続編が気になるけれどこの本の作者はすでに亡くなってます

明け方の夢に麻酔をかけられたような気がする　花一匁

おとうとを羨みし日々おとうとは吾を羨み過ごしけるとぞ

あれこれと紫の花多くして秋の野山を風さまよへり

一度だけ野球好きなる父と来て横浜球場の風に吹かれし

九十九の汗を惜しみて良き結果だけを欲しがる奴等ばつかり

五本指靴下同好会からのすてきな勧誘メールが届く

http://blog.livedoor.jp/capybara2/

眠さうに喫茶店にて爪を切る人を探偵と知つてがつかり

泣きじやくる彼女の髪をなでながら溶けてくハーゲンダッツを見てる

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発禁本と言はれドキドキしてしまふ今見れば何と言ふことなきに

背中より女を抱けり肩甲骨の窪みこよなく愛（かな）しと思へば

人ひとり乗りし魚雷がかつてあり若き命も部品のひとつ

捨てられし乾電池よりなけなしの電気集めて生きざらめやも

民草に夢を見すべき政治家の夢盗人となり果つるかな

洗濯をしましたあたしの人間(ひと)の皮明日も人間(ひと)でいられますように

http://www.geocities.jp/isanajpjp/

落書きを背中に彫ったその夜は心ばかりが痛くて右の

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気に入りのからしの色の靴下に小さき穴あり爪出でて見ゆ

断頭に差し出すごとく首を伸べさからひもせず髪洗わせる

いづれより飛びて来たるか庭隅のねぢばな螺旋の花をつけたり

素敵ねと社交辞令で言ったのに額面どおりに受け取るなボケ

http://circus.milkcafe.to/

真夜中はインクジェット・プリンタのカートリッジがきれる時間だ

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泣きぼくろあつても私は泣かないと強がりを言ふ泣いてもいいよ

禁煙のマークを心底うらみつつ次元の低い会話に耐える

http://circus.milkcafe.to/

我が春と咲きし桜の散り果てて何も変わらぬ春となりけり

剣呑に寄せては返す白波に受信メールの奥を見つめる

http://blog.livedoor.jp/catjun/

制服が何より似合うと言う母よむしり取られた薊てんてん

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ひらひらとそよぐ扉は抽出の松山行きの航空券に

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みず色の淡い涙を流してたあの日の君を抱きしめたくて

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月影は淡くたゆたふ海馬の森を　この奥ももつと向かうも

廃駅の線路つめたく眼前を通過するべし音のみの貨車

西へゆく　稜線かたき山々をおそれてひたすら眠し機内に

宙（そら）に吹く光にさえひりひりとするからボクはつぼみのままで

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=187090

いくたびか空を飛びたりそののちの鞄に残る千の指あと

ふかぶかと紅葉の森にくるまりて発見されず眠るのもよし

旅先に出合いし琥珀おもいつつ時かけて煮る津軽りんごを

＜サラダには生たまねぎを入れないで＞わが血縁の少年の請う

昨日から今日のわたしへ玉ねぎは箱にて届く淡路島より

あちこちにつぼみを隠すいもうとの泥のゆうぐれ　爪のみ光る

ほんとうはうすいか濃いか父の居ぬ机上に測る血色素量

無造作に折りたたまれしナプキンのように重なる兄妹の声

おとうとは成長せざる部分持ち姉を悩ますいくつとなりても

赤きより薄紫へと移りゆき島原普賢岳暮れなずむなり

大学生となりたる吾娘と連れ立ちて横浜中華街に行きしことあり

子の進路ようやく決まる8月の滴る汗に涙の混じる

探偵を気取りて少女3人で路地裏ひそと聞き耳立てぬ

病得たる夫の日常生活に禁という字のいくつも並ぶ

人の背中は多くを語るとう己が背中の語るは怠惰

お魚のうたテープは早やすり切れし丁寧な仕事つゆも変わらず

乾電池コイン握り締め買いに来しゲーム好きの子早やパパとなる

変容はきらきら星のメロディーとあまい匂いに縁どられてる

きみ眠る部屋にすわってとろとろとワインが酸化してゆく景色

袖口がのびたセーター誰をかも知る人にせむ信号待ちの

駅の名に大和とついて県境を越えた電車がいとおしくなる

泥んこの両掌をいっぱいにひろげてみせる子どもの時間

解けやすいパズルみたいね食後には夫婦を細かいピースに裂いて

いい香りいっぱいさせていたいから夜通し月の光を浴びた

朝がたのシャワーのなかにくっきりと馬鹿という声はいと答える

官僚は生まれ故郷の町の名をダラスみたいな抑揚で言う

探されて抱きしめられて頬ずりをされる迷子になればよかった

お祝いと　バラの花束　もらいけり　立派な茎に　棘勇ましや

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みなさまへ家出報告　十字路に飴玉をひとつ落としてゆきます

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あきらめるまへに持たない夢ばかり目をふせてホットチョコレート飲みぬ

やさしさを与へるときはやさしさに触れてみたいとき白いうさぎの

放たれた矢を追ひかける弓音の余韻のなかに雲を見てゐる

オリヴィエの演じしリチャードのたうちて薔薇戦争は終幕となる

あやふやな金星人から薔薇でなく韮（にら）が届いて匂いたつ聖夜

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/

昏迷をかつがつ亘り安寧に至りつくころ腐る言葉は

http://6060.teacup.com/otsuji/bbs

長いのもきざみもよくてラーメンは葱をケチらぬがよし

復讐のひとつかもなあ靴下を買って帰ったときの嬉しさ

「エーミールと探偵たち」は西校舎二階図書室東の棚に

禁酒禁煙飯は最後のひとつぶまで食べつくすのが我が家のルール

秋の陽を背中に浴びて落葉をつむぢにのせて投票場へ

秋サンマ切らうとするにためらへりおそろしくうつくしい魚め

庭先にお墓を掘らうクワガタや蝶や乾電池やコイのため

彼のときのこゑをかたみに盗みあひＬoch Ness まで沈めにゆかう

たいせつな大切な鍵をたがいに盗みあいロッホ・ネスまで沈めにいかう

てりかへす陽ざしの厚さを切り拓きマラソンの野に今なほ影は

忘れられたる動物の歌あまた並べて『夫木和歌抄』雑部

近未来予想図はややにじみをり『スペースシャトルの落日』のなか

半跏思惟の静けさみちる本堂の畳の上へ人は来、人は去る

友人のこの世を留守にするしらせ『ノルウェイに森はない』から

変へられてゆく風景をのみこんで夕焼けは朱鷺の翼の色す

進路室隅のスチール書棚より『天使の骨』を拾つて帰る

真実がどれかわからなくなつた日は心を銀のナイフに刻む

全国の皆様こぞって我先に携帯ショップで不自由を買う

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

もう二度と履かすことない靴下が机の下に片方残る

風邪ぎみのムーミン谷の住人がみんなで春を食べてしまった

http://hinauta.holy.jp

真夜中のブロック塀に陸続とあつまりきたる猫の肖像画

　　　9月、おともだち

洗濯機のまはる渦からたちのぼるわたしの秋がひろがりてゆく

http://www15.plala.or.jp/kasane/

オリエンタリズムエコツーリズムマンネリズムコンベンショナリズムセンチメンタリズム

祖母譲りの富士額これが昔なら誰もがほっておかない美人

酔芙蓉やさしく充ちる手術室麻酔科病棟というがあったら

小泉内閣花のごとくに圧勝しあかねさす定額貯金のいかがわしさ

不知火の母なる海へ舟進めん　かつて毒さへ受け容れし海へ

漱石の机辺にでんとインク壷あったような黄昏である

ひとにあえばみんな異次元ふりふりと飾り立てたる金魚のようだ

ブロック塀を曲がればキリンが駆け抜けていったような昼の陽盛り

ワイン飲みサッチモ聴きて床につくああまた明日も独りの朝か

花束をついぞ贈られしことなくて秋は冷たき秋霖の中

計画をたてるわ、スキーの。電話のたびのこゑしだいしだいかすれゆきたり

占ひの灯にはかならずちかよりて薄幸の手相見てもらひをり

梅雨寒にしまひし長袖取り出して一人酒飲みテレビ見るのみ

胸騒ぎはなかつた　こんども　背中からつきとばされわがつめたさ知れり

上高地の白樺の林あるきつつストーリー展開はなしあひたり

キャベツしかないのといひつつひとそろひのキャベツ料理をつくりしひとよ

なはとびのなはといふ罠ぬけられず炎天に去りし少女の背中

ひなびたる多賀の館に大和より下りし歌詠み歌詠まずなり

雨の日の泥まみれなるラガーらはにつこり笑う勝利の後を

狂おしい夏の代償　色づいた樹木にセミの声がするのだ

漆喰に塗り込められた風の青　あなたの声がするはずもなく

真剣に訊かれていてもどのくらい嘘をつく気かわかったりする

スカーフがほどかれたまま忘れられている制服はどこまで綺麗

市松に編みつけられた洋服で今度のパパを出迎えに行く

和歌山、佐野、札幌、尾道、十文字、博多、喜多方　ラーメンが旨い

http://blogs.dion.ne.jp/oketa_sami

靴下に穴が開いたと言い残し彼女自らゴミ箱へ落ち

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髪を切る痛み感じて鏡見る　零れ落ちるは時と想い出

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「友」と「愛」どちらの情も大切であたしの歩み螺旋を描き

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泣きそうな貴女の顔の泣きぼくろ　落ちないうちに受け止めよう

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和を望み　いい顔したら　逆効果　八方美人と　四面楚歌なり

http://www.geocities.jp/karyutidori/

捨てられず　タンスにしまった　スーツながめ　時さかのぼり　思い出画像

http://www.geocities.jp/karyutidori/

黄金の波の狭間でじゃがいもの皮を剥きおり味吉陽一

http://hinauta.holy.jp

ぬひぐるみのテディーベアと恋してをりき　おとぎばなしのやうにすきとほる

どこへでも行けそうな気がしている林道に落ちた栗を拾って

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洗濯機に緋のTシャツのさびしげにまはりをりたり主うしなひ

友逝きて経書きのこされし芳一の耳のごとく宙につるされてゐる

勇気こそ空舞う翼イカロスの蝋羽ばたきて扉を叩く

渋谷駅にたましひひとつ落ちてをり　携帯とりまく空間しろく

そびえたつ　古城のほとり　霧もやの　時さかのぼり　我武士となる

http://www.geocities.jp/karyutidori/

かんけりの鬼がのたまひたまひけり冒険しないと三度の鬼よ

天児(あまがつ)の霙(みぞ)るる中に風邪流す大己貴命(おおなむちのみこと)少彦名命(すくなひこなのみこと)

ころがるはノーフォークのじゃがいもこれがブラウン神父だつたのだ

振り向けば　歩めり路を　映したる　ああ走馬灯　消えては浮かび

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知恵袋　昔の人は　かしこいネ　科学の原理　生活に入れ

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鬼退治　このご時世の　鬼は誰　困りますよね 桃太郎さ〜ん

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たまにはね　風邪と称して　ずる休み　したいですよね〜　でも出社します

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Ｔシャツの胸でウィンク太陽はきらりきらりとひかり動かし

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鳴らなかったオルゴールから転がるちびた消しゴム　ユーミンを聞こう

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包みても性にほやかに制服の紺ひるがへし書肆へ入る君

性＝しょう、入る＝いる

祖父國松盲ひて昭和まだ浅きミナト神戸をぞんぶんに嗅ぐ

盲ひて＝めしいて

わたしにもマデイソン郡の橋はある渡つたことは永遠（とは）に隠して

君の住む家まで届け年内に新巻鮭のぜんまいを巻く

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かみなりがだんだん遠くなっていく冷凍庫からチョコレートとる

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ラジオのやうに鸚哥のしやべる朝がきて一回りするわたしの螺旋

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カフカ好きは不幸のしるし歩道橋の上に四月の薄き月浮く

松岡と丸岡を間違えた松尾芭蕉は赤っ恥を現在さらす

市美展に初入選したとっくりは窯変がうまくいっただけなの

マラソンで優勝したのは一回きり賞品のパイナップルは美味かった

運動会走るのおそくて得なのは写真に撮りやすいからなんだ

お父さんデザインのウエディングドレス羨ましいな山本未来

「静御前」洗濯機にしてはたいした名前壊れて唸って迷惑千万

私のは居留守電話よ　うるさいな一人にしといてちょっと今だけ

福井県主催「青年の翼」でドイツに発つ見送りの母なぜ泣くのかしら

行進がいつまでも続くオリンピックたくさんメダル取ってねニッポン

お気に入りの果物ナイフで夕食作り勿論砥石で研いだりもする

家族にはどう届けたらいい？感謝の気持ち贈り物ではよそよそしいし

暖簾くぐって「いらっしゃいませ」ヤな奴いたら回れ右

こんな字が書ければ一級うかるかな　たとえば薔薇と顰蹙

巻き巻きはお得意なのよ今日もロールキャベツがメインディッシュ

衣食住何不自由ないと思っているけど案外ウチって貧乏らしい

留年をした友の口癖は「５カ年計画」ソ連じゃあるまいし

占いもカウンセリングの一種みたい話せば泣けば消えていく苦悩

胸騒ぎ故に久々に帰ってみれば兄高熱で救急車よぶ

万博に出かけた私達の目的はぬいぐるみと森林浴

さっきまで売っていた同人誌「キャベツ」「あなたにはタダであげる」

この世とは苦悩だらけのつらき道一つぬけるとまた一つ罠

朝風呂をするにはちゃんと訳があるお洗濯がはやく終わるから

書道ではもっぱら御香料と書いている御祝いの気分じゃなくて

ぬいぐるみ欲しさに万博出かけるは３５歳の負け犬の行動

免許証携帯するは義務なれど携帯電話は法律違反

櫛けずる長髪故のお悩みは枝毛切れ毛みなそうよね？

リズム感あるねとお世辞を言われては　大正琴三年目の秋

連続テレビ小説の「ファイト」は当たりだと思っているのはわたしだけ？

麻酔薬試してみたら失明し何を争う男一人を

私にどうか猫の額ほどの土地をホームレスなの　嘘

文明はインクのしみで残されていく文書館の数々の遺産

幼少時大好きだったルパン三世でも次元大介はいまいちだった

密やかに契ってしまった朝乱れ櫛に絡まる赤毛の君の

http://www4.diary.ne.jp/user/463976/

あのまづき「かもめ食堂」前を過ぎフルマラソンは幻となる

綺麗でゐなさいこの世の動物が次にあなたを食らふときまで

十七歳の未来とふ名の娘来て晩餐会を乱してをりぬ

海亀のスウプの底の静けさを十年前に知つてゐたなら

電話には居留守番など命じたりわれは炒飯きみも炒飯

主翼見ゆ　どれを食べても上海の微熱を保つ機内食かな

直進のほかに知らざるいきものの糧をあれこれ思ひてやまぬ

鼻映すバターナイフをつと磨き寂しかつたと言つてみたいよ

「猪を食べませうよ」と誘ひ来る転居届の済まぬうちから

てのひらの塩うるはしきたそがれを暖房車にて楽しんでをり

絨毯の薔薇と薔薇との谷間にはむかしのひとの醤油のなごり

海苔巻の端を愛する者達の結社作らう部屋を作らう

食堂の造花をひとりかなしめば逢ひたくもなき袖の香のせる

ぬばたまのアポロ計画読み返しそろそろ麺を引き上げるべき

どこかしら占領軍の味のせりぶつ切りの肉浮かべる汁は

二十世紀以来音沙汰なき鴨の味を思へば胸騒ぎかな

木が林に林が森になるあたり舌の痺るるきのこのひかり

出来合ひのロールキャベツを五分煮る　君はさつさと去つてよろしい

罠を見に出かけるとするこの夜のおかずがきつと待つてるはずだ

いまだ見ぬ腸を洗濯するためにこんにやくを買ふしらたきを買ふ