誰よりも短歌であったこころねのすきとおるうさぎ月に隠れて

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プレハブの二階につんだかさかさの本の山　これはきみの心象

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うつせみのひとに傷害特約もお付けなさいって目が容赦ない

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やんわりと干支の話をさけながら作家が口説いているブルネット

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空に問う私は一体どの程度君の支となれただろうか

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しずくする半透明のドアの向こう紙石鹸の雪を降らせたい

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ぶつかつたことにはならず生きてゐる証でもなく発芽してゆく

一度だけ開いた扉あの日から逆に回転している時計

音立ててコーヒーカップを置いてゆく嫌いだったら言えばいいんだ

少しづつふくらみてゆく下腹部に脱皮を終えた象が寝てゐる

朝雨に看板ゆれる暗き駅「終点です」と言はれてみても

胎内のとらんぽりんで眠る子を短い歌で揺らしつづける

ここよりは遠き目覚めの朝妻のよくは知らざる女(ひと)と契りき

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神さまはどこにもいない外苑の銀杏は見られるために色づく

朝焼けはしだいに満ちていくつもの円が車内を染め上げてゆく

予言として子らは産まるる下腹部にやはらかく骨のかたち透けて

鳩たちは咲かぬ桜を取り囲むほろぶほろばぬほろびれほろろ

眠りから引き戻されて椅子の背のノックを他人行儀と思ふ

匿った相手の手相そっと見る妻と似ている運命線が

石鹸の可愛い香り大好きよそんな香水あったかしら？

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結局は月が満ちよが欠けようが世の中何も変わらないのよ

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この味が嫌だときっぱり言えぬまま麦茶を頂く夏がまた来る

ゴマキ似の少女きらきら匿ってほしいだなんて夢想くらくら

歳とるといろんなことがあるけれど時が過ぎれば忘れるのかな

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きらきらもいいけど詩ならどろどろが私の好みだから光るの

往年の朝日夕刊「素粒子」は詩情ウイットあふれてたよね

菜穂子にはサナトリウムが似合うって言われて頷く菜穂子が嫌い

恋ってさなんでこんなに苦しくて凄く寂しく感じるのかな

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化粧水入れたる夏の冷蔵庫母は秋まで文句言いたり

今日は敵明日は味方の顔をして暮らしいるなりあなたと私

横領も着服もせぬ窓口は笑顔が勝負がんばれ素子

人形が部屋にあふれて大変だ真空パックできるのかなぁ

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半世紀越えて騒音被害なおつづく嘉手納の三重窓よ

忙しく煙のように歩くけどちょっとその場で一息ついて

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占領地テロの被害に目を覆うブッシュよりかは蒟蒻送ろう

一心に祈る形の蕾持つ南瓜畑を抜けて帰れり

泣くほどに笑ったのっていつ以来「蒟蒻問答」オチに感動

いいかげん泣き止みなさい涙なみだ涙降らせる雲って黒い？

雲海を泳ぎたくなる二人きり流行追わぬ口紅（ルージュ）がいいよ

害のない虫はヤツデの葉の蔭で生きていること知られずにいる

朝っぱらから叱られて声荒くリプトン紅茶の葉さんごめんね

青春を詰めて眠れる段ボールのノヲトあの日の紅葉ひとひら

もうコインランドリーから逃げ出して夜はたちまち押し寄せてくる

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似るための動きいくつか、曖昧に肘のあたりが疼きはじめる

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箴言が胸に落ちない　母さんはいちにち化粧鏡を磨く

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かたっぱしから人形の首をもぐそういうこどもだった気がする

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ベトナムのお猿の夢をみていたら涙が出てきた　恋というもの

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ごはんより煙草を優先させる人、どうか長生きをしてください。

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よく人がぶつかっています　匿名の陰にかくれてぶつかり合います

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絶対に心を開いたりなんかしない　あなたも望んでいない

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まるで象足に踏みつけられるよう　おんなのひとの心のぼうりょく

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夜なんて実は楽しくなんかなく朝が来ないから起きている

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きゃらめるをほおばりながらとらんぽりん　悲しいことなどなにもなかった

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銀杏の葉踏みつけ坂を登ります　残酷なことはいくらでもある

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今日もまた私と私と、あと私。円陣組んでやってみようか。

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そうですね、ここで一発予言でも。「天使が来たりてなんか言う、かも」

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そうだった　あなたは「ほろぶ」といったのね　わたしは「ほころぶ」だとおもっていた

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やさしいと言われ続ける毎日は千本ノックのように打ちのめす

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タラモアのしずくという名の液体がからだに満ちる　うみは何色

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大量のいんげん豆を煮る時間がわたしにはまだあるではないか

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薬品に対する過剰な反応のきわみと思え　恋ではなくて

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餡のない人形焼きを大またで買いにゆくなり雷門へ

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メンソールの煙吸い込む暗がりのこんなところでしたいだなんて

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はじめてのきみが育った家ですね　鴨居にぶつかるでこをかばって

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教会の扉が開く日曜の朝　生まれ変わるってどんなふう

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「象の檻」に午後の光が差し込んでコロッセウムの骨組みのよう

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肘掛のある揺り椅子で一切を乾かしている晴天／短歌

隣人の愛あればこそ寒風の師走へ生き継ぐ段ボール族

紅白の壁を突破のテツトモに愛のまなざしはてなんでだろー

かさかさの顔立ちだった　ぼんやりとショウジョウバッタの星がうまれる

ふくらんだ皮膚をつまんで歴史から遠ざけるように傷を語った

やるせなき想いで強行突破せし女体のイオンふる試験管

早起きをするには何か段階をふむのでしょうね支え合う針

万智ちゃんの羊水に浮く子であれば歌のイオンの滲みて産まれん

憂きことのあまたありしと覚られず休み明くれば意地の浮き浮き

石鹸をつつむ仕草をしたままで眠ろうやさしい朝に眠ろう

十か月つづけた休みその果てに二日もあれば足りるマラソン

お勘定足りなくなってふと俺は犯罪者だぞまぎれもなしに

早朝のうがいの音にはみだした喉から満ちるエリマキトカゲ

素通しのフィルターを見せ合う時にどこにも聞こえる予鈴がひびく

あの夏は両手広げてポルチーニベースのような恋人といた

ふと思う太い・太った大違いふとんかぶって脱ぐんじゃないよ

人形が入り口にたってウェルカム看板もっている冬の夜

お嬢さま然の千登勢はいいけれど脱いでくれるな音無美紀子

寝転んで煙草の煙はきだせばまどろむままに雲の出産

５分早い通勤電車木曜の朝から本音軋むポケット

消しゴムをみたことのないクワガタにぶつけるように遠くに投げる

マンデイのさよならよりも木曜の別離のほうが何倍も好き

来年の夏の話だ　目の前のエレベーターが開くまもなく

いじめっ子ぞろい人の輪一瞬に解けて「さよなら」宙をさまよう

イルカには触ったことがある　象の肌はそれより乾いているのか

あこがれの五輪マラソン夢はろか十一月末までの完走

（ＦＡＸはスカイダイバー）スリッパを履いてゆっくり朝食をとる

とらんぽりんだらけの部屋で生活を万一するなら遊びに行くよ

線路沿い　歩きなれない道を行く銀杏並木で抜かされている

しばらくは浜辺に残っていることにした月の影って円形だから

何も言えないで口だけ動かしてみた夢の中ささやく予言

立ち上がりなんかの板にぶつかると泣いてしまった小さな子供

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背中から青ざめるとき海岸にほろんだ貝の夢をみている

ドア開く人が乗り込みドア閉まるエレベーターはちょっと苦手だ

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子供たち動物園のお楽しみやっぱり象はお鼻でしょうね

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「短歌とはえらく長いな」俳人の夫は余剰の思想をもたず

かさかさのフランスパンをかじりつつ雨でも晴れでもよいではないか

蝋燭の抜けた穴には何もなくあたらしい傷をたす誕生日

生きてゐるひとりひとりの物語りつぶやきながら支流は延びる

さみどりのよもぎ石鹸泡立てて草のかをりは家族のかをり

早起きの朝の青空素敵だね空気も澄んで心も澄んで

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ノックする場所をえんえん考えている水平線の延長がいい

ぼよぼよんとらんぽりんは楽しいねポーンポーンと空に近づく

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機を織るだれにも教わることもなく水泳教室開始時刻に

エアコンの回る機会に座りつつ口笛を吹く眼薬を持つ

終迎え詠んで恥かし"月"迄も橋を架けたきその名も短歌

かさかさと蠢く虫の気配するホット珈琲流し込みます

海岸に厚手のコートで殺到して写真を飛ばし飛ばし歩くよ

ん十年時折痛む傷それはかさぶたなのかいミイラなのかい

最強の落書きをみたことがあるシャッターの閉まった店の店長

庭弄りをしている片手にスコップを持つ　てかてか口車ってなに

短歌とは近くて遠く霧の中迷いながら花火を上げよう

さんさんと天使が睨むように言う痒いよ喉のとどかない奥

さようなら燃えて沈まぬ太陽に支配されてる黄昏の星

かさかさと落ち葉奏でる公園でわんこと二人寝そべってみる

石鹸の詰め合わせ箱はいつまでもいい匂いのする夢がぎっしり

ゆるさない泣き暮らしたりしたけれど傷はいつしか瘡蓋になる

腹満ちて心が満ちて愛満ちて地球全部が満腹になれ

初詣干支のお守りぶら下げて壊れた国の未来を祈る

石鹸をタオルに包みカニになるあぶくとなって溶けてしまおう

口をあけてつったっている都会でひらひら揺れるキャラメルの風

時満ちた月が太陽隠す日にバイバイ言うの見られぬように

時の間に記した短編小説は小さな歴史の一つの産物

放浪も隠れていてもかわりない時は同じに流れて消える

例えば海途切れること無い空これが恋の類いで無いとしてても

ポスターを書こうとおもう≪資本家の家の柵には登らないこと≫

真夜中に東京タワーのてっぺんで恋に落ちよう百年後も

小屋の中愛し合うたび絡みつく途方に暮れる人形遣い

紅は螺旋を描く軌跡追う標のような人形(ひとがた）に染む

煙突に白い煙が立ち上るさよならあなた固まり拾う

煙立つ心静かにこれからは雲に代りて月に繋らん

ぶつかると跳ねた音する雨降る日トタンの屋根が奏でるワルツ

無造作に席を立つときｃｈｉｌｌ　ｏｕｔ視界がゆうに低く傾く

本開く　カラスパン焼き、猫踊るおこさないようそっと閉じよう

銀杏の色鮮やかな秋の空もうすぐ冬がやってくるけど

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アルプスの山のみどりの冷たさの深さが指ににじむのを待つ

異国の地ゆっくりおやすみ檻の中像の楽園夕日が見える

朝、そっとぼんのくぼの匂い嗅ぐ幼い香り残した其処を

若い頃学校祭の最後には円になって踊ったダンス

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公園でかわりばんこにとらんぽりん宙に浮かんで白いの見えた

銀杏は老いたピエロの涙かな焙烙ゆすり歌思い出す

二千円豊嶋くんと買った土地火星に行こう一番乗りに

約束は守られないと知りながら織りし莚にいつまで座る

「あ」と叫ぶ間もなく口に眼薬を含みて私の目にこぼす人

祭りの日予言者たちが声上げる捕まらぬよう闇夜を進め

玄関に最近おいた傘たての傘がいくつか即答できない

目の前で外されていく帯留めを黙殺するならいつそ拒んで

予言したノストラダムス結局は当たったのかなはずれたのかな

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なにげなくされた落書きいつまでも消えぬ想ひに拍車がかかる

山の道赤く錆びつくケーブルも静かにほろぶ風のブランコ

土くれの色した無人改札にてかてかとした虫の飛び交ふ

12時間前に君から可愛いと言われたほくろがむず痒い朝

思ひ出は過去の甘さか空つぽのキャラメル箱にかげろふの羽根

水の上（へ）に錦織りなすもみぢ葉と朽ちる資格を語らふ時間

ひとりでいるときに活躍するコイン投げ用コインしかないんです

鉄橋にさしかかりゆく眼下には紅葉あなたのとなりの席で

駅名の看板さがすこともせず発車のベルを待つだけの窓

どんな時泣けばいいのか考える　死恋失恋愛破局成就

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雲海をつま先立ちでこえてゆく靴音が夢に忍び込むのです

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はずれてく予言の数だけ平行な世界ができて（あ、滅びてる）

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ゆっくりとかたむきながらあのひとのあたまのなかがほろんでいった

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火曜日の同じ時刻に働いている従業員に似るように笑う

いちにちが雪化粧ならちかちかとすくって食べるアイスクリーム

嫌いって軽く言えるようになり味噌汁自分の好みに変える

黒猫が罪の飛距離を走りぬけ血を吐いた夜の甘いくちびる

笑っちゃうくらいくらい大きな紅の月が照らしているオフィス街

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こんなにも色んなものが降ってきてプラタナスの葉や雲の涙や

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黒南風が贅肉神を北東に黒よりも黒い北極海へ

短歌さえ知らなければ今もなお消化していく景色であった

祖父の手のミイラみたいなかさかさが不思議だった子どもの頃は

感傷にひたりたいわけじゃなくて部屋の亀裂は同化しただけ

死を持たぬ神よあなたの指先でしばらく髪を撫でてください

明日とはアンタレス語の辞書によれば君に抱かれるけしてこない日

とんかつを豚に喰わせてこの星のエントロピーを増加させよう

この僕の童貞は父そして祖父千年守った遺伝なのです

くり返し国がほろんでまたできて歴史はいつも戦ってきた

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父駅で天使　子駅で豚　聖霊駅で降りるわたしにだれか童貞をください

この猫を犬と呼ぶことの誘惑にあらがえなくて春を売っている

中くらいの猶太人が来て数式と迫害についての文字をつくって

あの冬のカルロス･ジョビンなど詰めて宛先のない段ボールを抱く

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イーストは四肢にくまなく満ちゆきてベンチタイムの汝れは眠りぬ

瓶詰めのスクガラスの眼が並びたり過ぎし数多の時を刻みつ

熟したるトマトの皮を剥くやうに恋とは赤き果肉見るまで

街角に人形立ちて手籠よりポケットティッシュの一つをくるる

白濁の煙の渦を抱きつつ静かに焼くるマーブルケーキ

芯切れのシャーペンだとはわかっててノックしてみる程度の希望

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「３秒は飛べてたんだよ、風呂敷を羽織ってパーマンごっこした頃」

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眼薬がしみて痛くて泣いちゃってぜんぶ流れて眼薬　（はじめへ）

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殺人の未遂の未遂の未遂罪くらいであればとうに犯した

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落書きとアートの違いは不明だがあなたの描く絵は好きだってこと

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星屑の名前をバベルの写字生が書き残すためからだを切って