書物みな電子媒体となる後も一巻の終りと言ふのだらうか

頂上にあぐらをかいて人類の奢りいつまで食物連鎖

もろもろのいのちあぶらとなりにけむいづれおまへもあぶらアラビア

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旅にして物足らぬなり計画を立てし当時のときめきのなく

天の声聞いて靖国参拝も民に届かぬ神のお言葉

世を挙げて占ひブームおのが未来神々ならぬ人頼みとは

嘘臭き教室出でぬ煌めきの街は蝋細工のスパゲッティ

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世を挙げて占ひブームおのが未来神ならぬ人頼みとは

ねず色の波立つ陸に怯みたるまがひ海亀浮きやあるらむ

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胸騒ぎして確かめる広辞苑やはり「沁みる」は「泌」じやなかつた

或る時は詩人小説家軍医総監而して石見人森林太郎

出来過ぎたキャベツは売らず捨てるといふどこかで誰か飢えてゐるのに

たそがれに佇みぬればわが影の広ごりゆきて地を包めり

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罠かとも疑ふほどに信州の巨峰葡萄の甘たるきこと

洗脳といふにあらねど脳の中洗濯したき奴ばかりにて

鼓動から鳩が飛び立つほど美しくこのマラソンは祝福されて

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友の壁越えざりにけり常しへの夕風に舞へ紙飛行機よ

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弦のなきビオロン酔ひどれ主義の身はそらきりぎりすしどろなるかな

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楽天にＴＢＳが喰われたるさまを見ていつ他人事ゆえに

神の目をもてる少年ひさかたの光あつめて蟻を焦がしつ

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ひどく火と水を怖がる曲芸師、ひとつ秘密を教えてやろう

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アラビア語講座聞きつつ眠りおりあまりに遠い場所と思いぬ

教室をあまた余らせ過疎のまちの小学校は静かにありき

腕組みて首傾げつつ黙考すきみが呉れたるメガホンの意味

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陸英修になりたかった日ひたすらにハングル文字をつづっていたり

少女子の都の夢の失せぬれば鏡は夜叉の庵となりけり

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恐ろしき微笑み浮かべかたつむり淡き線路を敷く岩肌に

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自動車で４００kmの道程を揺られるふりこ　軋む歯車

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たそがれの語源のことを思いおりきみははじめからここには居らず

前頭葉散りて積もりて落葉焚き眠り鼠の寝言は煙る

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錆び付ける鋼の鞄隠り沼に沈めてあぶくたつを眺めて

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発見せよ濁ることなきぬばたまの夢の底ひの海鼠の眼

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まどろみの赤き眼裏　聞こゆるは時殺めたる帽子屋のうた

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よみさしの本の数ほど散らばった未来をひとつ選べだなんて

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愛という液体なんてくそくらえ女郎蜘蛛にもほこりはあるの

血を捨てて竹の蒼さを満たしたの静脈にキスを　飲んでください

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蜘蛛の巣ともう呼ばせない手ぬぐいを置いて岩風呂さあひと泳ぎ

徹マンの栄養補給とかじるチョコレートの高さに視線泳いで

千年の居留守を許せもうベルは押しても無駄だひかりの　なかへ

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ワインレッドの恋ってなあに白猫とみんなに聞こえるように言って

二人して逃げちゃおうか翼なら生えてる天の川まで飛ぼう

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袖なしのワンピース着て猫を抱く一番好きな写真になった

超ミニを巻いて闊歩のチョコレートとけ出す危うさぎりぎりの舌

友だちということにしておいてくれかならず返信メールするから

何の主義もなけれど牛も豚も残し鶏も残して甘えたるひと

焦らずに進んでゆけという声は無視しろそれは陰謀の香り

正月は一緒に過ごそう大和では猫は炬燵に飾っています

メガホンは生徒を殴るためのもの殴り続ければメガホンが勝つ

「千年前ここに都がありましただから掘り返します」と言われぬ

線路上に立ち入るおとことおんな居て希望に満ちた場所などあらず

眠れぬか薄目開けてはまぶた閉じきみはぼくでは安心できず

マラソンを観てきたのかい白旗をふっているのに気づかれたかい

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漠然と期待していた泥亀は見上げる空に猫の白雲

むかしむかし鞄に夢を詰め込んだ少女も今は京都で暮らす

「あなたの違う面を発見してみましょう」何も聞きたくないと思いぬ

（コフィン・テクストは、死者の書と呼ばれる葬祭テクストの筆記に使われ、棺桶文書とも呼ばれている。木製の棺やパピルスの巻き物にも書かれたテクストは、ヒエログリフほどの図像性はないが、ヒエログリフの基本的図像的特徴を維持する文字で書かれている。）


現実は“生きていた”という夢だから復活のことは棺桶文書に

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真っ白の手紙ひらけば手が伸びてわたしの髪を触ってくれる

口下手な“ワシ”という名のぬいぐるみ未明の猫と話し込んでる

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携帯の画面に見入る女たち ぎすぎすしてる街の直角

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楽園への螺旋階段駆けてゆき三段先に踏み抜いた跡

泣きぼくろをつたった雫が降りてきて再会果たす梅雨寒の夜

正徳四年、大奥年寄役・絵島、月光院の名代にて増上寺に前将軍家宣の墓参す。帰途、山村座・生島新五郎の舞台を観劇し、大奥門限に遅刻したるによって死罪を賜る。


父の手が櫛一丁で結いあげる絵島島田はうつくしき哉

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ヒロインはイジメに耐える弓恵子「女王の教室」よりもうさぎ目

逃げ道も進む道をも見失う　好きに使いな道具のように

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虎ファンは矢野催促の夢うたた寝室ヴィデオ真弓のアーチ

走りてはまた休みつつ歌を詠むマラソンゲートに今辿り着く

くるくると廻り続けて動かざる独楽が揺らぎてまた動き出す

果てしなき時が進みて今の世が点と覚ゆる未来も来よう

鮮やかな色を見下ろす高層の部屋に漂ふ静寂な世界

留守電のメッセージのみが流れ来て消息知らぬ人になりたり

天空を自在に駆けるイカロスの翼は消えてつかの間の夢

進むべき決断出来ずたじろぎし苦き思ひの日も遥かなり

手に入れし万能ナイフの使い道夢が広がる幼き日あり

届きたる宅配便の中からは本とベルトの贈り物かな

正月の寒きあしたにおんのめの餅焼く火で体暖む

部下使い仕事するよりフルマラソン完走の方がよほど楽だよ

動くこと動かぬことでかく汗の味の違いは知ってはいるが

百年の後の未来に平成の歴史書物を読む楽しみは

静岡で謹慎をするかの君のいたくお気に召した自転車

先触れの雪の気配の二条城　此処の主の永久の留守

翼には憧れるなよ両腕の方がはるかに使えるものを

猪との共存図る村議会が「食え」の意見に進まないこと

バタフライナイフの主題が金属である限りまだ飛べない空へ

「鶏卵が割れずに届く距離競う」収穫祭の企画会議で

フェレットが暖かいのに驚いたおまえに俺は冷たかったか

神と我ひとつの尊厳ミサ曲に抱かれているサンピエトロ寺院

なだらかな甍をすべり紋白は城の窓より零れおち飛ぶ

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薔薇ジャムを試食してみたおっちゃんは二時間ばかり寡黙になった

安売りのチラシの上に置き去りのナイフと柿の皮ふたつぶん

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地平線の先まで巻いて連なった鉄条網を踏み越える秋

ゆきあたる地中の虫を食らう時の土竜の歓喜　遠雷の火は

人だけが計画的に生き物を殺せることはなぜなのですか

権原者区分所有者占有者管理者参加避難訓練

２０余年間バースデイに花束送りくる君は老母の看取りの最中

おにぎりの具が山椒であることの警鐘でしたあの胸騒ぎ

みどりへの愛の証に絹ごしの豆腐一丁林の中へ

人魂の正体それは豊作で棄てられてゆくレッドキャベツの

ピンヒール用の罠にはボウリング球の穴など用意しました

イカ、タコのぬめりを取るなら全自動洗濯機より二槽式です

書　の文字をお皿に盛って串に刺しチーズフォンデュの沼にずびずぶ

無生物としては最も「死んだ」と言う表記が似合うのがぬいぐるみ

普通とは強者の理屈　携帯のストラップにいる鯰の根付

四千メートルの最も高き山頂のポストにスイス便り娘に送る

短髪の僕は馬櫛で髪型を整えてから朝に抗う

第十番惑星発見のニュース来て後のリズムは寝ながら刻む

塩漬けの魚卵に続く虹色の味覚の夢で食らう冷飯

薬殺用麻酔瓶出す獣医師の診察台の上の夕刊

汽車-額額額額額額-額額額額額額

廃村の書棚に忘れられているインク壷から立ち昇る海

スーツなど脱ぎたる男女らの朝な夕なに湖岸を歩む

真昼間の月はあたかも魂の出窓のように二次元めいて

坂道を転がる檸檬の奥ゆかしい曲がり具合に憧れている

網棚に忘れられている花束の花よりもなお赤き包みに

反乱のそこはかとなきさみしさよ沢田研二の天草四郎

ここはそこ死海の火照りゆっくりとプラグスーツに寄せる綾波

嫌なことを砂消しゴムで擦るから余計に痛いのじゃないかな

秋刀魚焼く煙に満ちる我が城の畳だけなら新品ですよ

投げつけたコインが縦になることの確率を言うだけの科学は

山寺に遺る鬼の手こりゃどうもどこから見ても鰹節だな

千手観音は数多の願い叶えます加齢の私は消去迫まらる

粋人が集う打ち上げうたた寝も覚めた夢楽もついに逝ったか

雨の中風に吹かれて彼に聞く今年の風邪のウィルスタイプ

はかなすぎる想いは届かぬようにする冬日グレーを身に纏うとき

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そうたとえ衛星軌道上にあるじゃがいもだって打つ今岡は

ここに来てお座りなさい知っているガラスにだって影はあるのよ

十字路に立つ道祖神　裏側の形は君に言わないでおく

側溝に落ちて壊れた短針が剣の形の懐中時計

軽いほうに傾いている終焉の底荷としての制服の群れ

低き山頂に古城そびゆるこの国の遠き時代が点在しおり

図書館に通う少女のたどたどしい理論武装を笑うべし　松

自動ドアって書いてるだけのただのドア閉めにいく家族をぬけだして

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山が死に生き物が死ぬ湖が死に地球の末を科学者救え

鬼遊びのあの子らも里も遠くなり話し相手はラブラドール犬

くちびるを噛んであげよう痛いから少しは科学のことを忘れて

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受験近き孫娘が咳すれば風邪薬おなじ数だけ私も飲まん

じゃがいもをラップに包みチンをしてバター味噌添え客に勧める

夫の遺影から見ゆる欄間に子の学位記額に掲げて２３回忌迎う

暖かく美しき映画は消音で　セーター、ゆびさき、意味はいらない

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朽ち果てる十字架無限に拡がりてみ魂寄り合うリトアニアの丘

人多く逝かしめし夏剣の舞のごと彼岸花土手に燃え立つ

女子マネの道楽手作りしたコアラビアガーデンでおもらしにコラッ

マロニエの並木の下のポリス嬢伸びたる四肢に制服の白

駐車場の新設費用を自動引出機が札数うるは松風ときく

舌から舌へ伝えます花束のかたちの氷砂糖でしたね

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過去形の石を磨いてぴかぴかの平行四辺形をください

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はなびらを毟って咀嚼していれば大丈夫です胃から薔薇の香

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すいスーツ）ちょうちょちょうちょと妖精と唄うはつはる（とっても脱ぎや

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アラビアに版図拡げたイスラム教室内遊戯は双六に似て

メロンソーダに黄色信号はじゅんじゅんにまたたいたきり消えたまよなか

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湖見ゆるマンションの内覧会に昂ぶりて塩ラーメンを友と頂く

オダギリジョーを小田原城の発音で呼べば世界は（世間も）へいわ

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腰椎の圧迫骨折の入院中兄や友らは靴下履かせし

３四歩振り飛車狙う君の手に懐かしいなと我６六歩

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サッカーの監督独りスーツ着てピッチの間際くう蹴りあげる

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大空に翼を持てば飛んでいき風を感じて逢いに行きたい

カンカーンと抜き去っていく消防の車の先に地下鉄の駅

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具志川の城（グスク）の跡の眼下から海青くして久米へと続く

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懐かしの校門くぐり杉の下科学と学習買っていた場所

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進むべき道はどちらか君となら寄り道なども構わないんだ

日に灼けた洗濯ばさみもろくって、とてももろくて、鳥になれない

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鬼は外　豆撒き始める五分後に地球号は気配を失くす

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教室に不埒な風の舞い込んで陸羯南につけたちょびヒゲ

書かなかったけれどありがとうきんいろの稲たち風に靡いています

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僕の風邪だからいいのと言う君は唇青く闘っている

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ぬいぐるみのくまのお腹を縫い閉じるけんかができてうれしかったよ

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子供らは賀状に使いしイモバンを埋めてじゃがいも収穫を待つ

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伊達巻が好物なこと傍にいるひとなら誰でもよかったことなど

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さみしさを携帯してる待ち受けの画面にさくら咲かせたりして

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日立台ピッチを分ける影の下玉田圭司がボールを奪う

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陽にかざすナイフはギラリ光めき苛立だしさを社会に向けて

月光の触手が櫛に伸びるときあなたの夢に銀杏降るとき

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東西の文化行き交う十字路の名古屋に残るトルコライス屋

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剣豪と問えばヨーダと答えるは三十代で独身の友

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こきざみにリズムをきざむ片膝のまわりに蝶がうまれ続ける

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ピアスして校則破る子もいつか六文銭に白き制服

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届かない想いを手紙に込めても君の心は開きもしない

揚がれども揚がれども気をまたそがれ君に上陸とこしへの夢

暖かき秋の一日カーテンは風に揺れては光を落とす

にごりゆく水のぬるさを受け入れてこの日常は続くのでしょう

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ゆうぐれの空に麻酔がかけられてこんど生まれるときもひとり

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つめたい額寄せあってするさよならは、あれは鮫の泳ぐ水槽

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群青のインク一滴紙に落ち捨てるってことはなんてかんたん

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週末は二次元に棲むこいびとの指の先からかすれてゆきぬ

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アンダースローで放られた鍵うつくしい曲線を描きふたりをつなぐ

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ゆく朝の鏡の中に櫛差して髪梳くときは息詰まりをり

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花束を抱かされているとりどりの花の述語をかんがえながら

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三日ごとデスクの上におりおりのカフェラテ彼のリズムなるべし

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連綿と塩基の系図たどりゆくアフリカにイヴの夢の続きは

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麻酔科の若き医師つとうつむけり眠りの前の底知れぬ不安

芸人の額の汗の玉となり無言の街に陽は傾きぬ

古りし賀状笑まふがごとく亡き友の蒼きインクの文字ならびをり

二次元の写真に封じ込められて特攻兵のはかなき笑顔

名も知らぬ紅葉峠の七曲われ紅に染まりつつ行く

ひ孫らの卒寿を祝ふ花束にうもれし人の畑に春来る

通帳をひろげ指折り嘆きたる余命四年は今年も変はらず

無精髭剃りて幼さのこりたる君をつつみしビジネススーツ

愛しみて夫の触りける黒髪も六十路の今は艶めき褪せし