ぼんやりと三十二人の子らを見る中間テストの静かな時間

Ａ君の家は今日も留守のまま転出処理簿も空欄のまま

君達が唄ひたければかまわない合唱祭で翼をください

胸騒ぎ　下駄の鼻緒が　切れし時　背筋が寒く　何か感じる

君達に立ち止まることは許されぬ黙つて歩め真つ直ぐ進め

挑むやうな眼で我を見し対峙する生徒はポケツトにナイフを握る

「さは」と言ふ母に代わつてＡ君の失踪届を担任が出す

暖かな陽射し届きぬ３Ｆの面談室で生徒嘔吐す

木漏れ日を　浴びて心を　リフレッシュ　雑木林を　ゆっくり歩く

右腕に薔薇を彫りたる女生徒は靴を揃へて下駄箱に入れる

我の腕に腕巻きつける女生徒の手首に見ヘるリストカツト痕

納豆は誰も食べない給食の献立は町の納豆屋のため

ひき肉を　こねて丸めて　葉に包む　コンソメ味の　ロールキャベツ

来月の授業計画立てぬままエスケイプした生徒を探す

ゆうぐれが引き出しかける影踏みのルールはふたり一致しなくて

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三十年放つておかれた教室が占拠されたりアスベスト渦

Ａ君の背中の丸い火傷痕ちらりと見へて胸騒ぎ覚ゆ

甘い罠　君に仕掛けて　僕のもの　心結ばれ　初めての夜

Ｄ組の教室後ろロツカーに厚底ブウツが林立せりぬ

バス停がいくつもあるから降りてみた「十字街」からどちらへ行こう

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右腕にタトウ彫りたる女生徒が家庭科室でキヤベツを刻む

可能性無限にありと適当な言葉の罠に生徒はまれり

洗濯は自分でしてゐるＡ君のことを児相に相談をせり（児相：児童相談所）

朝夕と　靴下下着　集めては　今日は天気だ　洗濯日和

この鞄いっぱいつまっているのよねだからいつでもすぐ旅立てる

使われることのないまま剣山は引き出しのすみに収まっている

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本当の自分を発見したいから無理やり心覗きこんでる

制服の内ポケットにうみうしの刺繍をするのが流行ですが

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いつだって時は優しく流れてるどんなに辛く哀しい時も

ウィンドに広げられいる松花堂弁当に咲く生麩を恋うる

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生き方もサラダと同じ年を経てあっさり好みシンプルのいく

ラーメンに酢を入れるって知ったのは結婚52日目でした

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年に一人、夜中にそっと額縁を抜け出している『カナの婚宴』

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しましまの長靴下がおそろいの双子の膝にあるプログラム

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車窓から洩れるひかりを不規則に照り返しいる髪どめのあり

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見るだけで諦めていたマラソンのゴール地点にやっと安堵す

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このひとは何も見ないで螺旋階段が描けちゃうすごい人です

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一輪の花瓶に挿した薔薇を持ちそっとキスしてあなたにあげる

せんせいが泣きぼくろとか図解したチョークの跡が消えてくれない

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回転寿司握り寿司より巻き寿司を皿の上にはプリン・メロンが

なにごとも飽かざることの難しさ幾冊も並ぶ入門書かな

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ひとつひとつ君と旅せし思い出としていくつものぬいぐるみをり

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開きたる本もさかさに目の端の携帯電話の鳴りたるを待つ

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鼈甲の櫛の重みにうつむきて君に見(まみ)えてさらにうつむく

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消音の電子ピアノに奏でれば指のリズムのみ風に流るる

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門前に落ちてをりたる赤蜻蛉たましひのみは飛び続けるや

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食べることそれは生きると云う事で落ちたご飯粒眺めている

天災に血を吹くこころに麻酔して今は体を主となさいませ

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無垢なるをせまき額に印されてゆらゆら揺るるゆりかごの中

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繰りて読む日記のインクはなほ濃くてむかしの我と遊べるやうな

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二次元の若かりし母に見紛へる我の未来の明るかるべし

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何もかもあなたまかせの計画は雨のち晴れの天気予報で

朝からのワイドショーでの占いをなぜか気合いを入れて見る我れ

薔薇色のワインの雨が降る夜にあなたと深く眠りに落ちて

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キスキスキス　ビデオテープを巻き戻し私とあなたの幸福論を

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味噌汁の湯気がふわっと昇り行く幸せ感じる朝食の席

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薄紅を乗せた唇寄せてゆく計画通り満月の夜

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占いと御呪いを見方にし今日、あなたに告白します

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瓶の底密閉された空の青胸騒ぎする夢の後先

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窓際で居眠りしてた林君変わってないね変わらないでね

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さくさくとキャベツを刻む午後6時台所から愛を込めて

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食マラソン最後を飾りし一品は思いがけずも世界のマック…

サマータイム夜も明るく動き出す通りもバールも人で賑やか

未来また訪れる時はふたりでカップルたちに溶け込み歩こう

イタリアを思い返して帰国思う　良い旅だった　静かなコモ湖で

2時前から3時は留守です店だって休みをとるぞの札書きかかる

翼越し見送りくれるアルプスはどこまでも白く青く輝く

地下鉄の駅構内を突き進む住人にまぎれ平日送る

独り者どうし相席ビステッカにナイフを入れるフィレンツェの晩餐

届け物抱えて駅の郵便局これまで以上に英語通じず

部屋に着く　オイルヒーター全開でじわりと広がる暖かさ　ああ

薔薇水の香り流れる回廊を曲がり入るサンタマリアノヴェラ

またいつか！校長自ら革紐でディプロマ巻いてくれた卒業

美味しいねナイフとフォークで蕎麦食べるラスと過ごした帰国の一途

この旅が計画犯であることは両親と姉がよく知ってます

来て早々挨拶もなく洗面台占領してるチャイニーズガールズ

胸騒ぎ高める司会者ダンディなイタリア版のクイズミリオネア

トスカーナ郊外を鉄道走る糸杉林のやわらかい場所

豚肉とキャベツのシチュー「カッソエウラ」昇天ものと言われる所以

旅初日夜景に心奪わせて料金上げるドライバーの罠

歩きはてベッドに転がる片隅で洗濯物はまだ乾かない

ベッドの上ハムでワインを飲みながら日記を書いて終わる一日

バックパッカー巨大に犇く荷物にはぬいぐるみまで連れ込んでいる

このバッグどう？写真つき携帯で土産も日本と相談しながら

アルビオン櫛も入らぬ髪の下厳しい目つきでデザイン始める

飛行機の翼は折れて立ち尽くすふたりは海に隔てられたり

http://homepage2.nifty.com/sora_uta/index.htm

予備校で机を並べインク漏れいつも最初に気付き合ってた

http://members.goo.ne.jp/home/orangemoon1103

病み上がり　みんな異次元空間の人間みたい　ふわふわしてる

http://members.goo.ne.jp/home/orangemoon1103

現実と夢想の狭間あなたとは携帯電話の中だけの恋

空間の曲がりを思う　病人のようにパジャマで過ごす一日

http://members.goo.ne.jp/home/orangemoon1103

ていねいに櫛でとかして落ち着ける髪も心も　あなたに会う朝

落ち込んでいても不思議とマツケンのサンバのリズムに心が躍る

どこまでも続いて見えた月の道　雲に隠れて迷子になった

どなたでしょう羽衣一着落とし物　松原協同管理組合

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独り身のラーメン汁まですすり終え入れ忘れたる調理の小袋

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靴下の穴一つにも人生があると語りし友は帰らず

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長髪をロープがわりに王子様　超ムリ、ムリと園児ツッこむ

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街灯に集まる羽虫クルクルと螺旋に昇りツーッと落下す

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うそ涙得意な友の泣きぼくろ当然それも○○○○○だね

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神様、

運動とCaそして神様は足りていませんけど、げんきです

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吾がために書き続けよう徒然に詠み続けよう想いの言の葉

http://rikka.her.jp/

ぬいぐるみなんか欲しがる子じゃなくて可愛げないのは生まれつきだし

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携帯のメールのルール一分で返信しないとダメって･･･マジで？

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クシナダのように私も櫛になりアナタについて行けたらいいけど

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リルケ愛しわたしを愛したのちのこと棘ある薔薇を君はゆるさず

抱(いだ)かれてあなたの鼓動に耳寄せるこのトキメキが恋のリズムね

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続々と気がついていく少女たち世界が終わりに向かっていること

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麻酔すら効かないイタミ恋なんてただの幻想じゃないか、ちくしょう

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二人寝でくしゃみした吾を抱き寄せてそっと額に当てた手のひら

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サヨナラとインクがにじむ手紙には海の香りがかすかにしてた

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好きなんてことばで言える次元じゃないだからこんなに眠れずにいる

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歳月のひとりに会はず長雨にうどんこ病の薔薇の並びぬ

円卓のこの月明かりにはるばると語り明かさう春巻きの春

うを食めば魚のかなしみ水飲めばみづのさみしさ充ちてうつそみ

原つぱに犬はすずしくあらそひぬ都市計画の網かむる草と

レーサーの歌ほとばしる風の空鈴鹿の鳥は風を占ふ

満月にうさぎがいると教えられ子にまた同じこと伝える

弓構えきっと眼差し上げる人ドボルザークのチェロソナタ弾く

風邪引くようたた寝の子に母かける毛布一枚その温もりよ

楽しみは先送りして一眠り昨日の夢を追いかけてみる

ゼロという不思議な数字アラビアの魔法の起源解く鍵となる

木犀の一枝持ちて教室に朝一番に来る子黒髪

リアス式陸中海岸浄土浜崖っぷち行くディーゼルカー

たそがれの街を歩けば涙ぐむふるさとの母いかにおはすや

火葬場に上がる煙の色薄く今日は赤口明日は友引

主義主張中身空っぽ浮ついて説得力の全くなき人

焦点の定まらぬ日々老いを知る苛立ちあれど諦めるのみ

メガホンを手に呼びかける行く人に票になるとは思えぬまでも

都落ち七年が過ぐ独り身に嫁さんどうかと下宿のおばさん

赤錆し線路の続く廃坑に動くものなしただ風の音

ぼそぼそと張りなき講義続きけり惰眠むさぼる学生の群

居留守したままアパートを引き払う　煮えてる鍋で天井をみる

http://d.hatena.ne.jp/ggippss/

リストラを免れたものの鞄持ちお払い箱となる日間近く

切りたての髪にあなたが触れる今　指先にほら　妻が居る笑む

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=utayomu

「私今、充電期間」という君は完全変態する蝶ですね

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ヌーボーと呼ばれしワイン変わり果て今テーブルに横たわるビン

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おとうとはとおくにいってしまいました。(改変された少年の記憶)

ハードロックとは中間色なりと告げる深紫の水煙

横浜に居たころわたしは幸せで雨のことしか記憶になくて

汗ばんだ季節はとうに通り過ぎ手に入らぬものを人は欲しがる

確定申告職業欄に書かれたる　私立探偵　吟遊詩人

そんな人だったのかとの発見は人を見る目のなさを悔いたり

時経れば解ける誤解とたかくくる機微に疎きを悔ひるこのごろ

あっさりを身上とする吾がサラダ秋の夕餉の家族団らん

まっさらなＹシャツに袖通したるわれを見つめて子が一人泣く

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まほろなる大和をグルリ取り囲み越前クラゲプヨプヨとプヨ

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淡々と気負いも衒いもなきままに出処進退過たぬ人

君が手で泥付きの葱ゴシゴシと額を濡らし飛び散る朝日

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日本語のパズルのごとく詠み進む題詠マラソン折り返さんと

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ゆく気配少しもみせぬ吾が娘つぼみのままに終わる懸念も

日本のみなさん本当に心からマツタケの香好きなのですか！

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灯台は色なき風を見てをりぬ沖行く船の無事を祈りつ

丘に立つ白き風力発電塔ゆるく廻って聴く秋の声

憶えあるリズムでテレビに目をやればらんまやうる星やつらがオンエア

法王死去　復活祭後のバチカンに再び人の波寄せ続ける

寒い日に頬張るフルーツジェラートは麻酔のような覚醒のような

路地裏に額縁工房連なって木屑の香り塗料の香り

恋でなく胸しめつけるものがあるマーマレードインクにひたるフィレンツェ

ミラノ駅独裁政治の次元へとスリップさせる黒いアナウンス

あの角を曲がれば会える気がしてる5年先でも10年先でも

花束の華奢なブローチ胸元にあてがってみるアンティークショップ

この旅もあっという間に終盤ね暖かくなりつつある四月

パリッとしたブラックスーツの女主人トラディショナルな町のボタン屋

人それぞれ五指に喩えしヤッセルよ私の中で消えない横顔

みな閉店スフォルツァ城でも散歩しようローマ法王死去の翌日

薬品の科学に先立ちmedicineと名づけしはあのメディチ家と知る

子どもらが駆けずリ回る緑の丘鬼さんこっちよここまでおいで

風邪気味の夜は一層冷え込んでドライヤーさえパワー不足だ

じゃがいものニョッキにクリームからませて最後の昼食丘の小店で

かたつむりマークと同じにゆったりと木陰で糸を進める職人

腕比べ二人が見せし十字架像ブルネレスキもドナテロも良し

剣闘士を奮い立たせし歓声が現（うつつ）の如く我が身に響く

衛兵のコントのような制服さえミケランジェロのウィットと合点

松林パラティーノの丘ただひとりパトカーの音遠くに消えた

毎日がパスタ食でも飽きないなラーメンじゃこうはいかないけれど

靴下も靴も乾かぬ雨の日はどうしようもなく独りを責める

着こなしは髪・肌の色と切れぬもの観光客の列に教わる

長い長い貝殻螺旋を駆け上る一歩一歩と気持ち高まる

ブタネスカ泣きぼくろの女誘うこなれた味が口にまとわる

この線の狂いを正す消しゴムを探す引出し写真ばかりある

壊して後また積み上げる砂の城日々の暮らしも風に吹かれて

マクロにあるいはミクロに何処まで人を忘れて伸び行くか科学

大江山の鬼と疎まる酒呑童子反権力に生きしのみにて

風邪に臥し見上げる小窓の赤き星物皆憂ふ眼に鮮やかに

続かない明日のための夜なのに合鍵ひとつ反射している

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屋上で打たれる麻酔まひるまの雲あかるくて眩しすぎます

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額縁を割って嵐は過ぎてゆく油彩の蛸に与うる出口

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いわないで　途切れたことばを６番のインクで綴る飛べない鳩が

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まっさらな鏡をなぞる異次元に夢のてのひら伸びて　くらがり

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うねること想いだすことノイズ入りの曲流れきてこぼした珈琲

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月光に透けるからだを押しひらく誰のために咲く花束なのか

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不覚にも侵食されて止りません。泪が、泪が、たそがれの奴めに。

おんどれが　いにさらしもて　十年や

　　　　　　　　　　　　……友よオカリナ覚えました……

唱えれば反論する血もありて主義語るほど我纏まらず

もういいや不貞寝きめこむ草原のくちびるに四つ葉さしこまれてく

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不器用なあなたのおじや食べながらたまには風邪をひこうと思う

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ゆでたてのじゃがいもつぶす　決心のマヨネーズならたっぷりつける

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