一日が長いどこかでまちがえたことに気づいて焦りはじめる

http://singasong.sunnyday.jp/

はじめてのスーツは幼きさくら色　父の好みを疑はざりき

月でさえ侵さぬ水を俗人が掻き濁すのか禁域の湖（うみ）

モルダウを聴きつつはせる川下り古城をながめプラハを過ぎゆく

ここちよき椅子にゆられて科学館プラネタリュウムはゆりかごのよう

ひとなればこころに仏わすれずに鬼ともなれと亡父（ちち）の口癖

全員がのみたいばかりに風邪気味と母におねだりたまご酒のむ

葉のようにポテトチップスしてるげどじゃがいもなんだよ知ってたのきみ？

チョコレート細工のようにバリトンの黒百合の歌とろけ纏わり

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

ティンタレラディルンナー加代子が跳ねて踊った「月影のナポリ」

蝶々のかたちの薄いチョコレートふたりで一枚かじる　もう朝

http://replicaprince.easter.ne.jp/

だいこんの花の十字の蝶を呼ぶ白き愁いにわがこころ燃ゆ

ひらひらり花にもなりて舞扇たためば剣よ突いてもいい？

「制服の似合う女性になったね」なんて嬉しくもない「中身知ってる？」

イニシャルをならべて書いた砂の文字　松風さーっとながめて去りぬ

育つ子が見たい背中は選べない　私は両親の子でよかった

　　　3月、そして誰もゐなくなつた

微小なる千のメガホン桜木にひらきて春のうたをうたへり

http://www15.plala.or.jp/kasane/

さみしさを思い出すかも知れずこの線路に沿って下ってゆけば

色つきのセロファンで鶴を折りながら背中から石化してゆく身体

http://www.geocities.jp/xmqds750/index.html

きみ知るやルビの偉大を　それも　きうかなでなければならぬ　あはれあはれ新仮名づかひでは　何百回生き死（じ）にしても　到達できぬわ

消（け）ぬと言へなんもかんもがなにひとつ死んでぢごくへ持つてはゆけぬを

http://blogs.yahoo.co.jp/mirainozom

城東貨物線路よ北へ　真下には二つ頭のさかな棲む川

昏れなづむ壁に凭れてまた独りたそがれてをりボギーの如く

http://user.shikoku.ne.jp/retoro/index4-tanka.htm

二個パック乾電池の片割れは果てを探しに転がってった

http://mizukiuta.exblog.jp/

「荒馬と女」の女優の享年が賞味期限とうそぶくも　あはれ

満月に浮いた社宅をふりかえり官僚の妻とぶち猫しま猫

迷いながら惑いながらゆく道はカルナバルの夜　額縁のなか

愛のない結婚生活みたいなの　あねおとうとの暮らすあずまや

夕暮れに手放すことを許したらグラデーションの空高き紫

かのひとの横浜の居所は新しい開けた街の名　どこにもあって

くきやかにどちらがどちらかわからなく汗に満ちたら晴れるでしょうか

神さまも絨毯に乗ってふわりふわり飛んでる気がするアラビアの空

http://kazuminogi.hp.infoseek.co.jp/

西日差す教室ねむたく友だちの光る産毛をぼんやり見てた

http://kazuminogi.hp.infoseek.co.jp/

春風を従へて来る楽隊のベルリラベルリラ蝶を零せり

陽光のとおくなまえを呼ぶ声にふれた耳からひろがるみどり

パインアメばかりで埋まるスクール鞄　万物は流転するのでしたね

http://psyco.jp/suruga/

一子へと夜訪れる貴公子は剣幸の光源氏に

ふたりでの石田ひかりの制服を一子に着せてみる悪ふざけ

常緑のみどりが褪せてしまうまで一子を松は校庭の庭

ラーメンの鳴門右巻き左巻き一子のつむじ右巻きとする

靴下の左は右の靴下のことを特別考えてない

チョコレートケーキに呪文込めしゆゑもうカサノヴァに戻れぬあなた

亡き祖母の貧しき戦後支へたる鶏もうさぎも名など無かりき

姫反りのなほ美しきわが弓を腕錆び果てし今も愛しめり

うたた寝の君の童顔眺めつつ春の底ひにとろり潜まな

ペルシア湾アラビア湾と呼び分くる一つの海の色を思へり

その席の数だけ集ふ魂に果てなく広き教室であれ

なにげなく橋を渡ったその先の柘榴の花よ　吾は虜よ

http://love.ap.teacup.com/watashinouta/

いいことがあったらいいね１枚の届けを出して自転車を漕ぐ

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

暖かい水が私に満ちるときふとももにある痣はやすらぐ

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

言い訳も用意しないで花なんて薔薇ってなによふざけないでよ

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

雑念は黄色い液に巻きこんでいけ卵焼きぐるぐるのぱあ

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

食パンの真面目にバター塗りつけるような電話を朝からかける

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

かさぶたを剥がす計画人としてどうであろうとあなたをさらう

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

占いの結果をそっと打ち明けるだから何だと言わないあなた

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

胸騒ぎなんて贅沢茹ですぎたブロッコリーのぐずぐずのつぶ

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

爪楊枝これもあるいは林ですほのかに残る精気へし折る

http://www14.plala.or.jp/nemu31/

海望む高台に建つ別荘に忘れたままだ　キャベツ人形

眠らんとしずかな息に身を宿す　雪折れの音をはるか現に

ネクタイを外す瞬間ほんとうの俺へ時間が動きはじめる

たそがれの虚空を見つむる老犬の濁りし瞳に何映るらん

空っぽは見つめるほどに歪みだすサラダボウルの夜が哀しい

お揃ひの信楽焼きの湯のみ茶碗えらびし友の病やいかに

力なく罠網の中浮遊する海獣の眼は母のようなる

春だもの脱いでゆこうよ一枚ずつご都合主義に着膨れた君

納得のいく結論が出るだろう焦げ目程好い今朝の玉子焼

北風がメガホンくわえて歌ってるピューピィーゴーゴー濁声合唱団

ファラオらの風狩人（かぜかりびと）と言われけるサルーキ犬の背中を撫でる

学ランの垂るる腕より垂るる鞄アスファルトには届かざりけり

水彩の時にさよなら　制服のリボンを渡る三月の風

http://b1.jaxy.net/d/index.php/b422907263bbc3

躊躇いのない多数決（おめでとう！）このたび髪を捧げることに

舗装路にひとつ転がる松かさはリスの歯形をその身に残し

http://b1.jaxy.net/d/index.php/b422907263bbc3

明日からの化学治療を前にして武者震いしつ食べたラーメン

http://b1.jaxy.net/d/index.php/b422907263bbc3

残さるる家族に微笑みし先生の 愛の主義を心してならはむ

恋人の髮がどんどん伸びてゆく一子のことを問いただすとき

永遠に僕が苦手なものとして螺旋階段回転扉

泣きぼくろ描いて消してまた描いてホクロツールがあればいいのに

レインボーマンの変身シーンには哲学的な何かがあった

始皇帝二日月夜の前菜はうつぼのつぼみ鵜飼の海馬

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

焦がれてぞよし　キッチンに立つ君は下ごしらえせよ我も塩焼き

http://members.jcom.home.ne.jp/mizunami/

路の辺に石割り萌ゆる母子草ときぞ巡りて花咲かすべし

http://sun.ap.teacup.com/crow/

白き血を与へることも叶はずに母の象(かたち)に甘んじている

http://homepage3.nifty.com/flat_m3/

横浜の大桟橋の潮風にはじけるソーダ飲みひとを待つ

乾きたる汗の塩しろく浮く帽子かぶりし少年はや巣立ちたり

休業の遊園地のなかゆき巡り探偵ごっこになりゆく女男（めお）は

十五歳いく度も林檎を盗みしは「禁」への反抗だったか知らず

完全に使い切られず換えられて捨てられていく乾電池なり

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散らかったままのあなたの部屋の中　盗みたいものがひとつだけある

http://a1.jaxy.net/bbs/index.php?bid=b4109dbecacb3b

母はもうワイン煮詰めて酢を混ぜるドレッシングを伝えられない

袖に触れあわすどころか十ヶ月子宮のなかに二人いたこと

表情をつきつめてゆくめざすのは大和言葉のようなほほえみ

汗ばんだパンツをくるくる足首へおとして男子（をのこご）８の字を拾ふ

http://homepage3.nifty.com/reikononamida/

「探偵も恋する夜だね」弟のささやきに月はそつと隠れぬ

http://homepage3.nifty.com/reikononamida/

横浜の丘の葎に雪蛍青い目をして遠き海見る

踏切で犬の尻込み汗ずしり耳良きものの犀の地響き

探偵の声色まねる伝ひ雨かれを知りたきゃ鶯真似よ

志半ばに帰れば古庭に株を増やしし都忘れ咲く

停車せし駅はどこも平穏で<しあわせ線路>に沿ひ来し半生

われに科すチョコレート禁止令血糖体重どれもひどくて

このとしのながきながき冬　ひとの世のこほれる道ゆ　ふるさとの野にたどりつけば　もりなせる木樹のあからめるみゆ　ひばりなきやまぬ

春の城さくらのもりのふくれきてほゝゑむいろにつひになりなむ

http://blogs.yahoo.co.jp/mirainozom

草むらで寝転んだままいくとせか充電をして乾電池立つ

http://www.h3.dion.ne.jp/%7emaples/index.htm

唇のうすさばかりが気になって盗まれたのはマールの香り

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とりあえずここにはいないキミじゃなくパンナコッタと橋を渡ろう

http://www.h3.dion.ne.jp/%7emaples/index.htm

星数多ちらせる闇は天鵞絨に眠れる月をふかく抱かむ

ほろにがきつぼみをいくつ茹でながら日暮をそつと壊れてゆくか　 櫂未知子

キミノメガホントノアタシヲコワスカラ　モウイイモウイイモウイイ　ニゲテ

http://www.geocities.jp/isanajpjp/

初恋と呼べなくもない先生とたそがれたくて赤点をとる

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

汗かきのつららが告げるここからは春ここからはとめどなく春

http://www003.upp.so-net.ne.jp/capverses/

探偵に尾行されてることにしてプロムナードをひらひらと行く

http://www003.upp.so-net.ne.jp/capverses/

禁漁の湖水に放つサクラマス　正義感とは似て非なるもの

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逆光が押し寄せて来てもうなにも物語らないあなたの背中

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まっすぐに伸びてるはずが陽炎に歪んで見える二時の都

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弘法麦がひそかに誇る能書家のうはさ海辺の風が運べる

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そらまめの莢型繭のぬひぐるみこひびとよひと日潜らうではないか

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誰からも遠いわたしの真横浜昼顔が引く境界線を

「押し絵と旅する女」と乱歩に直させてお前をとはに携帯するぜ

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　つゆじもの昭和大正置きて去(い)なば林檎畑の花櫛も消(け)ぬ　　

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ウェルニッケ言語中枢を茂らせて半鐘蔓が鳴る「阿呆（アフォ）リズム」

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百万個の内分泌線より降り続くランゲルハンス島の甘蔗(かんしよ)の雨は

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産み終へし緑児の瞳(め)と見詰め合ふぬぐへどこすれど麻酔にかすむ

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冨士額、雁額(かりがねびたひ)わたくしと娘のちがひ　女郎花咲く

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スカーレットの意気地の似合ふ明日葉の小花（せうくわ）に風がウインクをする

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四次元のデジタル宇宙あさがほに家畜となりし人類がゐる

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アラビアン・ナイトのごとく千の夢胸に抱いて人は生まれ来る

関節が軋んでたまらんと冷え性の線路がぎしりと寝返りをうつ

http://circus.milkcafe.to/

百年の荊の森をかきわけてキスをしなさい、眠れるババアに

http://circus.milkcafe.to/

そうあれはそれほど遠くない昔マドンナうさぎは梨の木にいた

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

性格の違う姉妹にどこか似て同じ「女郎」のつく花と蜘蛛

http://yaplog.jp/noma-iga/

誰彼にうかつに心はゆるさない　水泳帽の下の黒髪

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パスタ巻く春の右手の辺りから主義が気化してゐるのが見えた

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なかゆびのはらのやけどを焦点にこのあさの靄みたいなうれひ

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まっすぐに泳いだことの証跡が欲しけりゃやるよコースロープは

http://www.geocities.jp/nannokanno575

血の不浄乳の腐臭を知らされて花嫁教室なんか行けない

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液体ニナツテモ君ヲ愛スルと言ひし男のやうな長雨

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海賊よさらば秘宝の熱も冷め三十路おんなは陸路を急ぐ

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触れるたび螺旋が崩れ落ちてゆく　現実的に歯ブラシを噛む

三つ打つボンボン時計も眠たそうお茶とお菓子とさくらの風に

近代化橋ができれば廃業か三途の川の船頭たちも

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和をたもつ嘘やまやかし「なんでやの……」心ならずものみこんでおく

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環境に地球にやさしい心がけしかし地母神（ガイア）はＥＣＯ贔屓（えこひいき）する？

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熟しては形を無くし流れ去るヒトの文化はたぶん液体

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群雄が妥協の友を養殖し百鬼夜行に散る蜘蛛の子ら

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仕事です遊泳なんて呼ばないでだから今では船外活動

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とりあえず大きいことはいいことだ板チョコレート囓って砕く

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ナンテンの赤い実ふたつ雪うさぎ為す術もなくエアコンを見る

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その命誰を護って盾とする矢をつがえずに引き絞る弓

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楽しくて疲労もろとも突っ走る夢を見たのはうたた寝のとき

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蜘蛛の巣に石をぶつける狂気なら誰に倣いもしませんでした

http://m-space.jp/?25345225

背泳ぎで進んでるけど行き先が分からないっていう人生だ

http://m-space.jp/?25345225

チョコレート溶かしたモノを飲ませたいバレンタインに騙されんなよ

http://m-space.jp/?25345225

共通の話題などないおとうとがくれた時計は捨てられなくて

http://brown.ap.teacup.com/agarix/

貧乏を比べし友より故郷の寺へ立派な林檎が届く

満開の桜しろじろ遠景にみえて陽射しの暖かな部屋

冬枯れの庭に一輪薔薇の花いびつに命まもりゐるなり

焦げ茶色制服上下貸与されわれらゴキブリと呼びあひし日よ

http://blog.goo.ne.jp/casuminn/

還暦の同窓会の流れにてためらはず来し夜の巷へ

教室に　置いてきたんは　おもいでか　それともただの　忘れ物なん？

http://sagasimono.moe-nifty.com/arimasuka/

永遠にたどりつけない徘徊の廊下を泳ぐ母のたましい

花びらと火を杯に酌みかはす桜の下のならずものたち

http://blog.goo.ne.jp/barairo2005-hibi/

母ちやんと米沢弁で君が言ふわが名呼ぶときよりやはらかく

http://blog.goo.ne.jp/barairo2005-hibi/

闇の螺旋階段（きだ）登り降りするわが短歌エッシャーの
騙し絵にゐる

こころなく一子を眺めているときに僕の背中に憎しみの眼が

せせらぎに光の楽師タクト振りうまれたばかりの音符とあそぶ

「泣きぼくろ」より「黒猫」が好みなり夢二の描くおもながの女（ひと）

従順なうさぎがほしいちぎれ雲いくつかわたしのものにする朝

http://replicaprince.easter.ne.jp/

馬ごやし踏みて足（あ）裏のむず痒し青は羨（とも）しき三月の色

『ちょっと留守していました。なあに、かるく強盗殺人しただけですよ』

http://www12.ocn.ne.jp/~kitten/

マラソンをかけぬけ暫し没頭のリキのぬけたる身ぬち吹かれし

動力が音を小出しにしてるから雪が霙に変はつていつた

未来から逆回転の迷ひ道その一点に私がゐます

静寂に若干あをを混ぜたいろ欝の初めはそれだけだつた

受信したエラーメールが嘘なんだ友達だって思っているよ

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

留守といふノスタルジーの中にゐて今日もいちにち海をみてゐる

翼からひかりが飛んだ鳥はいま甘美ないろの日暮れ迎へる

いつの間に意識うすれぬ昼日中一服の茶に似しうたた寝と思う

泥濘のなかに小さな虫がいて誰かを待っているような春

すぐ横で屁をひりながりぶつぶつとパズルをやっていたかもしれぬ

香川県東かがわ市川東付近に住んでいたかもしれぬ

新冠の馬牧場であのスーパートリックを育てていたかもしれぬ

外務省官僚になり望まれて結婚なさっていたかもしれぬ

迷路性めまいだそうだぐるぐるとぐるぐる＠＠＠＠＠＠＠＠＠

現実のおとうとが見るまぼろしの姉も奪われ続けていたり

奪われる対象として六条の院を出たのちの紫の上

異国から着いた私は横浜で一子とはじめて逢うのであろう

汗だくになって一子がいくときの顔を一週間かけて描く

探偵になったつもりでおいでなさい消印のない一子の手紙

ゆうぐれの紫禁城から半月がぶらさげられているのが見える

デイルームで鼻息かかる近さにて君の髭剃る禁止区のなか

くらやみで指を絡めた冷たさは女が魚だからであろう

乾電池抜いた空虚に指を入れ一子とつながらないか待ってる

盜まれた青い自転車への思い奥で一子とつながっている

いつまでも九度山橋で待っている一子は過去で今も未来で

ならずものにかなしく同化する一子旅のラゴスのテーデのごとく

亡きちちに似る夫の背中重たかり嫁ぎ来し吾しがらみ断てぬ

今し方生け簀に泳ぐ魚焼かれ尾頭付きのひとくち怯む

死ぬるごと時計の針は乾電池切れし時刻を赤裸々に指す

犯罪を許しおくのか「拉致」という北朝鮮は人を盗みぬ

岐路に立つ身の危うさのまま行きし吊り橋渡る二十二歳