ならずものではない人は手を挙げて世界の横断歩道を渡れ

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普天間の基地の移設は不沈艦空母の模様替えごときかな

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液体にそして帰化する肉体は霊魂となり誰に吸われる

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技術室裏の花壇の地蜘蛛捕り噛み合わせては埋め戻しする

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ハチ公の信号変わり人波をピラピラ泳ぎ一息をつぐ

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食べまくるカカオ７２チョコレート４キロやせてこの三カ月

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アキバケの飼いウサギ化す娘らはキモカワイくてヤバイほどかも

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日の本の列島の姿弓に似て国譲りの矢射ることなかれ

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樹の下で個人的にはうたた寝のつもりが永久の眠りなるかも

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苦があればこその楽だと１セットならばいらない無事がなにより

書道家の手紙きちんとたたまれて鶴の飛来は明日かと思ふ

ぬひぐるみ春の名前をもつものの午後はひたすら眠くてならぬ

日食に墓標のごとく並びゐる写メりたがりのＤｏｃｏｍｏの携帯

梳く髪に夜ごとの櫛の物語りつげの小花もしるし見せなむ

通ひたるこころ鳴るなりしんしんと盆のまつりの太鼓のリズム

人生に濁点を打つ要領でしっかり付ける青い髪留め

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かなしみは螺旋を描き下ってく空を真下に見た水曜日

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泣くたびに飛び立つブラックバードには泣きぼくろなんて名前もあって

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目覚めれば部屋じゅうアゲハ飛んでいて変わる魔法を教えてくれた

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乾杯をするためだけにあるワインみたいに封を開けられて朝

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長すぎる袖のようです思い出がうまく扉を開けさせなくて

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「底辺×高さ÷２は嘘でした。もう離婚です」科学者の妻

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いくつもの角を曲がれる人生も幅広き道の蛇行とおなじ

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言の葉の花束なりし書物より心をほどく香り出でけり

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南へと渡る雁がねしあわせを四葉をくれし父に伝へな

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袖とほす夫のスーツの大きくてやすらかになりて午睡おとづる

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消へゆける時の長さによく耐へて背筋伸ばしつ診察を待つ

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いにしへの城のゆくえになぞらはばいつか消えゆく拠り所なり

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ぬばたまの宇宙(そら)に寄りあふ星々の科学の瞳に映りし光

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深き夜の閉じざる闇にきこゆるは友を探せる赤鬼の声

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縁ありてふたり家族となりたれば風邪もうつれる距離にをりませ

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土の人真白き軍手を茶に染めてじゃがい畑より帰りゆく

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自由こわいね、あかあおきいろももみどり鬼の世界における階級

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かなしいことはかなしいと言え　きみはまた花束のまま枯らしてしまう

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木曜の朝のジャニスがコーヒーと四つ辻に降る雨にまぎれて

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運ばれるスーツケースを待つあいだ死者の名前を思い出せずに

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消え残る記憶、書棚の片隅の蝿の死、真夜にひらく花の名

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城だったちいさな部屋にいくつかの花を咲かせた遠い五月を

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水盤の曲面にある揺れている草の模様もさ揺らぐ午后を

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花束を献ず　河口に流れ着く海となるべきしずくのために

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四次元と三次元との狭間にて亀の甲羅はゆがみていたる

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肉体を今日も伴う空っぽのスーツケースをひきずるように

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消火栓の林があって戦ぐなどと酔っぱらいゆえ言う熱心に

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城趾にて雀のような隊列の女子高生をやり過ごしたり

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科学的根拠を問われる六歳の綿飴の消滅について

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鬼薊のような女性（にょしょう）と記された滅国の妃よ十二番目の

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気象学用語辞典を棚に挿し風邪の予兆はしずかにつづく

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じゃがいもの芽からやさしい毒生（あ）れて滴を受けるジャンヌの額

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たそがれに三輪車の音のみ聞こゆここは昔は狸の里だ

かがなべて百億の昼と千億の夜の果てなる王都への旅

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研がれをる鉄あるところどこまでも線路をつたひ災ひは来る

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世界はすべて神の眠りの夢なりと夜明けに猫が枕もとで言ふ

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かなしみのすぎさりしごときある朝の茂吉の鞄の匂ひと思ひき

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発見、といふとき言葉の密林に見えて隠れて川口浩

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鶏頭の十四、五本ある家ふかく時計の竜頭のルビーが翳る

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塩の壷をまはしあふ朝さらさらと秋のサラダや聖家族(サクラダファミリア)

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淡水のごときかなしみさらさらと流るるを見き詩歌の一行

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「つぼみ」と封に書かれし手紙のひとひらの花びらのごとき言葉ぞあはれ

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秋雨にうたれて薔薇はあざらけくやがては土にもどるその色

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ああ、とこゑはつか洩れをり洗ひたるお茶碗伏せれば円形の闇

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暖かな日溜まりばかり踏む足を求めて君は夜を彷徨う

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見つめれば遠くなりまた近くなる君の鼻翼のかすかな動き

地球儀をどんどん回せ経線を越えて西へと進めば「きのう」

感情をうすうくうすく削ぎましょう月の光をナイフにかえて

つつがなくスパム降り積むボックスに友の訃報が届く八月

暖色の底ひややかに寒色のかすかなぬくみ交じりあう冬

冬の夜の濡れ髪がすぐ凍ること喜屋武くんだけが信じやしない

ねじれては空へ伸びゆく音階の螺旋のようなカデンツァでした

つばくろを南京ぶくろに閉じこめたちびくろさんぼの右泣きぼくろ

調を変え拍子を変えたその先になお揺るぎなく唄はあること

ソースパンにワインビネガー煮詰められさっきまでかなしくはなかった

寒いおもいをしませんように　袖口のボタンの裏におひさまを描く

ピーマンを残さず食べたご褒美にひとつ余分に切る大和柿

銀ねずの陰をまぶたに淡く刷き我が泥眼を閉じ込めておく

難しいパズルのように配置するタルトの上の三種のベリー

はみがきの途中で呼び出されたから夜はいちめんミントの香り

丘に住む葦毛の馬にシャコンヌの足の運びを教えてもらう

在庫わずか！財務官僚御用達星座盤付きブルースハープ

分岐路のたび雛罌粟にだまされてたいそう深く迷ってしまう

禁中に燐寸を擦ればおもしろしおもしろしとて彼の人びとよ

背中から落ちてゆきます地にひらけば奈良の都が見られるでせう

静電気娘のきみと五本指ソックスのぼく、Home Sweet Home

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彼らはみな知つてゐるのだ道の果てに音楽が微笑んでくるること

未来しかみえていなかった８月は僕らのＳｅｖｅｎＤａｙｓＷａｒと

※「Ｓ」が抜けてしまいました。

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チョコレートぺきんと折りて餓ゑたる者どもの手に頒ちやりたり

「餓」＝「かつ」

大いなる徒労のごときマラソンを祝聖しつつわれら愉しゑ

アラビア人はアラビア数字が支配する世界を想像したのだらうか

教室に「ゆとり」の居場所つひに無く ほら簡単にガラスが割れる

Ｄドリアン・モードに移るしばらくを水にただよふやうに動いて

失敗に終はりし上陸作戦を悔ゆることなくクジラはぷかり

テレビジョンはたそがれの闇に染まりつつまた繰り返す自爆テロの報

あのひとの部屋は留守ですだってほらあのひとは今、目の前にいます

あのひとの語尾が静かに整って近付いてくる こんなにも秋

マラソンを喩として哄う酒くさき夜更けの電車に揺られ帰るさ

マラソンナコトイツテルノひとりだけ醉ひたる姉がふいにからみ来

五億年たつても留守のままでゐる新ちやん、はやくもどつておいで

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翼もつことの自由とせつなさをヒマラヤの峰越えてゆく鶴

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進学塾さぼつて屋上から見てた海、髪の毛が冷えてくるまで

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届いても届かなくても良い手紙　ポストに出せば明日は晴れる

運命は三度の動機に擬せられて扉を叩く２９分

あのひとの部屋は留守ですだってほらあのひとは今、目の前にいます

099:動　動かざることをアイデンティティとし片肘に頭ささへゐる午後

バラ色の未来と告げらるる夢を話せば妻の淡白な笑み

幸せをもたらすという冬薔薇も近頃あまりにありふれていて

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カンザスを吹き抜けていく竜巻よ、今日は誰をさらっていくの？

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今だけは充分すぎるしあわせに昨日と明日を罠に落として

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あくる朝黒きボディの静まりて子の部屋の夏すべて終はりぬ

給食のチーズをかわりに食べてくれる山本君が大好きだった

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ウエディングベルを鳴らす計画は今年もやはり実行できず

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とりあへず本意に居留守させながら部長の案に挙手をしてをり

終はりねと君は言ひたり青白き翼のごとき笑みを浮かべて

突進を是とする姉の焚きつけて爆砕したり妹の恋

『未来』まだ若かりし夏、裾しろくゆらして過ぎし村井義子よ

静謐を井の深きより汲み出だしあひ頒たむとせし、と伝へよ

ラデツキー行進曲のラデツキーが将軍の名とこの歳で知る

十六年暮らしし犬とのお別れに棺に入るる白き花束

駅前のジャスコの跡がいまもなほ空き地で残る四日市の街

独身のときのスーツがまだ着れる三十年間進歩なきわれ

消火器を消化器と書く人多しワープロ頼りで脳はゐねむり

エレベータ・エアコン完備で聳えたる観光用の城風建物

科学とは区別するため化学（ばけがく）と呼ばるることありわが専攻は

読むことのなくなりてもう二十年書棚に休む「泣いた赤鬼」

日較差大きくなりてあたたかき柚子茶を飲みぬ風邪の予防に

鍬切れのじやがいもを煮て一菜となしたる夕餉　収穫のとき

霜降の陽はやはらかく差し込みて庭木の影を障子に映す

人生の十字路なりしあの時に選びし道は正しかりしや

夫婦仲の剣呑なやうす見てとりし犬はこそこそ部屋を出でゆく

制服の娘（こ）らは通路にあぐらかきうまさうに飲むマクドのシェイク

水泳の授業を受けし松原に化学工場がいま立ち並ぶ

お湯を入れ三分たてば食べられるチキンラーメンは驚きだつた

繕ひをして靴下をまた履きぬ戦後一桁生まれのわれは

髪型を変へたる妻に気がつかず夕餉の卓に小波の立つ

ＤＮＡが二重螺旋と見つけたるワトソン・クリック ノーベル賞に

反町は松嶋菜々子の泣きぼくろにほれて結婚したのだらうか

留守番をしてゐるときに北窓を銀のひかりがかすめていつた

従順な水に折り目をつけながら　泳ぐ　誰にも媚びない背中

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やけどするような余韻を粘膜に残すおんなのチョコレート味

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街頭で貰ったティッシュをくしゃくしゃに丸めてつくるうさぎを逃がす

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アスファルト道路に青い影を張り余熱を冷ます弓形の茎

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なまぬるい小指で汗を撹拌しこぼれた夏にうたた寝をする

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情熱をやさしくぼかす雨音であまれた楽譜　大人のための

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日焼けした少女がくれる一秒を砂漠に撒いて眠るアラビア

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のばせない爪を理由にとりあえず今日はお休みピアノ教室

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しあわせがたった今まで居た証拠に部屋の空気がまだ暖かい

渋谷へ行こう　みんなが振り返るほどの薔薇ッチックな服で着飾って

旋風を巻き起こししは「ダルビッシュ・真壁」東北二枚看板

来年もホノルルマラソン行くと言ふ友あり我はこの題詠を

わたくしの躰(からだ)に潜(ひそ)む螺旋形　孕まぬ卵子　それもわたくし

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神様、

いつか世界の切り口を見に行けますか　息をひきとるように　静かに

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私というジグソーパズルを取り出して隙間をうめてくれる恋人

照明を抑えたカフェの静物画あかい林檎の朽ちゆく気配

ぬばたまの夜の留守番電話からとかげの舌のちらちら覗く

楽天主義の君の口癖漢字で書ける？人間万事塞翁が馬

口先のみ官僚のように立派でも似合うのは千歳飴

未来しかみえていなかった８月は僕らのｅｖｅｎＤａｙｓＷａｒと

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これが正しいと一遍の迷いもなく告げることが優しさかと

ウェッブで発すと言えど大和歌題詠マラソン完走したり

鳴動す携帯電話目覚ましに眠るあいつは雑踏警備士

輝くも輝かないも君しだい二十歳の未来に残り半分

ゴンドラののぼり行く先静かなり甘い時まで暫し耐えよう

学童に留守家庭児等つどい来る小麦の肌に笑顔輝く

あけぬ夜は消えぬあまおとうとましくすでにない日に寄り添い眠る

実体の見えない翼竜如何に飛ぶ羽ばたき下手な鏡のごとく

進むこと止まることは敗けること敗けぬ道筋探して歩く

仕事終えペテーナイフを研ぎ清ます己れも研いで夢を叶えん

彼方まで届けとばかり点灯す島国日本夜空を照らす

椰子の実を届けてくれた暖流に両手を合わす老婆を診たり

薔薇となり今も生き居る妃あり事実を抱いて静かに眠る

造りしを一巻にして与えよう君と過ごせし思い出として

人間は地球も食べる生き物か減りゆく自然増える人口

老兵と少年兵で計画す本土防衛いかなるものか

時々で心を占める様々が織りなす路ぞ人生行路

胸騒ぎあなたの声で目覚めれば紙一枚で靖国の妻

花一輪路肩に見つけ一休み登る林道残り少々

キャベツ無きスープと黒パン朝食に永久凍土で命つなげる

家庭持つ暮らしは罠か魔法かとおもいを背負い今日も働く

なしえない過去の洗濯羨望すカスだけ残る恐怖あれども

壁面に大書されたるスローガン赤子が泣くよ躯の側で

道ばたに腕を無くしたぬいぐるみ軍靴に踏まれ「ミャー」と声あぐ

食料の携帯持たぬ兵士等は悪代官と現地調達

櫛削り肩組む姿はひめゆりか摩文仁の丘に咲いて散りたり

エンジンのリズム乱れど飛べば良し風を熾せと将は命ず

続編を息子とまちつ映画観る手紙を持たすフクロウはなし

「麻酔・メス・鉗子・縫合」耳にした手術台での実況中継

靖国で額付く者も戦犯か子連れ参拝言語道断

愛しさがインクリースで結婚しデクリースするその後の暮らし

僕たちに子供が入り三次元思い交わり四次元となる

甘い香りと内緒の話ロッカールームの合言葉「本気の紫！」

交差点曲がり間違えあさってに遅刻するなよ雑踏警備士

せめてもと花束おくる誕生日真珠の年に残り数年

四方見て交通誘導旗を振る十字路からむ路上の工事

リクルートスーツの若者街を行く後期にずれれば即フリーター

遅れればホテル入れず港に一人初横浜の夜の思い出

生きるとは未来を食べて歩くこと消すに消せない過去の足跡

見上げれば荒城の月ひかり居るここまで過ぎし年月のごと

バカ直す科学があれば人死なず万金積んで我も求めん

着剣し鬼神を目指せど能わずに弾雨にうたれ皆倒れたり