やさしくてぬけてるところもあるけれど漢字で「薔薇」が書ける人です

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春巻きの春雨みたいに光ってて長くて細い人生だった

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どれくらい夢を食べてもいいですか　空に浮かんだ綿菓子くらい

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無計画すぎるあなたの人生にわたしを加えてもらえませんか

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占いで大殺界であったって停まっていてはいけない気がする

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人生で最大級のピンチなのだから胸騒ぎくらい感じて

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初恋の小林くんはこの秋に結婚するんだそうだめでたい

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春キャベツみたいに甘くてやわらかい言葉をかけて枯れちゃう前に

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着信をワンコールだけ残したら何かが始まる壮大な罠

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洗濯機まわっているのを見ていたら吸い込まれてゆくわたしの魂

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突然のさよならだった　いいわけの定型文を辞書で探した

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曾祖母の白髪の絡む櫛などもまだあるのだろう記憶の家に

リズムにはならぬ間隔　居間隔て蒲団の中より母の呼ぶ声

不可思議に夜明けと朝は続きたり睫が少し伸びにけるかも

歯科医院を出れば冷たくわが頬を麻酔は垂らす白き日差しに

夕光に額の線の顕ちていし君の思考をわれはたどりぬ

橋が揺れ僕が揺れると目が回り星が回って宇宙が動く

いいことを教えてやろう、バルガスはならずものだが犬が嫌いだ。

米櫃の中・指の股・テレビ欄　母さん邪魔だほっといてくれ

人よみな液体となれ器から漏れて混ざって乾いてしまえ

生まれくる朝を恐がらせぬように夜明けの蜘蛛は地の隅を這う

人待てばビニール傘にぼつぼつとインクのようなる雨滴りぬ

雨の日は夜の渋谷を鮟鱇が海のつもりで泳いだりする

チョコレートひとかけ溶けてしまうまでならしあわせは実体をもつ

あかいめをおしげもなしにうるませてけれどうさぎはこっちをみない

なにもかも眠ったはずの新月の夜というのにまだ弓が鳴る

うたた寝の君を起こさぬ静けさで午後のパティオに光が満ちる

人待てばビニール傘にぼつぼつとインクのようなる雨滴りぬ

君のところへ一発にして進むべく次元爆弾作成し始む

人避けて来たりしのみに太陽の真向かう道へ曲がりけるかな

日溜まりのベンチに少しこごまりて秋の背中に母はなりつつ

換気扇の吸ひてゆきたり溜息と紫煙と秋刀魚の香と夕間暮

「会いたい」と君に言わせてみたき夜微動だにせぬ携帯電話

長身の鏡の前に並ぶとき妹の髪に入れたき朱櫛

液漏れ酷き乾電池替へる脇にゐて子は悠悠と寝小便せり

たんぽぽ組の園児あらわる「あね」役と「おとうと」役の名札をつけて

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富士の峰に紫宮へ続く縄梯子垂れているなどと目を細め言う

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横浜港上空をヘリは旋回す　胴体だけのとんぼのような

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汗知らず構えた母の表情が思い出せない此岸の夜明け

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猫探偵に追われたからにはおのが影を剥がして夏みかんの皮で拭く

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シャンテリー　ああ禁断のシャンテリー　洋梨畑は重力が強い

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夏服の車掌の背中に這い上がる蟻を凝視してもう皇居前

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早晩、あなたの夢をみるのです。魚をちぎってむさぼる夢を

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ぼてぼてのいらなくなった乾電池の箱の暗部に待つ蟻地獄

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棒立ちの夜盗に捧ぐキャンドルのめらめら灯るバースデーケーキ

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この風邪が君から貰った風邪ならば治らなくて良い死んで本望。

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じゃがいももチーズも嫌い　趣味の合う友達になどなりたくはない

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ふざけるな　影だけ落として消えてって、悲しくならないはずがないでしょ

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まだ青い松ぼっくりのもちおもりふわり時間が立ち止まります

さよならは言わずに別れてしまおうよ　ひとさし指を十字に重ねて

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ラーメン屋のあるあたりから三軒目秋にまちぶせされたのでした

秋空の盗みゆきけむつひに言ふことのなかりしわが初の恋

ジーンズの下に靴下くるくると、上手く唆されたものだわ

浴槽に満たしたお湯に髪の先濡れないほどに切ってください

禁断の木の実を取りて泣きし夜のイヴの掌のなか疼く自己愛

湯の内に蛍のごとき背中あり　な明けそ鄙の隠れ家の夜

痩身の五色の魚を泳がせる君の髪にはつひぞ触れえぬ

寂しさに乾電池買ふその刹那黒青き夜が満ち満ちて来つ

密談と酒盗の味を知りそめし冬より我は勤王の志士

桟橋に影を立たせて夫（つま）と逢ふをんな義太夫の青き踝

「どうせどうせ」と言ひつつお洒落してみせつならずものにもなれぬこげぱん

たらちねの母を知らざる犬の仔がゆるり柔らかき水をくぐりぬ

液体に流れ込まれて胃袋も悲しかるらむわたくしに似て

まひまひの歩みにあはせ紫陽花のつぼみ垂れゆくそれだけの午後

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眠りたくないわけじゃない起きるのと起きられないのが怖いだけなの

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謎めいた重さの鞄肩にかけ地面に沈んでいくのがわかる

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動悸かなそれともこれは胸騒ぎ　それさえ君を想い出す紐

しなくてもいい発見をしたときになかったことにすればよかった

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橋守のやうなる犬の寝そべりてときどき黒き耳を立てをり

ならずものどもを千切つては投げる夢をみながら吊り革にをり

天井に秋の日ゆれて母子手帳うめゐる母の小さき字を見つ

お互いの気持ちはいつも曖昧で背中を向けて絡ませる足

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白魚のようなあなたの指先がわたしの髪をといてゆく午後

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乾電池切れた目覚まし横のきみ起きなくていい朝ならいいのに

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今日もまたスーツの内に忍ばせる防弾ベストみたいな辞表

食いたいと思ったならば食えばいい消化不良で苦しむ覚悟で

雨の音盗めないまま朝がきてあなたは誰を想うのだろう

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天守より城壁になれ　後世に残っているのはお堅い奴だけ

手をつなぐタイミングがまだつかめない綺麗なかたちの橋の真ん中

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問題は全部科学が解決し未来があった大阪万博

鬼はそっと服はえっちな虎柄のパンツを脱いで私の横に

夏風邪が治らないまま秋風が吹いてきたのに熱は下がらず

虚しさやワインの染みが意味を知る薔薇の刺繍のテーブルクロス

暖色に濡れた右手を混沌とするところまで挿し入れる夜

巻き戻し過去に映るは錆付いた愛スローで回せ短き未来へ

少しだけ背中に触れてもいいですか角を曲がればお別れだから

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白魚のやわき尾びれのひるがへり銀のあぶくが流れてもゆく

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手抜きすら粗食と言うと良い響き気ままに工夫一人暮らしを

ナイフより、剣でひと突きしてください　そういう優しさ、覚えてください。

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胃液くさいキスをした朝ぼさぼさの髪を手櫛でなほされてゐる

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ねずみにはねずみのリズムお食事はピーマン、固形飼料（ペレット）、牧草の順

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もし君に制服のころ会ってたら それでも僕らは恋できたかな？

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松の木のてっぺんで君の名を呼んで落ちて死んだら報われますか

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かけねない家になりつつある場所へ線路のうえを運ばれてゆく

したあとの眠りのなかできょうだいになりたかったんだって思った

いくつもの宇宙が語りかけてくる鞄屋の朝希望にみちて

まだあまりしらないひとと昼下がりねこを発見しつつ歩いた

液体のごとく晩夏のゆふやけのあふれて祖母は身罷りにけり

喫煙は隔離か排除常識で出先機関は計画すら無し

残念と無念はちがふ丸めたるちらしに叩（はた）く十月の蜘蛛

山盛りのキャベツの千切りのやわらかさ仕事のつらさ介護のつらさ

やはき棘にも似たる光のはねてゐて泳ぐにはまだ早さうな湖（うみ）

女性技師であつたのがせめてもの…
チョコレート味のバリウムのみてをり二月十四日の昼下がり

ネズミ捕りの罠にかかりて引き込まれ行く吾より2台先の4WD

凹凹（ぼこぼこ）の気分なるごご校庭に二羽のうさぎが草はみてをり

五色だとゆづらぬ異国の友とゐてひとまづためす虹の引き算

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堤防でうつ伏せてゐるＡ君に橋の上からバヰバヰをする

奪われるおつもりですか薔薇色の頬のあなたとゆく遊歩道

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君達がならずものでもかまわない担任はそれでも担任である

Ａ君の家に立ち寄りＡ君の母親と喋り学校に向かふ

理科室の鍵のかかつたスチイルの棚に置かれる青い液体

懲戒に生徒指導の名目で彼らの前に蜘蛛の糸垂らす

下級生に圧力かけてゐることの確証ないから泳がせておく

チヨコレヱトの貰つた数を新卒の青年教師と競り合つてみる

別々の小屋で飼はれる学校の校庭横の雌雄のうさぎ

町内の弓道場にて生徒らと的を射ちゐた理科教師逝く

突つ伏してうたた寝をせり生徒らの茶髪の光る午後の教室

手の平の熱でとろけたチョコレイト泣きぼくろみたいにぽつりひとつぶ

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えいえんに変わらないものなんてない最後にのこるさよなら以外は

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したためた血の色ワインに血の色のくちびる外はネオン血の色

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こうやって袖振り合うのも何かの縁きれていくのも何かの縁

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探しびと見つかりましたかささやかなあなただけの大和撫子

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じわじわと近寄り猫の肉球に汗をかかせる程度の不幸

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出来るならしあわせだけを探したい探偵志願の八月同盟

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本の中／音楽の中／僕の中　禁転載のいたみは何処だ

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はてしない世界のかなしみを背負うロックバイターの背中は猫背

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曖昧を愛するうちに海に居て僕が逃したわずかな魚群

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真夜中が僕らにくれるドキドキはみんなもれなく乾電池式

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声のする方へといふ声ばかりしてどの声なのかわからずにゐる

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競走馬の役目を終えて晩年はぽっくりおっとり生きていきたい

官僚の肩書き捨てたＳさんに厚き手紙がユダヤから届く

丈高きススキが原の迷い道光の中へ消えていきたい

おとうとのいない我には難しい五歳年下君の気持ちが

あかねさす紫水晶透かしみてあなたの愛を確かめている

横浜の港の見える丘に立ち風に吹かれて愛を語ろう

紅葉を見る人ひと人晩秋の涼しき京でひとり汗かく

春風はそよぐタレルの真四角の空をふたりで独り占めして

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終電の最後尾から眺めてた　線路が闇に消えてゆく様　

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眠りから覚めてしまえば無機質でアンバランスな　たぶん明日だ

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鞄にはモノがいっぱい詰まってる　必要だけど大切じゃない

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運命の人を発見する日まで緻密な観察そして実験

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なにげなく振り子時計が告げている　小一時間の旅の終わりを

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市町村合併短歌ならずものそうゆうもんだとおもってみてる

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未来ってあると思うと見えなくてないと思うと燦然と　ねえ

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日没の緋色を抱いて昏睡す古代魚の名は紅尾金龍

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デジカメの中で錆びつく乾電池あのときの僕あれからの君

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背表紙の分類表が黄ばんでる『怪盗紳士リュパン』を返そう

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吊り橋をわたっておいでこの岸へ 森が呼んでも歩きだせない

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正義では平和にならずもの言わぬ母と子が住む瓦礫の荒野

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待たれてた雨がやうやく遠巻きに降りはじめたり、包まれてゐる

ラップってリズムリズムして嫌だなあ　鼻緒の切れた都都逸みたい

次回での継続審議を前提に今日は醤油で妥協ましょう

麻酔屋はμｇの勝負だと言って胡椒のビンを手に取る

剥がされてただ一片の石になる 視線の前で雲母のようだ

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満ち欠けに誘（いざな）われゆく液体は皮膚一枚で囚われた海

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永遠に充電できぬ夜の果てで三度ふるえた携帯電話　

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ひとすじの長き黒髪手に落ちて朝（あした）の櫛よ秘めて語るな

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小雨降る春のゆく果て泥みつつ君のリズムで溶かされていて

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ほんとうは蜘蛛の形がわからない見る前にいつも殺めてばかり

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クリオネの泳ぐ姿にだまされる捕食のしかたは悪魔的です

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わたしだけ覚えているよな泥色の約束いつか綻んでいく

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難解なパズルでいたい簡単な言葉でおちるとおもわないでね

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あの部屋にいた時おぼえた香水がただ強すぎて困っているだけ

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かみさんの実家の蔵の蓄音機叩けば喚く「鬼畜米英」

風邪なのか二日酔いかの判明は多分時間の問題でしょう

デコボコが少なく丸いじゃがいもはきちんと修行終えたものです

白黒で我慢してきたパンダにはカラーの影を付けてあげよう

赤十字・赤新月館は万博で善意の涙配ってました

「私が諸刃の剣とは何よ」と裏刃の方で攻められている

人生の岐路は迷わず制服で決めてきましたリカちゃんのように

盆栽の松の木のように高官は出来ない理由見事に述べる

ラーメンの汁飲み干して月見ればそのうちいいことあるさと笑う

靴下の苦労思えば水虫が痒いだなんて言えないでしょう

格安の散髪屋にてニイチャンに「眉は残して」「耳も残して」

繁殖期　螺旋の雄は羽広げラセンダンスを激しく踊る

きゅんきゅんと胸がなるのはなぜかしら変調きたす私のココロ

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今夜こそあなたのことを独り占め猫にマタタビあなたにワイン

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冷たくてびしょびしょの袖手をとって大好きだよと言ってほしい

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感情を即行動に移す我大和撫子くそくらえ

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この気持ち量りにそっと置いてみた雲泥の差だ君とはきっと

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単純なパズルのようなわが心あなたのために笑っていたい

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香とわが名を呼ぶは愛しき人夢の奥から膨らむ妄想

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馬の瞳にうそ偽りが言えなくて大好きだったのあなたのことが

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完了を官僚と打つ丑三つ時静寂な夜は私のために

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薬指涙の流れる我心迷い猫がにゃーと泣く夜

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ほっとするゆるく流れる日常に帰ってこないおとうとの部屋

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夕暮れが紫色に溶けていく私の心ここにあらん

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青色の階段見上げぽつぽつとこれからひとり横浜の夜

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じんわりと暑さがこもる黄昏時汗疹の見える胸元の影

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悲しみがふと迫りくる金曜の夜の街角探偵のように

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（執政官室の机で、ミラレスは一枚の羊皮紙を丹念に見ていた。突然ドアがノックされ、「失礼します」と腹心の部下が入ってきた。ミラレスは慌てて机の引き出しをあけて羊皮紙を仕舞いこんだが、そのときに思い切り指を引き出しに挟んでしまった。「進行状況ご報告！　姫様は今　キャベツグループに匿われており。。。」近頃、毎朝のように川に遺体が浮かんだ。《王党派メロン》の内情を知らない者には窺い知ることのできないことではあったけれども、それら亡くなった者たちは皆《キャベツの親分》の知り合いたちであった。事件を報じる新聞を読むたび《キャベツの親分》の顔色は曇っていった）

強硬派の首領に進歩的見識なし　朝ごと川に遺体は浮かびて

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林さん林君が林立する礼儀正しい朝のねむりだ

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直（ちょく）なゆえ折れる切れるを許されぬ棒ラーメンは挫折を知らず

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靴下と靴の厚みがもどかしいピアノのペダルの鈍い金色

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「王子さま頓死」を知らぬラプンツェル長い白髪（しらが）を編んでは解く

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○「王子さま頓死」を知らぬラプンツェル長い白髪（しらが）を編んでは解（ほど）く

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「XY」二重螺旋をほぐしたら、「Z」を作ってみません？　＞卵子。

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