[20666] 069:奴隷 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時23分

奴隷から一気に王子に出世するシナリオなのに惜しいところで

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20665] 068:傘 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時23分

傘という傘を飛ばして強風が隠そうとする神様のうそ

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20664] 067:ビデオ 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時22分

コンビニの監視カメラに写ってるビデオのなかのあなたとぼくよ

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20663] 066:鋼 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時21分

赤道に臨界点にあなたとの境界線にみなぎる鋼

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20662] 065:水色 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時21分

水色で水を表現できなくてあなたをいつも苦しめていた

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20661] 064:イニシャル 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時20分

風上にイニシャルを置くするするとあなたの匂いが散って千切れる

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20660] 063:雷 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時19分

雷の蕾がやっと枝々にふくらんできてあした出発

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[20659] 062:胸元 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時19分

胸元に閉じ込めているアゲハ蝶 知っていたけど守れなかった

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[20658] 061:高台 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時18分

遠い灯を見渡せるから高台でセンチメンタルコブラツイスト

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[20657] 060:とかげ 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時18分

とかげからとかげに脱皮しただけの見かけは大きな決断でした

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[20656] 059:矛盾 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時17分

あさっては矛盾している求愛を永遠(とわ)と言い切ることも礼儀ね

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20655] 058:八 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時16分

四方でも八方からでも囲みなさいしょせん日本だ島のゆくえだ

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20654] 057:表情 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時15分

表情でこころが透けて見えたって満足なんてさせてくれない

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20653] 056:磨 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時15分

「ボランティアのみなさん月を磨くのはやめてください」夫の寝言

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20652] 055:日記 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時13分

うそばかり書いた日記を古本屋さんの棚に紛れこませる

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20651] 054:リスク 大江ケンジ 2004年10月19日 (火) 02時13分

年老いた優しいピエロが子どもらの手に手にくばるリスクキャンディ

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/9680/


[20650] 048:熱 加藤苑三 2004年10月19日 (火) 01時34分

寝そべればいくらでもくれる(哀しみを)地熱のようにやさしい人だ。

http://www.geocities.jp/sk_sweetholic/


[20649] 047:機械 加藤苑三 2004年10月19日 (火) 01時33分

口じゅうに錆の味がする。旧式の機械人間になれたらいいのに。

http://www.geocities.jp/sk_sweetholic/


[20648] 012:裸足(再投稿) 合田千鶴 2004年10月19日 (火) 01時31分

裸足のままの青年アパートの〈此よりな過ぎそ〉階にをり

階−きだはし


[20647] 005:名前(再投稿) 合田千鶴 2004年10月19日 (火) 01時30分

Yuliaとふわたくしの裡に咲きゐたる名前ゆれつつゆふべ香れる


[20646] 085:再会 矢野伎理子 2004年10月19日 (火) 00時55分

次の世も絶対出逢う再会のゆびきりなんてだからいらない

http://nadja.babyblue.jp/


[20645] 084:抱き枕 矢野伎理子 2004年10月19日 (火) 00時55分

うっかりと君の名つけた抱き枕いつかナイフで切り裂くでしょう

http://nadja.babyblue.jp/


[20644] 083:皮 矢野伎理子 2004年10月19日 (火) 00時54分

皮フェチのあなたの為に用意した九尾の猫鞭 これも愛です

http://nadja.babyblue.jp/


[20643] 082:軟 矢野伎理子 2004年10月19日 (火) 00時54分

軟らかくなるまで口に含ませて。引きずり込まれるように眠って。

http://nadja.babyblue.jp/


[20642] 081:イラク 矢野伎理子 2004年10月19日 (火) 00時53分

バグダットカフェがあるのはイラクではない ブーメラン、風、CallingYou

http://nadja.babyblue.jp/


[20641] 088:句 杉田加代子 2004年10月19日 (火) 00時52分

青年のすがしき汗が匂ひたつ『裝飾樂句』(カデンツア)を読む小春日のこと


[20640] 087:混沌 杉田加代子 2004年10月19日 (火) 00時51分

箸の間をするりと抜けた白菜がうふふとわらふ混沌のなべ


[20639] 090:木琴 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時45分

木琴のくもった音にねじれゆく昼 いもうとのピンどめ眺め


[20638] 089:歩 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時44分

庭園を歩むふたりの視界には同じもの何一つないまま


[20637] 088:句 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時43分

句読点打つ指先の癖までも再現するよ、次世代あたり


[20636] 070:にせもの ひぐらしひなつ 2004年10月19日 (火) 00時43分

にせもののゆうやけにせものの窓にうつしてスクリーンはたそがれる

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[20635] 087:混沌 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時42分

部屋満たす混沌の海抜け出して語る夜空の秩序の虚ろ


[20634] 086:チョーク 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時42分

まだ誰も消さずにいるねささやかな伝言板のチョークの粉を


[20633] 069:奴隷 ひぐらしひなつ 2004年10月19日 (火) 00時31分

むしろ韻律の奴隷となればつややかにこの足首に飾る刺草

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[20632] 084:抱き枕(再投稿) 日向寺みづほ 2004年10月19日 (火) 00時23分

抱き枕なんて要らないこの悪夢わたしひとりで壊してみせる


[20631] 085:再会 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時52分

再会を果たせぬ人へ書きかけの文を切手は貼らずに出して


[20629] 083:皮 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時51分

たまねぎの皮みたいだね曖昧でそのくせ隙なき多重構造


[20628] 082:軟 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時50分

忘れずに柔軟剤をあしくびを洗う時まで吹けないくちぶえ


[20627] 066:鋼 奥村 智子 2004年10月18日 (月) 23時49分

鉄工所裏の空き地に寝そべれば奥歯の鋼微かに疼く


[20626] 065:水色 奥村 智子 2004年10月18日 (月) 23時49分

本当は誰もが違う色を持つ 肌の肌色 空の水色


[20625] 081:イラク 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時48分

生中継イラククウェートトルコそうしりとりだけだ映像の他は


[20624] 064:イニシャル 奥村 智子 2004年10月18日 (月) 23時48分

旧姓のイニシャル入りの文房具 子に握られて描く曲線


[20623] 080:縫い目 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時47分

傷口も穴も縫い目もないからだ秋の夕陽に音符をこぼす


[20622] 063:雷 奥村 智子 2004年10月18日 (月) 23時47分

夕間暮れ夏の名残の花火とて遠雷耳に日記をしるす


[20621] 079:整形 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時43分

整形を施すならば真っ先に心それからひとえまぶたに


[20620] 078:洋 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時40分

はるかなる望洋台は亡き人も海もとおくて風が吹くだけ


[20619] 068:傘 ひぐらしひなつ 2004年10月18日 (月) 23時40分

遠ざかる駅のホームで懸命に振られる傘の赤それだけを

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[20618] 067:ビデオ ひぐらしひなつ 2004年10月18日 (月) 23時40分

愛されていたのだった 亡き人の視界とどめてビデオはまわる

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[20617] 077:坩堝 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時39分

書物にて知りし坩堝に触れずとも熱の伝わる(どこから来たの)


[20616] 076:降 日向寺みづほ 2004年10月18日 (月) 23時38分

「ふるさとは」ふるえる喉で告げし時ひかり奪ったしずく降るとも


[20615] 050:おんな 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時37分

議事録に残されてゐる範囲では浅丘ルリ子が最もをんな

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20614] 049:潮騒 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時36分

巻貝を耳にあてれば潮騒が再生されるさあ咲きなさい

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20613] 048:熱 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時36分

宮中にしみ込んでゆく熱帯夜もうすぐ雲の奇妙なかたち

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20612] 047:機械 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時36分

この機械孔雀は二十年モノで記憶装置はカセットテープ

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20611] 091:埋 和良珠子 2004年10月18日 (月) 23時35分

何度目の終わりだろうか 永遠に埋められない最後のピース


[20610] 046:練 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時35分

草原に兵を練りつゝ夕空に焼き尽くされる遠景の富士

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20609] 045:家元 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時34分

家元が家元を産むぬばたまの闇夜は光合成も休みで

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20608] 044:ダンス 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時34分

ダンスフロアは疾く回転す金鶏の金の卵を中心にして

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20607] 043:濃 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時33分

美濃国大垣を行く軽騎兵かばんに詰めた海を担いで

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20606] 042:映画 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時32分

モノクロの森くろぐろと繁茂して映画はエッフェル塔の配下に

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20605] 041:血 中村安伸 2004年10月18日 (月) 23時32分

血がみどり色になるまで定型といふ名の虚偽をこころざすなり

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3151/


[20604] 090:木琴 和良珠子 2004年10月18日 (月) 23時21分

手のひらをあてがっただけの木琴が呼ばう 母なる大地アフリカ


[20603] 089:歩 和良珠子 2004年10月18日 (月) 22時49分

矢印に逆らい歩くその先をつまづき躓き斑猫(はんみょう)が跳ぶ


[20602] 050:おんな 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時32分

おんな男おんなと書きて「悩ましい」男女男は「なぶる」と読むとふ


[20601] 049:潮騒 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時31分

ひとのみな寝静まりたる夜の更けに耳そばだつも潮騒聴こえず


[20600] 048:熱 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時31分

喉通り過ぎたるあたりに点りたるピンクペッパー五粒の熱さ


[20599] 047:機械 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時30分

かはたれを機械仕掛けの人間がチックタックと歩み倒れつ


[20598] 046:練 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時29分

海老蔵の襲名披露のお練ですそこのけそこのけ海老さま通る


[20597] 045:家元 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時29分

家元を凌がぬやうに目立たぬやう納屋嘉治氏静かに逝きたり


[20596] 044:ダンス 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時28分

鶺鴒のツインダンスはツツツツツ川辺の道をタタタタタ


[20595] 043:濃 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時27分

長良川木曽川揖斐川矢作川豊けきかなや濃尾の平野


[20594] 042:映画 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時26分

切れ長の柳楽クンの眼が捕らえたる映画祭の審査員のハート


[20593] 041:血 小池尹子 2004年10月18日 (月) 22時26分

血のやうな赤ワインの杯重ねつつ主よ!御血よ!勝手にしとくれ


[20592] 087:混沌 本所飛鳥 2004年10月18日 (月) 21時46分

混沌とした闇の中光射す子の微笑みと未来のある子

http://aja-bochan.hp.infoseek.co.jp/


[20591] 086:チョーク 本所飛鳥 2004年10月18日 (月) 21時37分

アスファルトの書かれた丸に子の影がチョークの粉が消えかけていく

http://aja-bochan.hp.infoseek.co.jp/


[20590] 043:濃 佐藤麦 2004年10月18日 (月) 21時19分

紛れもない大陸の風鳥たちの尾羽根には濃い蒙古斑


[20589] 100:ネット 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 21時15分

橋上をひとりし行けば空触れて ネットにひらくや歌のまほろば


[20588] 087:混沌 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時46分

空豆のスープに味を付けるほどちいさな鍋の混沌として


[20587] 086:チョーク 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時45分

駐禁のチョーク引かれた河原町通りのなんて見渡すかぎり


[20586] 085:再会 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時45分

鴨川の河原に座ることもなくわかれたひとと再会しよう


[20585] 084:抱き枕 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時45分

抱き枕にくっつけた耳きのうまで垂れ流していた歌が聞こえる


[20584] 083:皮 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時44分

ぺったりとマニキュア塗って皮膚呼吸できないかんじ三条御池


[20583] 082:軟 佐原みつる 2004年10月18日 (月) 20時44分

また、なんて日のないことを知っている七坂中学軟式野球部


[20582] 081:イラク 中西のぞみ 2004年10月18日 (月) 20時17分

あるはずの武器見つからぬイラクの地に早く返せよ平和な日々を


[20581] 080:縫い目 中西のぞみ 2004年10月18日 (月) 20時13分

年の数縫い目作れる寅年の母の千人針に感謝す


[20580] 079:整形 中西のぞみ 2004年10月18日 (月) 20時11分

初めての整形外科への入院は恐怖の注射と医師への想い


[20579] 078:洋 中西のぞみ 2004年10月18日 (月) 20時06分

武揚の洋服姿をまねたれど歴史に残るは凛々しき歳三


[20578] 077:坩堝 中西のぞみ 2004年10月18日 (月) 20時03分

混沌の坩堝の中から取り出せるダイヤより固い愛の誓いを


[20577] 094:遠 夏瀬佐知子 2004年10月18日 (月) 17時44分

遠足の前の晩の暗闇は怖くなかった なるほどその手

http://www.natsuse.com/diary/


[20576] 076:降 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 17時10分

手つかずのかなしみとしてこれ以上降参しない答えはいらない


[20575] 014:オルゴール 大網氷 2004年10月18日 (月) 16時32分

キミガヨハチヨニヤチヨニ あつといふ間にオルゴール鳴り止みてをり


[20574] 075:あさがお 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 16時22分

あさがおを時計がわりに見ていたね夜明けの近い空と交互に


[20573] 074:キリン 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 16時21分

近くより遠くから見ていたほうがずっとキリンも好きでいられる


[20572] 073:廊 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 16時19分

埋められないものは無理して埋めなくていいと思った廊下の途中


[20571] 072:海老 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 16時17分

ゆきつけばまた海老反りになる背中苦しいのかと囁きもまた


[20570] 071:追 笹田かなえ 2004年10月18日 (月) 16時09分

はんぶん枯れてはんぶん青いプラタナス追われるように秋までは来た


[20569] 081:イラク 長谷川と茂古 2004年10月18日 (月) 15時53分

ひかりさす針穴に糸を通すとき得も言はれぬほどのクワイラクはあり


[20568] 085:再会 yuki 2004年10月18日 (月) 12時56分

再会は忘れた頃にやってくる あなたを前に何から話そう


[20567] 084:抱き枕 yuki 2004年10月18日 (月) 12時55分

ふんわりとただ抱き枕に頬寄せて抱きしめられたい独り寝の夜


[20566] 083:皮 yuki 2004年10月18日 (月) 12時54分

どこまでもむいてもむいても皮ばかり本音の見えない目の前の人


[20565] 082:軟 yuki 2004年10月18日 (月) 12時54分

軟らかな月にさわっているような君の寝顔にそっと口づけ


[20564] 081:イラク yuki 2004年10月18日 (月) 12時53分

イラクとは聞けば必ず戦争を思い出させる悲しい名前


[20563] 100:ネット 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時08分

「インター」を省略してもネットには世界の代役など重すぎる


[20562] 099:絶唱 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時08分

海統べるものが歌えば絶唱は波のかたちをして地に迫る


[20561] 098:溺 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

飛ぶことに溺れた鳥がたどりつく空の果てにはなにもなかった


[20560] 097:曖昧 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

曖昧な国境線の上空の雲の国際的なゆくさき


[20559] 096:類 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

ニンゲンを使えばすべて叶うから類人猿はヒトにならない


[20558] 095:油 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

路地裏に打ち捨てられたぎらぎらの廃油を覆う虹も虹色


[20557] 094:遠 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

遠雷のひかりとどかぬこの部屋はたぶん宇宙のはじっこにある


[20556] 093:列 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

時間さえ途中下車する無人駅ホームに最終列車が入る


[20555] 092:家族 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

見つめるはレンズ 視線を交わさない家族写真が撮影される


[20554] 091:埋 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

病葉に埋もれる秋の陽を探す風のからだはだいぶつめたい


[20553] 085:再会(再投稿) 阿部定一郎 2004年10月18日 (月) 12時07分

再会の時は七十六年後あのひとの名を持つほうき星


[20552] 099:絶唱 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 11時55分

     人生は生きがたいものなのに
     詩がこう たやすく書けるのは
     恥ずかしいことだ。  <ユンドンヂュ> 

「死ぬ日まで空を仰ぎ」て日本に殺められたる絶唱まぶし
 
 *ユンドンヂュ=ユン東柱(ユンは伊の人偏なしの文字)


[20551] 058:八 (再投稿) コズエ 2004年10月18日 (月) 11時46分

八月の青い庭より音もなく黒揚羽舞う影を落として 


[20550] 063:雷  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時40分

雷が落ちればいつもだるまちゃん探していると今でもおもう


[20549] 062:胸元  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時39分

波打った胸元どおり戻るまで瞼のうらに星を数える


[20548] 061:高台  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時39分

高台に指すべらせてふたまわり返事のかわりにチンと鳴らして


[20547] 060:とかげ  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時38分

庭先に何年も住むとかげより私が先にこの家を出た


[20546] 059:矛盾  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時38分

愛してる、でも出てこなければと望んでる腹にてうごめく子への矛盾よ


[20544] 057:表情  コズエ 2004年10月18日 (月) 11時37分

表情の乏しい君と四ヵ月ようやく笑いと焦りの違いに気付き


[20543] 098:溺 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 11時07分

このみずと心中すれば溺死とや遠くへゆこう一緒にゆこう


[20542] 048:熱 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 11時04分

もう若くなけれど男は負う熱にいぶられ峠の廃道をゆく


[20541] 063:雷 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時28分

言い訳のメール打ち終え送信をためらいながら遠雷を聞く

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[20540] 062:胸元 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時28分

ゆく夏の光と風と空を惜しみ胸元のボタンもひとつはずす

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[20539] 061:高台 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時27分

高台を指でなぞって溜息をつけば波立つぐい呑みの酒

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[20538] 060:とかげ 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時26分

ひとり居の真昼間の部屋の片隅のあるいは座敷ぼっこのひとかげ

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[20537] 059:矛盾 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時26分

月光を浴びて古墳に立ち尽くす矛盾まとう兵士の埴輪は

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[20536] 058:八 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時25分

八の字をひとひねりしてメビウスの帯永遠に終わりは来ない

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[20535] 057:表情 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時25分

政治家の隣のSPの無表情が崩れる場面を見たい一度は

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[20534] 056:磨 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時24分

歯磨き粉口一杯のまま笑ってるペパーミントの香りはもういい

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[20533] 055:日記 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時24分

雨に濡れた焼け跡ばかりが描かれて少し黄ばんだ父の絵日記

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[20532] 054:リスク 武田ますみ 2004年10月18日 (月) 10時23分

リスクという言葉を数回繰り返しカルテから目を上げる眼科医

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[20531] 097:曖昧 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 09時40分

十月の古代あさがお曖昧に咲(わら)えり遅れてきた青年も


[20530] 096:類 鈴木英子 2004年10月18日 (月) 09時34分

いにしえの湖(うみ)の伝説類すればつねに悲恋のまぶかき器


[20529] 067:ビデオ 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時09分

親友がいじめに遭うのを最後までビデオに撮ったくらいに薄情


[20528] 066:鋼 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時09分

とびきりの失恋をした 一本の鋼が胸を突き刺した夜


[20527] 065:水色 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時08分

水色の絵の具で空を塗っていく 魚を一匹泳がせておく


[20526] 064:イニシャル 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時07分

アドレスにあなたのイニシャルA.MをAutoMaticとこっそり入れる


[20525] 063:雷 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時06分

寝室で雨音を聞く夏の夕 遠ざかっていく雷の音


[20524] 062:胸元 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時05分

派手やかな服装の奥に闇をみた夏 胸元の薔薇の刺青


[20523] 061:高大 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時04分

一隻の船が北へと向かうとき高大な塔が出迎えていた


[20522] 060:とかげ 岩崎恵 2004年10月18日 (月) 09時03分

石の上とかげがしっぽを切るように両足の枷も外してしまえ


[20521] 075:あさがお 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時45分

はかなきもののひとつにあさがほを絞りてあそぶ色水ごつこ


[20520] 091:埋 みに 2004年10月18日 (月) 08時45分

埋めようとすればするほど深まってゆく溝だけど埋めたいのです

http://mini.pussycat.jp/


[20519] 100:ネット 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時33分

声のそよぎ表情のゆれそんなものをほろほろこぼしてネットの獲物


[20518] 099:絶唱 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時32分

絶対といふ語の好きなをとこゐて絶唱す今宵暑苦しきかな


[20517] 098:溺 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時32分

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ夏のサン・ラファエル沖に愛機と溺死す


[20516] 097:曖昧 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時31分

精緻なる『曖昧の七つの型』エプソンの喩の耀ひてあり

耀−かがよ


[20515] 096:類 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時30分

みちたりた倒木といはむ小夜ふけて菌類あまた発光をせり


[20514] 095:油 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時29分

丁子油の香れるラピスラズリ色練りゆく春のテンペラのため


[20513] 094:遠 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時28分

月の砂の遠鳴りだらうこの夜更けかすかに空のきしむ音きこゆ


[20512] 093:列 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時28分

叫びたるも怒りたるもあり埃及の木乃伊異国の陳列ケースに


[20511] 092:家族 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時27分

ひとりひとりこぼれてゆきし家族らを統べし螺旋の切つ先にゐる

家族−うから


[20510] 091:埋 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時26分

神の手にかかりし埋蔵文化財たちまちにして神性うしなふ


[20509] 090:木琴 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時25分

メスティソの娘のやうだ弾かれるたび木琴は薔薇の香はなつ

弾−はじ


[20508] 089:歩 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時25分

五十肩は腕を肩からぶらさげるゆゑなりと直立二足歩行の悲哀


[20507] 088:句 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時24分

高句麗よりの四神なるべしがひと柱欠けゐつ高松塚古墳石室


[20506] 087:混沌 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時23分

ふかぶかとわが歌の淵のぞきこむかくしてChaos はたまた混沌


[20505] 086:チョーク 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時22分

artichokeをアーティチョークと書くといふあはれ茎なき花ひらきゆく


[20504] 085:再会 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時22分

未だ見ぬひととのとほき再会を焦がるるやうな夏のひと日に


[20503] 084:抱き枕 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時20分

ほのぐらきおもひを抱き枕籠みづよりあぐる蛍生れて

蛍−ほうたる


[20502] 083:皮 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時19分

濃紺の雁皮にほそき截金をもて血曼荼羅描きしことも

雁皮−がんぴ / 截金−きりがね


[20501] 082:軟 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時18分

江戸末期六曲一双作未詳古き軟錦の時間を剥がす

軟錦−ぜいきん


[20500] 081:イラク 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時18分

ことごとく砂塵に視界そめらるる血色に暗むイラクを喰らふ


[20499] 080:縫い目 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時17分

イカットの縫い目ほどけば端端に三粒ずつの草の実のあり


[20498] 079:整形 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時16分

整形外科と美容外科との深谿に脚をとらるる人あまたあり


[20497] 078:洋 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時15分

あかときの日本近代医学かな山脇東洋初の腑分けす


[20496] 077:坩堝 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時15分

坩堝冷えてふかく凝りてゆくところ民族主義といふ結晶の


[20495] 076:降 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時14分

人降りしことあり人のつくりたる空中楼閣まぼろしに帰す


[20493] 074:キリン 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時12分

紫のキリンの舌の硬さかな一向にほどけない机上の論議


[20492] 073:廊 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時11分

マーブルの柱廊ゆるく西にむかひ時雨のあとの虹につながる


[20491] 072:海老 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時11分

深海に生れしづかに透きとほる海老わが夢の砂にすみゐる


[20490] 071:追 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時10分

くらぐらと道狭まりてやうやくに深追ひと知る無音のなかを


[20489] 070:にせもの 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時09分

うずゐものにせものくせものどことなく臭ふなあ、その虚栄のひらひら


[20488] 069:奴隷 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時08分

自由とはスウィングジャズか解放をされたる奴隷はずみはずみき


[20487] 068:傘 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時08分

降らぬゆゑいくども畳み巻きなほす気づけば核の傘に穴あく


[20486] 067:ビデオ 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時07分

だれもゐない深夜しづかにマスードの一生一巻を写しゆくビデオ


[20485] 066:鋼 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時06分

潮にやけし荒鋼の髪むざうさに束ねし夏の四肢おとろへる

荒鋼−あらがね


[20484] 065:水色 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時05分

肌色といふ色どこにもないやうに水色といふ色のまぼろし


[20483] 064:イニシャル 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時05分

あをインクのイニシャルのみが記されて思ひださない人の筆跡


[20482] 063:雷 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時04分

みづがねの楔をうちて近づける雷かるがると橋梁跨ぐ

雷−らい


[20481] 062:胸元 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時03分

胸元に刃のあてらるる心地して古き漆の面きよめゆく

面−おも


[20480] 061:高台 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時02分

高台寺蒔絵はるばる渡り来し四百年の傷みを繕ふ


[20479] 060:とかげ 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時01分

ひかひかとひかるとかげの眸みどりわが手のうちに眠らせておく


[20478] 059:矛盾 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時01分

contradictionの一語を忘れ楚の国の矛盾のくだりを苦しんで訳す


[20477] 058:八 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 08時00分

西欧の北のはずれの夏短し八月のかぜ九月のさぎり


[20476] 057:表情 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時59分

視線がいつもすこうしずれてゐるTVアナウンサーの表情ぶきみ


[20475] 056:磨 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時59分

十月になれば水冷ゆスピノザのレンズ研磨の技冴ゆるころ


[20474] 055:日記 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時58分

アンネの日記『Het Achter Huis』小説家になりたかつた少女の「後ろの家」


[20473] 054:リスク 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時57分

ノーリスクノーリターン否フルリスクノーリータンへと時代が変はる


[20472] 053:墨 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時57分

墨壺ゆたぐりし太き糸をはじく五歳のわれに吉田棟梁教ふ


[20471] 052:部屋 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時56分

子の部屋にAmeliのポスター貼られゐてひそと華やぐ夢もあるらし


[20470] 051:痛 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時55分

いつもなら気づくことない痛点にふいに触れてく、そんなやりとり


[20469] 050:おんな 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時54分

をかすねたむみだりにあやしいさまたげるそしるむさぼるをんなへんなり


[20468] 049:潮騒 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時53分

潮騒の音異なれるわが生にみちてくる潮ひいてゆく潮


[20467] 048:熱 合田千鶴 2004年10月18日 (月) 07時52分

草熱に顔をうたれて目がさめる微熱さがらぬ夢のけだるさ

草熱−くさいきれ