬかるみぬるくなつかしく濾過されるまえのことばのぬくみ

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つららからしずくのパズル　瞬間に　おひさまの位置たしかめている

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色々に彩る色の囲炉裏端湯気の色まで七色インコ

http://homepage3.nifty.com/k_k_s/

ひとくちに有害ゴミと括られる火曜の朝の乾電池なり

難しく考えなくていいからさ、気楽に話せよ　カツ丼食うかい？

http://circus.milkcafe.to/

アラビアの地の底深く真っ黒な水が静かに燃えているのです

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教室の床をじりじり這いながら扉をめざす　先生ごめんね

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ひとのため撓まされかたち作られて安楽与ふる役のこの椅子

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『ぼくのおとうとわ寝しょんべんしますがあいきゅうだけわめちゃ高いです』

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サヨナラはいつも線路の向こう側悲しくはない切ないだけで

http://diary.jp.aol.com/zwvruqv/

台風に浸かりし鞄購入すこれもひとつの復興支援

横浜が開かれたとも知らないで帆柱を待つ出島の蘇鉄

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

アラビアの蔓に囚われ抜け出せない絢爛薫る壁掛の中

http://catwalk.squares.net/

獄窓の額に君が見る空の絵とひとつらの花曇るこの空

西向きの窓から赤い教室で赤い金魚と羽化を待ってる

http://catwalk.squares.net/

いましがた陸に上がったばかりかとその冷たさはその無情さは

http://catwalk.squares.net/

信じるか信じないかは自由だと探偵が言う穏やかに言う

http://www.geocities.jp/nannokanno575

インク消しにて消せるならどうしても消したい一日（ひとひ）が私にはある

そらみつ大和の国の女(をみな)らは癒されてをり韓国ドラマに

http://www.geocities.jp/ake_ake3/

つぎはぎのジーパンを穿き泥臭いブルースに浸かる十八だつた

http://www.geocities.jp/ake_ake3/

歌詠むは三十一文字（みそひともじ）のパズルゆゑ足りぬひとひら考へている

http://www.geocities.jp/ake_ake3/

渋谷行き私を乗せて急げ急げ君待つ駅へ線路が繋ぐ

http://mami-chan.cocolog-nifty.com/

　　

風に乗り異次元の世へぐいぐいと鞦韆（しうせん）を漕ぐ青葉の中に

軽快な追復曲（カノン）のやうにあかねさす君の背に降る春の淡雪

燃料の尽きゐむ時刻きみの機は螺旋えがきて地上に降るや

これでもか、これでもかってラーメンに胡椒をかけた発表の夜

奪われた祖先の眠りが恋しいか　目のみひかりて闇夜の黒豹

満月に昇天するシャガールの人魚は薔薇の花束抱く

続編をまだかまだかと待ちわびる岩崎正吾『探偵の四季』

キユーピット袖振り合いの人も増え縁切り寺に弓矢奉納

かたくなな満員電車に揺られつつまもなく消える海流がある

きさらぎににほふ淡海（あはうみ）わがうちになほも無色の水域在りや

茄子苗を三本のこして潜りたる夜盗虫にも理があるらしく

香りつき消しゴムにある注意書き「食べれません」で食欲がわく

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コンパスを忘れて逃げるマゼランが近所の鮨屋で発見される

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あえて言うならばお返しを期待する奴からはティッシュもいただかぬ主義

触れるものすべてに焦れて破壊した時代もあって　いま子の爪を切る

いにしえの大和文化の哀楽を詩歌に学び題詠の道

「学ぶ」とは「真似ぶ」から出た言葉という書き写すローマ字アラビア数字

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堪え難き空腹であるがさごそと鞄の奥よりチョコレイト出す

雑踏であの人の匂い　香水をつける男はもうやめにしよう

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あまりにも美しすぎる白馬よりシマウマの方を私は信じる

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若い蜘蛛まっさら律儀に張った巣のおはつの獲物は桜ひとひら

雨上がりふれふれ桜みずたまりさかなになってきらきら泳げ

チョキの手をひらひらと振りチョコレート　桜の道をかけてゆけ未来

泥沼に在りて染まらず空の蒼溶けて清楚な白蓮の咲く

横浜は海にひらいて人びとはどこか遠くを見ているだらう

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絵に描いた改革餅を振り翳しなおとうとうと空言を吐く

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じゃがいもの上で溶けゆくバターのやうに君の明日のカタチがなくなる

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そばにいてほしくてそつと君の影くるくる丸めてバッグに仕舞ふ

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三代目魚武濱田成夫なら殴ってくれる気がした夜更け

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空中で発行している天体がなぜか死なない→乾電池じゃない

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「神さまもものを盗むよ？」覚えたてのギリシャ神話に君はいないよ

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暮れ泥（なづ）む水上駅舎に若かりし父母はゐむ　夏の武庫川

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あみだくじ当たりを引いた人が鬼 線路の終わりに寝そべってみる

たらたらと惰眠むさぼる やわらかな体温が今暴走しだす

夕闇の突撃部隊出陣す 「鞄の入るだけの希望を」

僕たちの過去に関する新発見事項をすべて焼却処分

僕たちの想い出に今越えられない時差があるから地球は丸い

半永久的に動いて乾電池いらない人形壊せずにいる

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盗まれて捨てられている自転車が錆びていくのを横目で見る日々

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つり橋は渡りたくない絶対に気持ちが揺れて落ちたくなるよ

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死の淵で千夜一夜を物語る夜明けを変えしアラビアの姫