[791] 007:数学 河村壽仁 2004年03月01日 (月) 07時44分

(山本骨董店)
数学者アルキメデスの風呂桶です こちらは五右衛門の愛読した聖書


[790] 094:遠 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時44分

急に降る雨に遠雷伴ひてしばしは自然を注視してをり


[789] 093:列 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時43分

学校に学ぶ数学時たてば変はりてゆけり行列式も


[788] 092:家族 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時41分

家族とは家族とはとて問ひ返し結局今ある我らが家族


[787] 091:埋 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時40分

心中に埋み残しし火のありて実年なれど時として燃ゆ


[786] 090:木琴 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時38分

「木琴」といふタイトルの詩のありて教科書なれば今年も会へり


[785] 089:歩 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時37分

人生は一日一歩と言ふけれど一歩進むることの難し


[784] 006:土 河村壽仁 2004年03月01日 (月) 07時36分

「星の王」の葬り土の上を風行きぬ 宇宙船はただいま二億年の眠りの中に


[783] 088:句 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時36分

句読点打つ難しさ中学に国語教える妻のふと言ふ


[782] 087:混沌 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時35分

この日本なべて混沌明確なものは無機質物体のみぞ


[781] 086:チョーク 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時34分

色チョークどう使うかも研修の対象となる学習塾講師


[780] 085:再会 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時33分

再会はできぬ死といふ絶対の別れに幼き我の会ひたり


[779] 084:抱き枕 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時31分

妻と我勤務時間の違うゆえわれはひとりに抱き枕して寝る


[778] 083:皮 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時30分

化けの皮はがしてみせむ魑魅魍魎我が面前に現れてみよ


[777] 082:軟 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時28分

「私には軟骨がある」と笑わせて今は市長になりし人居り


[776] 081:イラク 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 07時27分

イラクへと自衛隊行く戦争は絶対せぬと首相は言へど


[775] 100:ネット 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時59分

けふもまたサービス停止中なりきジャパンネット銀行カスタマーセンター


[774] 099:絶唱 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時58分

絶唱ののちの暗転。たふれるやう下手にはける絶世の美女


[773] 098:溺 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時58分

溺れては溺れられぬとあがきつづけることもかつてはたしかにあつた


[772] 097:曖昧 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時58分

口腔にいつぱい含む液体は熱もつされど曖昧な味


[771] 096:類  花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時57分

職場よりあまたの書類を持ち帰る青年たまにはやすらかに寝よ


[770] 095:油 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時57分

肉喰らふくちびる油でよごしつつうごめく夏に入る前の夜


[769] 094:遠 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時57分

遠くとほく滿洲帝國國歌あり神光開宇宙(シンクワンカイユウチユウ)……以下とだゆ


[768] 093:列 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時56分

巣をめざす蟻一列につらなりて小さき影をはこびてゐたり


[767] 092:家族 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時56分

それぞれが右手におなじ紙袋さげて帰宅す春の家族(うから)は


[766] 091:埋 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時56分

あるじなきままに春に埋もれたる書庫(ふみくら)の奥のえろぐろ雑誌


[765] 090:木琴 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時55分

木琴のひびきなどとほに忘れたと思ふころひびく木琴の音


[764] 089:歩 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時55分

歩くから進んでしまふ駅までの道に雨ふる早春の朝


[763] 088:句 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時55分

鶯の谷を渡るといふ箇所をさがすためひらく句題和歌集


[762] 087:混沌 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時55分

混沌をみづからの手で損ねたる倏忽の胸に悔いふかからむ


[761] 086:チョーク 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時55分

嗚呼今日も但し書きにのせられて買ふアーティチョーク濃縮エキス


[760] 085:再会 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時54分

再会を夢見ているもののひとつとして渋谷摩天楼杏仁豆腐


[759] 084:抱き枕 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時54分

ももいろのさかなのかたちの抱き枕つかつてゐると告白される


[758] 083:皮 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時54分

白桃の皮むき終へてうきあがる甘き果汁にひかる手の指


[757] 082:軟(再投稿) 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時53分

いっしんに軟骨までも食べつくす手羽先のプラム煮プチトマト添


[755] 081:イラク 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時52分

空はけふも不機嫌さうだ。イラク産干しいちじくをぶだう酒で煮る


[754] 080:縫い目 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時52分

びろうどのやさしさでもて夜が降る縫ひ目なき闇につつまれてゐる


[753] 079:整形 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時52分

整形を終へたるケーキ三つずつ運ばれてゆくつぎからつぎへと


[752] 078:洋 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時51分

皿に重く洋梨タルトのせられて単純にこれで幸福と思ふ


[751] 077:坩堝 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時51分

興奮の坩堝などといふ比喩が似合ふサヨナラ公演出待ち


[750] 076:降 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時51分

あをやぎの糸のみどりに降りそそぐ春の雨かもやさしく霧ふ


[749] 075:あさがお 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時50分

あさがほがしをれてしまふ千年の月日を越えて朝をむかへて


[748] 074:キリン 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時50分

かはゆくてたまらぬをのこのつくりたるメウチキリンなかたちのくっきー


[747] 073:廊 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時50分

点々と回廊に灯はともりゆく背骨に添ひて受くるくちづけ


[746] 072:海老 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時50分

干し海老入りさつま揚げなどきりわけてむかへるばかり春の夜の酒


[745] 071:追 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時49分

ひとごみにまぎれまぎれぬひとり追ふ春のひかりのふる昼の道


[744] 070:にせもの 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時49分

にせものの毛皮にせものの絹まとひつよくつよくあらねばならぬ


[743] 069:奴隷 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時48分

月組の金の奴隷のダンスから十年間の月日はすぎて


[742] 068:傘 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時48分

くちびるに冬の雨ふるつめたさに歩みをとめてひとり傘さす


[741] 067:ビデオ 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時48分

消さねばならぬにくしみひとつ消せずゐてモンテビデオの塊の肉


[740] 066:鋼 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時48分

ひとりから贈られたるは鋼のことばつよくつよくあらねばならぬ


[739] 065:水色 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時36分

水色の花の名前は知らねども空のいろとぞ思ひて愛す


[738] 064:イニシャル 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時35分

姉のやうにこころをよせる存在であれば書くときイニシャルはエス


[737] 063:雷 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時35分

一対に描かれ風神雷神もをさまつてゐる屏風のなかに


[736] 062:胸元 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時34分

さむいので。もるることばもふるへだす部屋内とほく見ゆる胸元


[735] 080:縫い目 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時34分

裁縫はせぬと思ひし妻なれど細かき縫い目に繕いくるる


[734] 061:高台 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時34分

高台のしろき茶碗に茶をそそぐ湯気あはあはとたてゐたりけり


[733] 079:整形 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時33分

近隣に整形外科医のあればこそ火傷のときも打撲も通う


[732] 078:洋 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時32分

太平洋広くて大きい海なれど手の中に入る地球儀持てば


[731] 077:坩堝 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時30分

興奮の坩堝なんてのもいやでして私はただに静かさがいい


[730] 076:降 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時29分

あれはこの温暖な地に雪の降る日でした忘るることもせず今日


[729] 075:あさがお 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時27分

あさがおの咲く頃里に静かなる平和の来るを信づると言ふ


[728] 074:キリン 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時26分

巨人は嫌いキリンビールも好きでなし特に理由はなき感情に


[727] 060:とかげ 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時25分

のこされたとかげのしっぽをしばらくはみつめゐたるが捨てて去る猫


[726] 059:矛盾 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時25分

矛盾くるしくかかへこむかたちねむるときまるくちひさくなつてゐるのは


[725] 058:八 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時25分

水たらぬ八穀米をのみこみて春のひるまをやりすごしたり


[724] 057:表情 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時24分

七人のいとこら七つの表情で写真にをさまる晩春のいちまい


[723] 073:廊 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時24分

われかつて叱られしことある学舎の廊下静かに早蝉の鳴く


[722] 056:磨 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時24分

須磨のこと知らぬ六の姫君を憎んだ夜もあつただろうか


[721] 055:日記 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時23分

たいせつに五年日記をつけているをとこ会社の上司であります


[720] 054:リスク 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時23分

区切りとしてアスタリスクがよっつならぶ論の論旨はいまだに不明


[719] 053:墨 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時23分

三叉路に墨絵の猫が待ってゐる偶さかここに居る顔をして


[718] 072:海老 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時23分

伊勢海老の食べ放題といふバスの旅行もつまらぬ妻子と別は


[717] 052:部屋 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時23分

部屋寒くふたりよりそふこともなくそれぞれ気配をうかがつてゐる


[716] 051:痛 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時22分

ひとすぢに切られて痛き傷口も口もつゆゑに口を恋ほしむ


[715] 050:おんな 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時22分

とつくにのことばをおしへてくれるとふをんなの電話ながき午後はも


[714] 049:潮騒 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時22分

潮騒の聴こえぬ土地に育ちたるわれらであるとけふは知りたり


[713] 048:熱 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時21分

頬に頬ちかくよせられかくされた塊として熱わたさるる


[712] 071:追 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時21分

「あれはただ遊びなんだよ」吾の下手な言い訳妻は追求はせず


[711] 047:機械 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時21分

電源を入れればすなはちをとたててまはる機械の心臓部分


[710] 046:練 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時21分

練り物をきりわける樣子見張られて油断ならない職場の関係


[709] 045:家元 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時21分

ゴシップを読むひるさがり茶道家元賞受賞なる菓子を食みつつ


[708] 044:ダンス 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時20分

男役が女役をだきかかへ銀橋わたるデュエットダンス


[707] 043:濃 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時20分

まひるまのひざしに濃ゆきわが影に先導されてあゆむ道すぢ


[706] 070:にせもの 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時20分

本物がにせものとされることもあり本物といふもの知らざる人に


[705] 042:映画 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時19分

映画館まへに貼られたポスターを盜らうとかつて画策したりき


[704] 041:血 花笠海月 2004年03月01日 (月) 06時19分

体熱も体毛も血もなびくのを皮いちまいでどうにかかくす


[703] 069:奴隷 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時18分

をみなごをひとり奴隷にしてみたし朝に夕べにおもちゃとしたき


[702] 068:傘 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時17分

振り向けば傘を差し出す妻の居りけんかに雨の中を歩めば


[701] 067:ビデオ 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時16分

幼少の吾子はビデオに映りゐて朝風髪をなびかせて吹く


[700] 066:鋼 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 06時14分

友のその鋼鉄のごとき筋肉をわれは欲する我衰えて


[699] 040:ねずみ 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時57分

ねずみ齧りありて値引きをされたるは大正時代の同人誌なり


[698] 039:モザイク 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時57分

一編の短編に再会するために「モザイク・ラセン」新版を買ふ


[697] 038:連 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時57分

神のゐる地名を連呼するこゑに押しあげられて地上へむかふ


[696] 037:愛嬌  花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時57分

愛嬌のあるかほみせてうたひだす階段上のエトワール孃


[695] 036:流  花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時56分

夜の闇に耳はひらいてうけとめるほそく流るる和語のむつごと


[694] 035:二重 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時52分

夜の空にとほくかがやく二重星ひきあふちからともしきろかも


[693] 034:ゴンドラ 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時52分

ゴンドラはひたすら登り美男子の役者歌ひながら退場


[692] 033:半 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時51分

月半ばすぎて届かぬいちまいのハガキのことなど忘れてゐます


[691] 032:薬 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時51分

捨てられない性分だけどけふはなんとか期限の切れた薬を捨てる


[690] 031:肌 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時50分

海の手は波の指もて昼も夜もやすみなく地の肌を愛撫す


[689] 039:モザイク しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時49分

モザイクの向こうにおりし少年といったい僕のどこが違うか


[688] 028:着 千尋 2004年03月01日 (月) 05時48分

いつからか彼の薦めた洋楽が携帯電話の着信音に


[687] 038:連 しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時48分

僧のごとく高橋名人は目を細め16連射の指は滑らか


[686] 037:愛嬌 しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時43分

愛嬌のない牛である。君たちは。もちろん君も。君も。僕もだ


[685] 036:流 しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時41分

流されて30年後の私は牧場の牛を見張っております


[684] 035:二重 しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時39分

二重まぶたを隠すためのサングラス。眠っているのも隠すためにだ


[683] 034:ゴンドラ しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時37分

ゴンドラで張り込みをする私だが 30秒後には寝ているはずだ


[682] 027:天国 千尋 2004年03月01日 (月) 05時36分

天国でうとうとしてる心地よさため息のあとは寝かせておいて


[681] 033:半 しんくわ 2004年03月01日 (月) 05時35分

半熟の卵のような私に探偵になれとおっしゃるつもりか


[680] 030:捨て台詞 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時35分

捨て台詞いひて足音うちならし上手にはける大悪党は


[679] 029:太鼓 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時34分

なりひびく胸の太鼓を聴いてゐるこのまましずかなしずかな春が


[677] 028:着 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時34分

ボールペンかじるしぐさの途中にて止まるひらめく着想あれば


[676] 027:天国 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時33分

天国の花の名前を教へてくれた佐々木まりこのことを忘れず


[675] 026:芝 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時33分

昭和二十五年頃芝區田村町に「飛行少年」発行所あり


[674] 026:芝 千尋 2004年03月01日 (月) 05時26分


恋占い 花でするからダメなんだ 庭一面の芝生でしよう


[673] 065:水色 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時25分

好きな色水色ですと言ひし人遠き日のこと遠き記憶ぞ


[672] 064:イニシャル 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時24分

イニシャルに意味見いださず結婚の指輪に彫りしことのあるのみ


[671] 063:雷 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時23分

雷鳴も稲妻も好きといふ少女語り続けて外は雨降る


[670] 062:胸元 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時22分

軽くとも触れなば血の出る短刀を胸元に秘め今日も道行く


[669] 061:高台 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時21分

高台に登りて日本列島を見渡したかり風強く吹く


[668] 060:とかげ 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時19分

とかげをも蛇をも見かくることのなき世になりてから久しき時ぞ


[667] 059:矛盾 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時18分

矛盾することを言ふから人間とステレオタイプを見下してをり


[666] 058:八 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時17分

十八の春に読みゐし書の中の八紘一宇未だ分からず


[665] 057:表情 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時15分

朝なさな電車の中の人たちの表情見るがひとつの楽しみ


[664] 056:磨 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時14分

原石のままに生き行く人多し磨けば光り輝くものを


[663] 055:日記 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時13分

自棄といふことに勝てざる若き日の日記は絶え絶え 引き出しにあり


[662] 025:怪談 千尋 2004年03月01日 (月) 05時12分


怪談が苦手と知って話す彼 別れる覚悟があるならどうぞ


[661] 054:リスク 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時12分

大いなるリスクを背負い子は生きる青春といふあやふきものを


[660] 053:墨 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時11分

墨の色かすれて届く便りあり友の言葉は嬉しきものぞ


[659] 052:部屋 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時09分

部屋うちに夜の冷気の流れ込む弥生ついたち今日来たるなり


[658] 051:痛 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時08分

人は皆人のことをばいろいろに言ふされど痛みは分かりはしない


[657] 050:おんな 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時07分

口にせずおんなといふこと実践の君に幸せ与へたしされど


[656] 024:ミニ 千尋 2004年03月01日 (月) 05時06分

喜んだ顔が見たくて穿いたのにミニはやめろと脚隠された


[655] 049:潮騒 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時05分

夜々に遠州灘の潮騒を聞きて眠りし日は遠くなる


[654] 048:熱 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時04分

歌を詠むことに熱中する今宵窓に三月初日の冷気


[653] 047:機械 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 05時03分

ノーバート・ウィナー著「人間機械論」いつしか書棚より消えし


[652] 023:望 千尋 2004年03月01日 (月) 05時01分

ひとつだけあなたに望んでいいかしらずっと私の傍で支えて


[651] 025:怪談 花笠海月 2004年03月01日 (月) 05時00分

くちびるをすばやくなめて怪談を語り始めるをんながこはい


[650] 024:ミニ 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時59分

いまはただ蛍光ピンクがまぶしくて坂本ミドリの「ミニの女王」


[649] 023:望 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時59分

けふよりも明日あすよりも明後日のひかりを望む春ちかければ


[648] 022:上野 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時59分

吉良上野介に扮する役者すばやく動きひとすぢの血をながしてたふる


[647] 021:胃 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時58分

からつぽの胃袋さげて帰る夜の春のかすみに花かをりをり


[646] 020:遊 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時58分

からかみにかきちらしたるをんなもじ魚ら遊べる春の水槽


[645] 019:沸 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時58分

沸く気持をおさへるなんてできませんひとりのすがたをみとめた瞬間


[644] 018:ロビー 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時57分

待つてゐる顏してロビーに待つてゐるさういふところがきらひだつた


[643] 017:免許 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時57分

免許証写真みせあふこともあり世間づきあひの一環として


[642] 016:乱  花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時57分

夜の風をうけて乱るる前髪のひとすぢまろきひたいをかくす


[641] 032:薬 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時56分

薬局の角を曲がると赤裸々な曲ばかり流すレコード店だ


[640] 022:胃 千尋 2004年03月01日 (月) 04時50分

伊賀上野 上野といえば芭蕉さん裏の仕事は潜入捜査?


[639] 031:肌 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時44分

桃色の肌にまつわる秘法とか聞きたくないです まぐあう前に


[638] 030:捨て台詞 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時41分

「貴方とは縁を切ります」と捨て台詞太宰治に吐いてみました


[637] 021:胃 千尋 2004年03月01日 (月) 04時41分


胃が痛い何でこんなに痛いんだあいつが浮気やめないからか


[636] 029:太鼓 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時39分

とてもよき音がしそうな太鼓腹に 囲まれている体重計だ


[635] 020:遊 千尋 2004年03月01日 (月) 04時38分

まだ遊び まだまだ遊びもう少し・・・ある日突然本気になった


[634] 019:沸 千尋 2004年03月01日 (月) 04時37分

沸々と湧き出る怒り止まらないどうしてくれようあいつの浮気


[633] 018:ロビー 千尋 2004年03月01日 (月) 04時37分


ロビー前2時間待ってもまだ来ない別れ話と気づかれたか


[632] 028:着 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時23分

ベンガル虎の着ぐるみを着て我こそは 加藤を倒す倒すぞ清正


[631] 027:天国 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時21分

天国に蛇はいますか 死ぬ前の蛇使い氏の最後の言葉


[630] 026:芝 しんくわ 2004年03月01日 (月) 04時19分

芝刈り機の音が漂う曇天の眠るにうってつけの日曜


[629] 017:免許 千尋 2004年03月01日 (月) 04時10分


免許書の人に見せれぬこの素顔更新ハガキが待ち遠しい


[628] 016:乱 千尋 2004年03月01日 (月) 04時10分


飲み会で彼女は飲んだことが無い酒で乱れる姿が見たい


[627] 015:蜜柑 千尋 2004年03月01日 (月) 04時09分


憧れる一度でいいからしてみたいコタツでみかん食べてみたい


[626] 014:オルゴール 千尋 2004年03月01日 (月) 04時09分


オルゴール恋するたびに増えていく思い出の曲はひとつじゃないもん


[625] 013:彩 千尋 2004年03月01日 (月) 04時07分


彩りで決まる女性の厚化粧やっぱり素顔で勝負したいね


[624] 046:練 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時07分

練習をしてから君に会ひに行くそんな日もあり苦き人生


[623] 015:蜜柑 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時07分

今夜いちばんあかるい星は蜜柑色にかがやいてゐて訪ねて来さうだ


[622] 014:オルゴール 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時07分

オルゴールしまはれたままのひきだしの時のほこりをうちはらふ春


[621] 013:彩 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時06分

陽ののぼるまへのわづかなときのまに春の色彩なべて目覚める


[620] 045:家元 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時06分

家元も知らずに習ひし点前をば今も体が覚えているよ


[619] 012:裸足 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時06分

息吐いて息吸ふ土をよろこびて裸足の春は歩みはじめる


[618] 011:犬 花笠海月 2004年03月01日 (月) 04時05分

狛犬の阿形の顎が欠けてゐるまへをよぎりて入りてゆけり


[617] 044:ダンス 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時05分

大学の構内ダンスのステップがあふれてをりき昭和の世代


[616] 043:濃 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時04分

色の濃きセーターを着て街を行く若者われには異邦人なり


[615] 042:映画 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時02分

以前より映画の好きな君にして誘われて観し「青春の門」


[614] 041:血 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時01分

我が家系血のつながりとふ宿命の複雑にして弥生三月


[613] 040:ねずみ 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 04時00分

飼い猫がとらへしねずみを見せに来しことも昔の物語なり


[612] 039:モザイク 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時58分

君とわれモザイク模様のごとき日を夢に見てゐき外は雨降る


[611] 038:連 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時57分

休日昼君と連絡つかぬこと見捨てられたる心地にてあり


[610] 037:愛嬌 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時56分

教え子の笑み見つつあり「女は愛嬌」死語ならずと思ふ


[609] 036:流 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時54分

清流のかたへにありて水遊びせしも思ひ出子は成人す


[608] 035:二重 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時53分

君も吾も二重まぶたの顔をもつ似たもの夫婦と言ふべきなりや


[607] 034:ゴンドラ 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時51分

春ひと日歩く集いに参加して着きしところにゴンドラに乗る


[606] 033:半 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時50分

妻眠る 半分はわれその眠り半分は職と思ひてはみる


[605] 032:薬 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時48分

死にたくて薬飲む人生きたくてくすり飲む人ああこの人生


[604] 031:肌 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時47分

中点に二十七日の月かかり君が肌へに感づるは何


[603] 025:怪談 しんくわ 2004年03月01日 (月) 03時45分

行灯油を舐めて踊ってその挙句小泉八雲の怪談読む猫


[602] 030:捨て台詞 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時45分

捨て台詞はいて別れし人もあり「仲良きことは美しきかな」


[601] 012:裸足 千尋 2004年03月01日 (月) 03時44分


今夜もか裸足になってお風呂場へたまには掃除かわってほしい


[600] 029:太鼓 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時44分

昭和の日小学校の器楽部の太鼓の音の懐かしきかな


[599] 011:犬 千尋 2004年03月01日 (月) 03時42分


犬がいい足の短い犬がいい ネコは気ままに家出するから


[598] 028:着 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時42分

柔道着階段下に置きてあり我が青春の象徴のごと


[597] 010:チーズ 千尋 2004年03月01日 (月) 03時42分


チーズはねピザの主役よ買ってきて青カビはいやモッツレラだよ


[596] 009:圏外 千尋 2004年03月01日 (月) 03時42分


飲み会で前に座ったそこの君 私的には圏外だから


[595] 008:姫 千尋 2004年03月01日 (月) 03時41分

お姫様小さい頃からイヤだっただって着物が重いんだもん


[594] 024:ミニ しんくわ 2004年03月01日 (月) 03時41分

恋人がミニスカポリスメンといふ ちょっとどうかと思ふのだけど


[593] 027:天国 大石俊弘 2004年03月01日 (月) 03時41分

天国と地獄の間の煉獄をダンテを読みて知り初めし日