うたた寝は心地良きかなひたすらに甘く優しく　目覚めなければ

「お気楽でいらっしゃいますね」「ええまあね」楽な人生などあるものか

アラビア！と叫ぶ口の端知る知らずただ求めおり微かなる応えを

教室を牢獄にした原罪を背負い続ける人生がある

狂おしく海を求めて陸に有ることひっそりと悔いている夜更け

走る君ライトを着けよたそがれは底無し闇をもう連れている

遠ざかりようやくに知る友であるため必要な不自然な努力

こんなにもあっさり曲げた主義である　踏みつけられて泣いてはいけない

失いし時数えれば今更に焦ることなし　こぼれゆく砂

増幅を望まぬ声を吹きだして逆じょうごなるメガホンの復讐

側溝に「住めば都」と吐き捨ててシャッター通りを駆け歩く午後

マラソン・マンの額に汗を浮かべつつカミツレの香を残して去りぬ

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動物園閉館時刻いまだ見ぬ鳥の羽音に振り向いている

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未来から来ました　強い百合の香にわたしじしんを忘れてしまえ

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うつせみの人体模型静脈は男の子も女の子も赤かった

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うすぎぬを剥ぎ取るような朝焼けが神の留守居の地上におよぶ

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空にいて決してはばたくことのないボーイングその主翼のあわれ

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進駐軍に隠しておいた腕時計巻くには細すぎる腕を出す

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けだものの皮をナイフが削いでゆく国境線を定めるように

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胡椒使用届けに印をもらうため結び直している靴の紐

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よく燃えるほうの紙片は（恋文は）束ねしままに暖炉へ投下

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宇宙とは無限の組み合はせなりと窯変天目茶碗の無言

シエイカーでカクテルにしてよいものか貴腐ワインのやうなる芸術を

袖口をまくれば少し大人だと思つた根拠は今も謎です

うつはには大和ことばとカタカナとローマ字数字盛られてをりぬ

拘泥つてゐる訳でなく拘泥らぬことに拘泥る訳でもなくて

一心にパズル解くとき深奥で触るることあり作者の心

香りのみで呼び起こさるる風景に踏み入りしまま帰らぬ少女

　弔歌として

遊星よ降りそそぐべし透明なる馬を洗ひしをとこのために

教育は浸透してゐるかもしれず「官僚的」が悪口なれば

迷走す台風増えて皆がみな死場所を求むごときあしどり

こんな日はコマンドスーツ身に着けて外に出たかり柔な心に

振り回されるのは手を離さないから　見習うべきは鞄の取っ手

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新しい傷を発見する前の深呼吸　表紙に手をかける

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はね起きる準備　電話は枕元　時差を数えて指を折る夜

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嫁ぎゆく日は訪づれてほの暗き夜明けの庭に秋薔薇の香ぞ

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巻髪の美(うるは)しき人友にして姉妹と睦みてうれし

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乞ふことの恋と同じく食ふことの空に等しき独りかな

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こもり居に計画倒れの家計簿を睨みしままに日は暮れにけり

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刺ス刺サナイ野原も花もなきゆゑに花占いもままならぬ子ら

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下総の故郷に離れ住みたればささいなことに胸騒ぎする

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山中の高速道路をゆきたれば影絵のやうな杉林過ぐ

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芯ありてキャベツの丸き姿なり土より生(あ)れし手本のごとく

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夕暮れの空き地に草の罠ありて人気はばみてかかりてみたり

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しあわせを物語るかな家々の軒に干されし洗濯物よ

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（今日までの罪は今日までの罪　　
　　　　　　樋口一葉「裏紫」より）

目つむりてお高祖頭巾の紫を被る刹那の一葉の雪

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漁師網ひもねす繕ふひとの横浜昼顔もゆめみるやうで

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血の汗がまぶしかつた。花形も飛雄馬もいつか老いて茫漠

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いっぽんの煙草わけあひふゆざれの軍事探偵本郷義昭

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紫禁城で飼はれし蟋蟀霜の朝ま白き絹の下で死にしを

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網にかかりし天使ま白き背中ゆゑ針など刺して標本にせむ

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ふかしぎな絵をいつしんに描く子ゆゑとび魚の絵をいつしんに描く

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たましひの溜め池といふ乾電池埋め込み動けどまうすでに死者　

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ちちははの膝の下から盗まれてそを結婚と呼びし歳月

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ひゃくにんの男に踏まれうめくごと軋めばをんなは他界への橋

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神の思ひは言葉にならずもののけの少女の踵は風のさみどり

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男装で一生(ひとよ)すごせし母なれば月夜の滝のごとき背中ぞ

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おもかげは涙にながれ液体になるまで壜を振る月の夜

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蜘蛛の糸にたやすく吊られ落とされて仰げば天は深淵のあを

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井戸ふかく心にありてその奥に巨(おほ)き魚(うを)など泳ぐま昼か

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鴎外が小刀で削るチョコレート雪の香はるか「独逸日記」

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やがて海へと落ちる月ゆゑ魚(うを)のごとうさぎは跳ねるその月のなか

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たをやかに千手観音のばす手に矢あり弓あり雲雀など射む

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出来たてのラーメンふたり啜(すす)る深夜(よる)　「いい仕事した」「眠いね」（笑う）

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人生はパズルだなんて大嘘をいったいどこで覚えてきたの

官僚の語彙は威圧の漂えるローカルな吾には馴染めぬ空気

キレイって何遍も聞く白猫はネクラで麝香鼠を喰らう

自我欲望頭もたげるその後は虚ろな時間迷いの反芻

おとうとを背負いて鞠つきせし幼日頭二つがともに動けり

紫木蓮咲くを見るたび姉上と懐かしむ師の歌集の題名

海の色沖より変じ鰯くる浜に漁師のしわくちゃの顔

熟成のアイスワインの琥珀色ゆるく廻して香り楽しむ

行かないで母の袖引く幼子は目に一杯の涙ためけり

横浜の中華街散策明後日のアモイを旅するリハーサルなり

キレイって何遍聞いても白猫はネクラで麝香鼠を喰らう

でくの坊謗らることも甘受して大和哀しや眠る海底

混濁の意識は汚泥のごとくしてあの世とこの世の境さ迷う

一人前の味噌汁作りは面倒なり冷蔵庫に味噌の乾ける

見つからぬジグゾーパズルの一齣よつのる苛立ち抑え難かり

じゃがいももしおしおになり芽をだして次の準備をするというのに

右からの光と風に煽られて身に影作るしかない左

十字路を曲がると月が立っていた　なるほどやけに明るい夜だと

真剣に何を見てるの　愛猫の見つめる先の天井の角

制服に着替える　朝は淡々と流れ作業で始まっていく

きみといて落ち着かぬ指　松ヤニがまとわりついているかの様に

夜正午引力をもつラーメン屋吸い込まれゆく数羽の千鳥

洗濯機取り残されてひからびた靴下捕獲　パリパリと鳴く

飛車角香落として対峙せる名人挑む少年棋士の眼差し

風に舞うシャボン玉見てなごむ君　風に舞う髪見てなごむ僕

バルト三国の旅の不在に探偵なるか独居女の連日の電話

横たわり螺旋を下る　ゆるやかにゆがむうつつの記憶をたどる

手のひらのほしはいつしか消え去った　ゆくあてのない嘘泣きぼくろ

似ていると笑い合わせた指のうず　今も変わらずこの手の中に

今はもう枯れてしまった欅の木神社の林の歴史を想う

みちのくの馬屋に一夜の宿借りる彼の人辿る道のゆかしさ

官僚のおごりに潜む不祥事を暴く会計検査院の人

ミニトマト芽キャベツペコロスヤングコーンまるでおもちゃみたいな野菜

自由席禁煙車両の停止位置半時間まえにひかり号まつ

寄り合えばあおあおとした表情の白薔薇だけの花束を抱く

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不可能な死としてひとつ語られる葉巻数十本を喰らうなど

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うしろから無惨な声がやってきてお菓子がほしい、食べたいと言う

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たそがれて迷ひ躊躇ひ分かれ道老ひ先短き身なれば何を

夏かりの護岸改修計画に賛成の葦は挙手をください

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占星術師の手からこぼれた水晶に今にもあふれだしそうな、海

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スカートの中には罠を隠してる　君の笑顔は嘘がつけない

鳴る前の鈴を聴いてよ胸騒ぎしてよ隠し戸を叩いてよ

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中国の観光バスのくじ引きで当てたる孫の手に今宵背中掻く

青空に大きく伸びをしたくなる今日絶好の選択日和

楽しみの少なき人生おとうとよ遺さる家族守る約束

本棚の隅で見つけた古手紙あなたの書いた文字がいとしい

梅林の奥へと進む忘れていたなにかのような雲を見ながら

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島中を豪雨が洗う六月のキャベツ畑で生まれたかった

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荒れ庭に紫式部の実のたわわ取り壊されるまでのひと時

このかたちこの大きさは野うさぎを狙って仕掛けた罠に違いない

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毎晩の話相手はぬいぐるみそんな年でもないっていうのに

金盥と洗濯板のよく似合うエイミーはお家が恋しかった

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赤い靴履いた女の子の像が見送る横浜遠い汽笛よ

握手して手のひらの汗拭ふなりやんごとなき人の緊張を知る

靴下がよっつ散らばる寝室であとどれくらい抱き合うの、Honey(ハニー)

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尾行する浮気の現場押さえんと探偵の手のデジカメの汗

わがための酒の魚を買いに出る刺身コーナーにまず足運ぶ

抽斗の奥の奥なる発禁本愉悦の笑みをうふふと漏らす

これまでか肩を落として呟けり男の背中に悲哀漂う

ネフスキー寺院の展望の景撮らん乾電池切れに面映くおり

フルボトル開ける勢い続かずにワインを凝視し始める２時

気が付いてしまった後は袖口をいつものようにつかむわけにも

大和煮にされた海豹缶の中海馬らと共に並ぶ催事場

本能を押しつけられた　泥酔いの果てのふにゃふにゃしたまんまのものを

黄昏て対岸に灯のともるころ川の水面を魚跳ねる音

バラバラと天使にひっくり返されたジグゾーパズル降る今日も降る

肉厚な花弁を誇り剥き出しの香をひけらかし咲き驕る色　（かをひけらかし）

喉の奥ひきつる筋肉（にく）で嘲笑う　『今更に泣く私（おまえ）は馬鹿だ』

単４に単３買ひし乾電池大は小をば兼ねることなし

盗塁を決めて相手を脅かす一打逆転チャンス到来

激流に抗ふごとく橋脚は踏ん張って立つ月照らす中

自宅まえ車上ねらいに盗まれし師走の数分に友は大金

髭はやしならずものをば気取る子にちっとも怖くないと犬寄る

ごはんよの母の呼ぶ声路地に聞く缶蹴り鬼はまだ抜けられず

妹の暮らす草津へ近江大橋凪たる湖の群青を渡る

ぎんぎんにアイスワインを冷やしたり琥珀色した液体の精

逆さまになりて網をばゆする蜘蛛脅し虚しく破らるる網

遠泳は卒業までの課題にて質実剛健うたう校風

ならずものと思えるひとに見付たる心豊かに穏和な暮らし

本命は今年もなきままチョコレートバレンタインの悪しき慣わし

ならずもの　まかり通るは西のマナー　歩道を車走り抜けてく

窓ガラスに朝より動かずいる蜂は働き蜂か定年なるか

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母と同じ猫背の姉の作りくれしビーズの指輪が薬指に光る

冬を前に枝伐られたる街路樹よ明るき未来を信じておれよ

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朝夕に欠かさずつける液体の化粧水一滴増やす晩秋

年老いた母に向かいていう言葉怨みと感謝私は子供

あんなにも恋しい思い溶けていく液体のよう流れて消える

片手大の蜘蛛の出没に独り居はしみじみ怖し娘に電話する

愛猫がネコパンチする　勝てるのは小さな蜘蛛と弱った蚊だけ

温水のプールにひら泳ぎする女に羨望しつつわれただ歩く

空想の世界泳いだ楽しみは一歩間違えりゃ妄想の世界

体脂肪気にする夫（きみ）が覗いてる冷蔵庫にはチョコレートふたつ

温水のプールにクロールする女に羨望しつつわれただ歩く

亡き父は心優しきうさぎ年　体は牛のように大きけれど

弓を引く一点見つめ息ひそめ凝縮された一瞬のきらめき

バタバタと　思いつくまま　書き始め　やっと終了　短歌マラソン

昼下がりうたた寝すれば至福なり目覚めりゃ淋しひとりの家は
　

傍にいる　君が静なら　僕は動　見守られては　愛を育む

チョコレート食みつつアルバム見ることが呆けの予防とテレビは教える

後ろなど　振り向くことは　もうやめて　ここに始まる　二人の未来

一人寝の　夜の静寂に　身を委ね　彼の温もり　夢の間に間に

官僚と政治家の区別も出来ぬまま投票場へと向かう秋晴れ

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気を楽に明るく元気ちから抜き生きていくのが私の修業

迷惑じゃないから、という囁きで君のすべてを絡め取る罪

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少しでも　貴方の声が　聴きたくて　掛けてみるけど　留守番電話

その昔アラビアに住むお姫様おとぎ話は幼き思い

大空を　飛べる翼があるのなら　君の傍へと　舞いて降りよう　

仲秋の名月晃るうさぎ影パンダの下がる哀しき目に見ゆ

パソコンと　携帯電話　繋げ合う　遠距離恋愛進行形

ぎらぎらと陽射し差し込む教室にカーテン揺れる遠き夏の日

ハッキリと　思ったことは　言うべきと　言葉のナイフが胸に刺さる

陸を見る海からみればオアシスと我のオアシスどこにあるのか

たそがれのせつなさ好きと言えた日は遥か昔に今は淋しく

届け物　慕う気持ちに　拍車かけ　ついに私が　貴方の元へ

台風に弓なりとなるガラス戸を畳を当てて舅と押さえたり

どうしてるそういうだけが友じゃないと思いつつもメールチェックする

暖かき　言の葉胸に　染み入れば　貴方の愛の　深さが分かる

うたた寝の吾の傍には愛犬も秋日をうけて共に息する

私には主義主張もありませんそう言った友が意地をはっている

焦るなと頭でわかっているけれどうまくいかないそれが人生

メガホンを持つ手が震え叫んでる白熱の観戦サッカーは血踊る

庭そうじ炊事洗濯テレビ体操万歩計腰に楽しい一日

官庁街毎日通った遠き日々都に落ちる夕日懐かし

誕生日　真紅の薔薇に　花言葉　添えて贈ろう　大事な君に　

海苔巻きと　納豆巻に　かんぴょうと　運動会は　巻きものづくし

歩道橋からまっすぐ続く線路見るふるさと続く遥か道なり

生活に　欠かせないもの　衣食住　されど先立つ　お金なければ

貴方だと　心に決めて　動き出す　一人夢見る　未来の計画

人生はマラソンと言へり我のもとを生徒は束の間かけ抜けて行く

多動児と呼ばれて育つＡ君は休み時間に我の手握る

幸せな未来を語れり生徒らに話を合わす教育相談

花びらを　一枚二枚　取ってみる　好きか嫌いか　花の占い

目覚めたら不快な気持ち包まれていたずらしたのは眠りの精