君の血が赤いことさえまやかしだ。月光浴びて狂え永遠

今日もまたねずみ二匹が支配するワンダーランドは一時間待ち

ふしだらな林檎の皮を剥きなさい（土星派遣員試験'04）

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目を合わせ声かけることもゆるされず恋人候補圏外の日々

「新越」で乗り換え「エイト」広げればジャンバーの襟に髪は乱るる

免許証ケースのやうなものだらう仔羊の首でも愛撫してゐたまへ

http://homepage1.nifty.com/HANTAMA/

さて何を追いかけてきた俺なのかどこにも見えない獲物の背中

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/3325/

霜焼けの我の小さき手撫でくれし祖母のぬくもり想ひ出しをり

http://kinsan-kaneko.jp/hpgakuin/river/river-hp.htm

運命を指揮するロボットあらはるとメディアは報ず弥生の夕べ

http://kinsan-kaneko.jp/hpgakuin/river/river-hp.htm

にせものの出会いの中にほんものの愛を求めて溺れる魚

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てのひらに可愛い薬をひとつぶ。　まだ死にません　まだ死ねません

http://chiakiyuhka.easter.ne.jp/

雨あがり土曜のフレンチクオーター水溜りには音踊りだし

エルマーと名前を縫った手提げかばんタンスの隅に母思い出す

いつまでもあなたが放つぬくもりはぬるま湯のように私をつかむ

ロボットの鋼の胸はつめたきにそのつめたさへ額を押し当つ

少しずつ崩れる家で久石のミニマルを聴く戻れ戻れと

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

役を終え水のお城は蔦の中　浄水場を望んで佇む

http://www.aa.aeonnet.ne.jp/~kyo/page/Beran/u.ber.html

流された人を悼んで流された人の建てたる上野天満宮

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勾玉の形であれば苦しみも集めて傷む胃の腑であろう

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ゴミの日にロビーで挨拶するだけのひとの不倫の噂聞く午後

わが娘婿の故郷沖縄の土を踏みしめ守礼門仰ぐ

寂しくて母の名前を呼んでみる火星いつしか遠ざかりたり

乳離れ未だ出来ぬか病みてよりぬくもり求めインコを抱く

冷えきった裸足の先をくっつけてあったまるまで話す二人寝

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ヤだダメだ犬の目をして見つめても最後のバター飴はあげない

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あんぱんまんワールドでただチーズだけ言葉がなくてペットであるの

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圏外で棒が三本消えているあの三人はいつも無口ね

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ライヒ、この音の渚に佇む　愛のミニマリズムはぬくもり

婚家にはとかげヤモリが棲むと言ふ　げに薄暗き土間の裏木戸

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ふに落ちぬ矛盾消し去るくちづけを幾つ重ねむ君とふたりで

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茶畑に八十八の露降りて明日手折られる若芽光ぬ

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涙落つ母の表情安堵せむ仕えし姑（ひと）を見送りし後

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かつて風を孕みしわれのブラウスを真似たる雲よ初夏連れきたる

愛嬌を使命とされし人形よ吊られても眼のわれよりやさし

破船より饐えたる臭ひ流れきぬ今日わたくしは人を憎みき

天国にいちばん近いビルがあり後追い自殺のニュースは絶えず

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パラシュートひらく刹那に球場の人工芝のみどり鮮やか

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怪談が都市伝説となる首都の80年代かくも明るし

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思い出す幼い頃の町並みを模した園地に遊んだあの日

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今年こそ吉野の桜滝桜薄墨桜にも逢わんとぞ思う

ゆらりゆら遊動円木ときのふね揺られながらもちがう夢みる

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潮騒の音に目覚めて床を抜け彼岸の君と夜明けの語らい

一生に一度は乗りたし熱気球の蒼空に昇るをテレビに見入る

歯車を次から次へと噛み合わせ機械は人の欲望を作る

四十路過ぎ子もいる薬子愛受けて乱をおこしぬ謎の女性史

練習を重ぬることの大事さは解り居りても極むこと無し

家元の冴えて温かきお点前に魅せら若き日母と通えり

日課とし健康のため亡き君とダンスに通いし時は戻らず

濃淡の墨絵贈らる桂林の不思議な山々想いで鮮や

耳の上の白髪のながれ朝ごとにひとつまみほど遊ばせてみる

2004年3月13日(土)午前4時50分。職場。

すはだかの練羊羹（やうかん）は晒されるとうつすらな砂糖ふきにけるかも

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君と二人回転木馬に乗り人はひとりと気づく冬の遊園地

西洋の詩、東洋の詩の比較論かつて論じたる詩人の墳墓

テロリストは使命果たしてやあやあと興奮の坩堝で祝賀パーティー

　　　2004年3月20日(土)午前5時10分前。

ネットなども電気とまれば春の日にはなびらに生（あ）る塵より虚（うつろ）

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　　　2004年2月29日(日)。淡路コーポ。未来の八歳の誕生日。４年に一度の。のぞみの誕生日は4月26日(月)だよーん、六歳になる。

われらがめぐり八歳（やつつ）と五歳（いつつ）が呼びあひてあぐるこゑをきく　絶唱と思（も）ひ

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　　　2004年3月20日(土)午前3時まへ。ロビンソン・クルーソー洞窟。

春に溺れはなはもう来てけふは咲くばかりなるみる日になるらんか

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　　　2004年3月20日(土)午前3時まへ。ロビンソン・クルーソー洞窟。

はつきりといふくちびるの冷えていて嫌ぢやとなん曖昧に来よ

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　　　2004年3月20日(土)午前3時まへ。ロビンソン・クルーソー洞窟。

地球への日本人類の知恵とおもはんその人口を増やさざること

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　　　2004年3月20日(土)午前3時まへ。ロビンソン・クルーソー洞窟。

矢嶋百合（やしまゆり）のちひさき鏡の奥にうつり椿油の小瓶白うするもの

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　　　2004年3月20日(土)午前3時まへ。ロビンソン・クルーソー洞窟。

遠（とほ）くのさゆりみらいのぞみおもふよるふけてなにをせんすべなきを

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　　　2003年秋。光宝寺幼稚園。

列に入りゆきはじめるをみなおなじ赤帽子ゆゑ子をみうしなふ

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大祖母(おほおば)の差し出す糸電話に耳を　よすれば、とほく、圏外の、こゑ

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彩よりもハーゲンダッツが好きと言う君の例外あたしの黒髪

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泣きながらなくしたものを探してた鼻の中にはチーズの匂い

届かない言葉は夜の奴隷だ　ただ暗闇にツナガレテイル

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/3325/

ずぶぬれになったあなたが離さない傘ごと抱いた　一緒に泣いた

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どちらかに正しさがもしあるとしてオマエではないビデオの男

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あやまってくださらなくて結構よ君が差し出す鋼鉄の闇

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水色のままのあなたでいて欲しい春になったら別れましょうね

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当てにしたあいつが留守で始発待つ厳寒上野電話ボックス

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イニシャルをふたつ並べて見比べてふたつとも消す手強い女

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「名前まで言わんでええよ。あんたとは仲良うしたい、それだけやから」

半分は義父からの寄付ひな壇に人形並べて吾は人並み

金運・クジ運・オトコ運　一つくらいはありそうなものを…

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安心を計り売る気か武装した兵士が並ぶ日曜の市

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今はもうその肩越しの空ばかり　向かい合った記憶といえば

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垣根より侘助の紅のこぼれ来て雪のさ庭の彩りとなる

雷は轟きわたり天（あめ）の下光の柱を降したまふなり

開襟のシャツよりのぞく胸元にまひるまの陽の白く明るき

夏蜜柑四つに割るやしろたへの爪につくづく父の残照　

オルゴール・シャルル・ド・ゴール・アルコール　アンコール後の父を見ざりき

いくつかの圏外に立つわれ羨（とも）し。たとえば革命の浪漫なども

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みずからの花弁を曙光にとけこませ姫女苑（ひめじょおん）とは光の種族

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右目だけ犬の目をして君にキス土曜の私　笑う三日月

同窓会容貌移ろうものなれどチーズな笑顔に互いにデ・ジャヴ

圏外が辛い初恋遠くなり笑顔でバリアを保っている今

鎧なら紫裾濃鍬形の兜の緒締め馬上公達

キキララのタオルケットを腰に巻く姫のお臍が上下している

数学の教科書投げる我が子見て憂いあれども血の濃さ笑う

紙粘土爪先のこる白さ見てギリシャの神の躍動想う

世代とはある映画へのこだはりを共有できる者の集まり

みよちゃんとかげえあそびのくらのなか　そのうちなんかちょっとどきどき

血族は血を流し合ふゆゑにありわけてもそれの濃き者同士

矛盾する心の先に純粋な無が大口を開けて待ち居り

美香という名前の似合わぬ新生児 二年で「ミカ」に進化していた

（∞）

八の字を信じこの先眺めても　何故か８の字笑い転げて

洗顔後直した布団のぬくもりにするり赤子に退化してみる

表情を変える事なく沁みる様な歌うたい居るこのラジカセは

あまりにも深い闇夜をがしがしと磨いて居れば血が零れ落ち

今日記す事はなけれど詠むことは溢れ零れて雨曝れて居る

死に至るリスク冒して溺れゆく度胸もなくて自由と嘯く

夜半過ぎて見上げ思いを僅かなる月影に書く墨を滲ませ

部屋の壁に人の顔した染みが在り最近一寸こころ開いて

君のその鋭く尖る沈黙が俺の背中の痛点を刺す

偉丈夫をミニクーパーに押し込んで 夢の中にもかっ飛んでくる

「ハイ！チーズ！」そんなん急に言われても、つまらないのに・・・あら？笑えたわ。

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受容までの死の五段階の表情を墜死者のフィルムせきらら記す

前向きな正しき人らにつかれる日こころ水晶のどくろを磨く

バビロンの日記に残る日蝕のあまねき黙（もだ）のやうに口吻く

> 失恋は方程式があることに気付けば君も数学者だよ

http://www.mag2.com/m/0000121502.htm　

失恋は方程式があることに気付けば君も数学者だよ

http://www.mag2.com/m/0000121502.htm　

何日も躰が土に戻るほどたくさん泣いて泣いたから　春

http://www.mag2.com/m/0000121502.htm　

木蓮の花びらはらり落ちるごとオルゴールの音（ね）静かに止まる

ロビーにて待ちいる客に挨拶す役者の笑顔と花の匂い

欲しいのはコピーのように並びたるＡ定食の蜜柑の輪切り

なんらかの免許を持たぬ人生もまた幸せでケセラセラセラ

乱されず淫らにもなれず清潔なあの春の日の孤独を想う

ポケットの蜜柑をくれたあの人はいい人だけど恋には落ちず

木蓮の花びらはらり落ちるごとオルゴール音（ね）静かに止まる

三月の陽を浴びまろき花々がそれぞれに咲き色彩ゆらす

月の夜は裸足のままで階降りる獅子のたてがみ見つけるごとく

女生徒の華やぐ声に振り向けば子犬を抱けり朝のホームに

柊の花の黄色を君知るや溢るるまでにチーズを溶かす

数学のように愛せと命じます回廊に立つ柱なのです

星光り眠っておりますわたくしの恋人たちが土の中では

クリスマス誰も聞いていなかった名前なくした少女の叫び

　運針は死語か「家庭科」両性の学ばぬことも男女平等

http://www.kulawanka.ne.jp/~hamada/

我海で無邪気な裸足駆けあそぶただひたすらに忘れ去るまで

立食会　我は社交の圏外で飲食物を嚥下しており

http://www.geocities.jp/aruha0225/

　運針は死語か「家庭科」両性の学ぶぬことも男女平等

http://www.kulawanka.ne.jp/~hamada/

　運針は死語か「家庭科」両性の学ぶぬことも男女平等

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　　　2003年夏。未来食べ望緑集めるびはのタネ。

家族ならば兄がたべたるびはの実のころがるタネは弟がもの

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　　　2003年夏。

ふたり子が濡らす目玉のびはのタネは目玉に目守（まも）られ埋められたる

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終焉の予兆のごとき流星は微塵となりて胸ぞ降りける

来年もあさがほは咲く失恋でうちひしがれた朝（あした）の庭に

セ　イ　カ　ツ　ノ　　圏外　ト　ナ　リ　　
下　町　ヨ
エ　ン　ド　ア　・　ジェ　ネ　シ　ス　　ボ　ク　モ　ツ　レ　テ　ケ

少年よ、血判状を書きしるせ！深追ひをせぬをとこをおもひ

雪の上（へ）にするどき影と笹の葉が二重露出の濃淡をなす

水中に苔むす石階ゆらぎゐる杭にもやひしゴンドラ下に

安全で口が堅くてやわらかいあたしは遊具　　あ　そ　び　ま　せ　ん　か

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何気ない嘘。ひとことで絶望は突沸をしてこの目を潰す

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ホスピスのロビーに響くハンドベル死を待つ人の穏やかな笑み

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初めての朝見た君の免許証本籍の欄たった二文字

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責任は取らなくていい春疾風　勝手気ままに乱して果てて

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はいチーズ左の頬のこわばりが不器用な母の性格そのもの

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恋人の募集に参加したいけど名乗る前から圏外みたい

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お姫さま抱っこで君を軽々とあげたつもりがかなり重いね

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数学が出来ないばかりに人生の加減乗除をまちがえている

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ストリップ小屋の照明に噂あり　天然理心流免許皆伝

東京は土がないねと寂しげな君のなまりが羨ましくもあり

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兄嫁を迎えし家は薬師町柿若葉ただまぶしかりけり

薄れゆくかすかな記憶ランドセル揺らして消えるあの子の名前

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ミニチュアの東京タワーに火を放て街が夕陽に倦むそのまえに

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ちょうどよい近寄りがたさ恋人が望遠レンズを取り付ける手は

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上野から朝倉彫塑館までをちいさき影を引き連れてゆく

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「遊ぼー」と毎朝起こしに来る友はトンガリしっぽ羽根が生えてる

血が沸いて肉踊るよな冒険に出れればセックスなんていらねー

歴代の壁に並びし船長が船のロビーでカーク語りき

遊郭の名残をうつす春茜忘れていたのか忘れたくないのか

他人事に血の池地獄沸かんとす狭き心の我に嘆かん

楽しげにロビーでエコーきかせてる子らの笑顔に八十八夜

春嵐検問包囲網対峙飲酒運転免許剥奪

昨日から乱れる心押さえ込むコトはよくない枸橘の花

イラクへ行く派遣兵が甘い甘い蜜柑を剥いて明日の準備を

色落ちのフォトグラフというオルゴールセピアの音色奏でる記憶

人は皆いつか必ず光彩を放つまでには闇に埋もれる

精一杯強がっていることわかるガラスの靴を裸足で履いて

資本主義マトリックスに生きるなら犬でも人でも愛は知らない

ハイッチーズデジカメ向けて嬉しそうこの温度差に鬱屈したい

冬の旅圏外着外日本海仕事を忘れ現実逃避

周りから姫と呼ばれる人がいてどーしてドコが姫なのかしら

数学の宿題をする時の癖左脳ではなく右脳を使う

土砂降りに雨宿りする軒先で話し上手な見知らぬ蠍

学校の倉庫に眠る机には名前にほろりする落書きが

ぬくもりと厳しさにある境界線愛を測れる回帰線かな

幸運の箱を開けたらお金出る私の幸せ何なのかしら

安心を躰で買うのもどうかなとヒトは言うけど縋るしかない

春の空昨日も今日も同じ色あなたのココロも同じ色かな

粉チーズひとつで喧嘩できるほど些細な朝に平和が宿る

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描くたび重ならぬ線の二重三重歪み震へきまなうらの恋

「ゴンドラゴラ？」「マンドラゴラさ」きみの手に掴まれてほら悲鳴あげてる

半分になりて真冬のつめたさのなかにかがやく月しづかなり

あたしの　血を啜ってよ薬など効かぬ傷から噴き出す黒い血

水色に塗り分けられて長々と地図にうねるを木曽川と呼ぶ

　　　2004年3月19日(金)午後5時50分。職場。遙かなる淡路の淡路コーポの、のぞみとみらいへ。みらいー、のぞみー、見てるかー。フォーンっていうのはね？

木琴（しろフォーン）黒フォーンきて踊りますのぞみとみらいと秘密の基地で

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潮騒は夏川りみが琉球のことばで唄ふ涙（なだ）さうさう

真夏、アスファルト道路は熱をもち田中角栄の体臭がせり

ウィリアム・ブレイクの詩 【 The Tyger 】 を機械翻訳して夜を燃す

未練とは振り払ふものされど寺島しのぶの <じ> と <ぶ> の濁音

　　　2004年3月19日(金)午後5時25分。職場。淡路ののぞみへ。

わが五歳どんどん歩くあまつさへ広場にあたれば走りだすみゆ

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　　　2004年3月19日(金)午後5時20分。職場。

第三句がいち音ふえてあるときにはなぜにわがこころ震へるごとし

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　　　2004年3月19日(金)午後5時20分。職場。

死後もはや何十何百年目にぞなりにけりなこの混沌といふ死語

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　　　2004年03月19日(金)午後5時。職場。

三十六いろのチョークの粉絵にてアスファルト黒ければゑ映えるらん

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　　　2004年3月19日(金)午後5時。職場。

ちちははと再会（ふたたびあ）はむ　彼の世あらば確実なることのなきにしもあらず

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土砂降りにからだ打たれてのぼりゆき雲をぬければひびきあふ星

たかぶりてひとの名前を思ひゐしにやがて窓打つ雨聞いてゐし