こんなにもあかい鋼玉よりあかいくちびる見せてあげない土曜

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転校をくりかえしてるＳ君の好かれすぎない愛嬌である

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うたなみだかわほしじかんひとくるま流れていますさみしいのです

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なにもかも二重に映す鏡ですどちらの君を疑いますか

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ゴンドラを残したままで飛び去った気球のゆくえ　電話もこない

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夜半には雨になりますあなたには言えないことをひとつやります

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「お兄さんと同じなのね」と言われたり義姉は醤油を拭き取りながら

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いい気持ちにさせたり突き放してみたり恋の手管を知るイニシャル「N」

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この夏の雷鳴幾度聞きたるや死刑執行されたるを聞く

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　　映画みて泣くな笑うな喜ぶな息子よ普段に取っときなさい

曠野には雨より血潮が降りやすい今日も俄かに飛沫出す

捕まえたねずみは生きたまま川へそれはただの日常だった

ひとすじの深き渓ある胸元へ眼は行きたがる顔を離れて

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再会の架け橋となれ、雷よ！逢いたい思い牽牛の愛

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胸元に（わたしが書いた）卑猥なる文字の重さで猫背になりぬ

にせものの暮らしを問えば三歩先ゆく人が聞く呼吸の深さを

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このバスは降車ボタンを押さないと停まりませんよ　ありませんけど

少女等は俯き今も孤独ですメールの奴隷と化した暮らしで

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（愛憎は表裏一体）表情は変えずに置こうじゃあーりませんか

皿磨き分厚き肉を乗せたれどパセリの緑なお要ると云う

読み進む他人の日記 頁から頁へ移る虫に似しひと

黒幕が狙っているわ、ネット裏　今もやさしく微笑む（逃げて！）

ジェイ・ポップ過去形あまたまき散らし悲恋とばかり絶唱してくれ

体臭でちっ息させてさもなくばその体液で溺死したいの

嗅覚のするどい人の曖昧な手帳（猿曜日がないらしい）

夕照りに遠くきて帰る大水薙鳥（かつおどり）、冠島は神坐すところ

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遠目にて惹かれた絵画に寄り立てば

またもやシニャック！

モザイクの海

四十路から道草しながら歳食おう死まで遊べる連れを見つけに

水色のセーラー服の襟立てて少女は小さき帆かけ舟なる

イニシャルを彫っては消した机ごと取り壊されにき木造校舎は

局地的大雨となり金曜の待ち合わせ場所に来(きた)る雷神

てのひらのぬくもりもちて胸元を撫でゆく秋の午後のひかりは

高台の家より見おろす街あかり快楽はあり見下ろすことの

折りたたみ傘を折り目と寸分も違わずたたむ君が好きです

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潮騒に満ちるからだを抱き寄せてぼくの輪郭がこぼれはじめる

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「もういい」とコップ渡せば雨音に朝の微熱がやさしく滲む

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赦されてうは言を百つぶやきぬ魔法のネットに囚はれしのち

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列をなしこの世の酷暑に襲いくる眼のある風が死人をつくる

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花咲かぬ植物などなし高台の空き地は今し草の饗宴

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アレルギーなどは有らぬか汚れたる溝川を出てとかげ輝く

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開くればネットの世界の魔物らのメールの数々これもまたよし

高台を見下ろす位置に立っているきみ住んでる六畳一間

真っ白なワンピースには黒ずんだとかげの指輪合わせる妙子

イラクって模倣の倣に似てるなぁ　どこかで読んだ漫画だよなぁ

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君たちは希望の光いつまでも街は静かに明けていくのか

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面積をやたらと広くカバーする隙間だらけのネット社会だ

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絶唱を二度も三度も試みるみつともなさに生きたいと思ふ

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やめられぬ正義の味方正しさの蜜に溺るるミツバチもゐる

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曖昧な平和の時間過ぎ越しの日に室内は血に守られて

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比類なき愛され方を望むらし雌赤とんぼはベランダで待つ

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揚げ煎の油のシミと思しきが濃くも薄くも残る遺言

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遠まきに噂ながれる「あの家の犬の飼ひ主最近見ない」

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道を行く観光客は振り向かず里の休日秋の葬列

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お向かひの家族だれかが呼び出したパトカーが停まる　ウチではないよ

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人間と見なされぬまで無垢なれば埋葬許可もいらぬ胎児よ

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黒犬に魂ひとつ私にも魂ひとつ抱き合い眠る

歩合制なら付き合つきあつてやつていい　が、その前に肘の棘を抜け

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縫い目ならぬいぐるみにもある　人の目など気にせず笑ってみせて

ほら星がほろんでいくよ落ちぶれた美容整形外科医のように

インド洋ぼくの話を聞いてくれ　海水はぁぁしょっぱいぃぃぃ

またの名を熱湯地獄またの名を魚介の坩堝ていうかチャンコ

まあわりと絶望　雨は降ったって降らなくたってどっちでもいい

冒険も危険もなくて水色の無難で無害な画用紙みたい

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イニシャルがなにかの単語になるとよい 例えばフランス語で｢もし｣だとか

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稲妻と数秒間の沈黙と雷までを夏といいます

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胸元の誰にも言えないシミだけがブラックライトに照らされている

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洪水で避難していた高台が噴火しないか心配性だ

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駅を出て紫薇花（さるなめり）さく並木へて橋のむこうは夕灯（ゆうあかり）の家族

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いちじくの花壷饐えて埋もれゆく蟻は晩夏のひかりを領らず

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西田幾多郎云ふところの「絶対矛盾的自己同一」なる山の神われ

貧乏でビデオカメラは無いけれど二人に同じ記憶があれば

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一本のチョークの線がつきゆきぬわたしの中に履歴のやうに

水はじく取りたてトマト再会を期したるままに夏は過ぎゆく

上野まで訪ねてみたし春彼岸谷中に眠る君の血脈

抱き枕時に重たき足も乗す天上にある足裏ゆたか

ぬるぬると小芋の皮はむかれゆく寄りかかりくる子供のやうに

来年は米寿となれる母なれど考え方はわれより柔軟

月さやにライトフライを目で追へば芝のにほひのすずしかりけり

おほゑどは四谷に酔へばつらつらと怪談のことおもへりわれは

黒は知の象徴なのに目に余るキミ等のまとふミニミニスカート

おお、どんな供物を望む？見はるかすわれの裡なる王の空位は

吹く風が心地よくなり人肌がうとましくなる晩夏の矛盾

八桁の電卓からは割り出せぬ我と彼の和去った君の差

表情の消えゆく午後に液晶の中に流れる河に棹さす

＜オーラツー・ステインクリア＞で磨くひと類と思う昼のオフィスで

卒論に和泉式部の日記ではなくて蜻蛉えらんだその後

「くびすじの翼のタトゥーが切る風の音がしそうな歩き方だよね」

母さんが夜なべをして編んでくれた鋼の鎧、水の羽衣

コンビニの水色に染まる夏が逝く　季節を分ける雨の匂いの

真空の梯子は降りてくるでしょう。月から泥へもしくは皮へ

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軟骨がサグラダ・ファミリア教会の後光の色を司ります

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ベルトコンベアーに草を育てつつイラクを手に取ったが戻した

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パンダさん見に行ったけどいなかった　上野の桜はきれいでした

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如雨露から産み落とされたアメジストの縫い目を流れていくニ長調

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金髪に整形をしたむすめから家のカタチの涙が落ちる

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血を流し裸足で逃げる男追う女を鬼に変えたのは誰

長き舌我に見せつつ喘ぐ犬寄れば腹見せ服従示す

案外とバイキンマンが人気者チーズのお面欲しい子一人

話しても君の相づち返らない私の声はきっと圏外

愛しさは「姫」の言葉に託されて小さきものに飾られており

世の中の矛盾、不条理と戦うと持つのか十七歳はナイフを

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黄金色に稲穂は垂れて滋賀の里八幡神社の幟はためく

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君と我の和・差・積・商・すべてが負数学得意なあいつが哂う

暖かな土より生まれ還り行く我はかすかに命を紡ぐ

顔が嫌スタイルも嫌名前イヤ私は私のすべてが嫌い

君の手のぬくもり少しも感じない心の冷えは戻らないかも

運・不運・時の気まぐれ・なに故に君より先に生まれたのだろう

水色のシャツがこんなに似合わない日に晴れている必要はない

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わが前に君の肩幅広くあるおおきなおおきな安心の形

草も木も眠れる夜の料理番組　さて、生贄は海老が三尾か

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夢は総天然色にて例えればバナナの群れに追われる夢も

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ほんものになれぬと分かっていてもなお似ようとしているにせものが好き

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もし我が恋の奴隷となりしかば墓穴延々掘る羽目になる

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真っ青な空のむこうの闇の中今年の夏の我を弔う

ワンタッチ傘のボタンを押すような気軽さでそのハンコを押した

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青空の破れ目、ひかり、抜かれたり挿されたりするわたしは機械

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変わりゆくものを見ていた訓練所裏のフェンスに指をからめて

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大丈夫二重まぶたに憧れたあの頃の君が傍にいるから

ゴンドラに揺られるように落ちていく昨夜は深い眠りについた

半分も残してしまう食欲に弱音を吐いて甘えたくなる

風邪に負け薬を飲んで夢の中きみは看病してくれたのか

汗ばんだ肌が求めるふれあいに気が付いたのは夢から覚めて

当然に世界をつぶさに視覚してインターネットの空夢の夢

呑み込みしあまたの言葉にまなざしは面影といふ絶唱を待つ

泣きながら溺るる心あるままに傷つけあひし日々を解（とか）せり

言の葉はCD-ROMに収まりて開かるるを待つ八代集かな

久方の天（あめ）のごとくにうつろへる汝の表情のはれのちくもり

鋼玉の光を抱いて眠る夜　失うものはもう何もない

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伊勢に坐(いま)す神々が守(も)りちはやぶるアテネの路上野口みずきは

愁ひても物喰ふわれら胃袋はけふもあしたも伸び縮みして

七重(ななへ)八重(やへ)波座(なぐら)越えきてしほさゐの磯に遊びしかの日思ほゆ

許容量かくもすくなく生きしかばたちまち沸騰するおれたちは

実態は何か知らねどその御名のはなやぎてをりロビー外交

あかねさす朝日新聞配るキミはとつたばかりの免許携へ

クレア散華すなはちしれぬ行方にてかけらはろばろ乱反射して

ひとりづづ胸に蜜柑をぶらさげて少女は夏の彩りとなる

オルゴールほどろに吾子をねむらせて優しかりけり揺籃(ゆりかご)のうた

飲み込んだ鉛の玉の何個目か胃の腑あたりに転がる気配

計算は苦手なんです　理科室で濃度を求める式も忘れた

モノクロのフィルムをまわす映画館　ポップコーンはおいくらですか

君がいる朝もあたしは低血圧　ごめんね　声が枯れて出ないの

勇敢なケージのはつかねずみの名をリーピチープと呼ぶ実験室

価値観はひとそれぞれです　あたしにもモザイクかけて見えなくしてよ

明日持ってくるものちゃんと書けなくて連絡ノートはないも同然

要領も良くはないし不器用で、だけど愛嬌があるから勝てない

２００４年流行語大賞になるくらいは君の名前を呼んだ

憧れは二重まぶたのあのこです　鏡の中で一重が笑う

初めての工作キミが作ったのは一体何か？「ポリゴンドラゴン」

こんな夜あの子だったら水色の涙流してみせちゃうのかな

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あめふりの雷門の観光客ひかりの粒にまみれて写る

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洋、君の名前の意味を思うとき海の深さは優しさに似る

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赤黒い坩堝の中にきらきらと光っているのは永遠でした

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ああなんて無様な俺だ外に降るものはみぞれに変わったくせに

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あの豆の黒い縫い目は執拗ですっかり笑えない話です

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胃が痛くなるまで子らは緊張しステージを待つ発表会よ

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もう遠く空き地・土管は無くなって遊ぶ子を呼ぶ母の声も

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町立図書館より（５）

「遠くから来ました」と言う少女たちタンクトップに雨を散らして

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枕辺に迦陵頻伽のあらわれて絶唱みちびく春のゆふぐれ

胸元に詰まった林檎を吐き出してネクロフィリアの王子を嗤う

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秘密だよあの高台の楠の根元に埋めた虹とビー玉

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わこちゃんの色えんぴつの箱のなか肌色だけが新品のまま

接吻をせがんで舌に噛みついた　言葉にしない我が捨て台詞

ピアニカの指もつれさせつつ小太鼓やリラベルしたがる身の程知らず

寒がっていたら身動きとれぬほど厚着させられ愛とは？と問う

この頬にイニシャル刻み支配してもらえませんか　されたいのです

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母信じる新興宗教団体の教義によれば定員制の天国

芝の上突っ伏してたらチクチクの頬ずり思い出して笑えた

温暖化どんどんすすんで熱帯になれば怪談しなくなるかも

ミニはいた彼女のおともは大変だ　膝つきだして睨みきかせて

残忍な思いが露呈しないように胸元押さえ何度も引っかく

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ただひとり愛し愛されたいという望み持ちつつもたれあってる

灼けついたアスファルトの上野比のび太みたいに寝れる君ならば好き

戦争はつづいています　今日庭にようやくあさがおが咲きました

起きぬけにカレーやお菓子をむさぼれる胃がうらめしい軽量タイム

A:「キリン首長いよな」　B:「長い」　A:「不思議だな｣　B:「不思議だな｣

全力で廊下の左だけ走るゆうた（７さい）夢はパンクス

恋をした相手が海老と言うだけで変人なのか （まあそうだけど）

追いかけることをやめたら夢だとか願いはただのゴミくずになる

スイミーになったつもりで回遊中　まだなじめない山手線を

真夜中にカップ焼きそばたべたくて沸いた湯はけたらシンクがないた

運転中睡魔と戦う武器なのか？ブラックガムとユーロビートは

１０年間一度も乗らないわたくしの免許は金色　こわいくらいに

みのもんた嫌いだけれど珍プレー乱闘騒ぎのナレーションはすき

鳥たちが蜜柑いっぱい食べられるように樹の横飛ばす郵便屋

もう鳴らないオルゴールの中住んでいたバレリーナは水槽にしずめて

灰色の虹彩の膜と銀色のピアスがつくる君の結界

黒鍵つきニスのにおいの木琴を出張みやげに空港で買う

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母の名はアイと言います　四歳のアユムは漢字で「歩」でしょうか

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「リレーしつつ転回されていく連句」「地球の上の二十四時間」

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界面は混沌とせずいつまでも6,6-ナイロンつくり続けた

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側面に目鼻と名前が書いてあるチョークボックス借りて出かける

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綿密に計算された再会の場面でしたね　インドネシアは

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ペンギンの抱き枕ならももいろのキリンがどこかに持っているはず

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塩基性色素で染まる核酸を観察するため薄皮を剥ぐ

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新鮮な軟骨魚類の赤い肉（サメの心臓）ひとりじめした

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犬死にの米兵千をすでに超えきょうもイラクで続く戦闘

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栗の花濃く匂いたつ曇り日の玻璃の器にひとすじの罅

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