[11153] 089:開く 長谷川と茂古 2003年11月23日 (日) 22時44分

上弦の月は深夜を監視せりうすく開けたる山羊の眼(まなこ)で


[11152] 053:サナトリウム ひな菊 2003年11月23日 (日) 22時27分

新鮮な光と空気そよそよとサナトリウムは海辺がいいな


[11151] 090:ぶつかる 2003年11月23日 (日) 22時16分

肩などがぶつかるように乗ってゆくラッシュに馴染まぬ異物のように


[11150] 076:てかてか 生奈旻士 2003年11月23日 (日) 22時08分

てかてかに使い込まれたTAROTより未だに照かる夢こそ羅針

http://www.speedik.co.jp/uon/


[11149] 089:開く 2003年11月23日 (日) 22時04分

ひっそりと開いて閉じて散っていく女流歌人の歌集は一冊


[11148] 042:クセ 久野はすみ 2003年11月23日 (日) 22時01分

考えるときに眉毛を抜くクセがあってあなたの眼鏡はくもる


[11147] 041:場 久野はすみ 2003年11月23日 (日) 21時59分

運命を四角い台に転がしていざ僕らのビリヤード場へ


[11146] 088:象 2003年11月23日 (日) 21時55分

蟻が象を噛むようなもの日本の開戦の日に言いて戦死す


[11145] 087:朝 2003年11月23日 (日) 21時50分

夜と朝のあわいおぼろな曇り日の始発電車に乗る校了日


[11144] 100:短歌 久哲 2003年11月23日 (日) 21時41分

百錠の薬でしたか短歌では癒せないこともあるんだけどね


[11143] 099:かさかさ 久哲 2003年11月23日 (日) 21時41分

かさかさの中に右手は浸けてある さうだあんたは死を詠むなかれ


[11142] 098:傷 久哲 2003年11月23日 (日) 21時40分

さみしさはなれたけれどもくれないのあめがみえますあの傷以降


[11141] 097:支 久哲 2003年11月23日 (日) 21時40分

青空に眩むふりして筆先で支えてもらうずるい私だ


[11140] 096:石鹸 久哲 2003年11月23日 (日) 21時39分

環礁に沈む長門を思いながら開く牛乳石鹸赤箱


[11139] 095:満ちる 久哲 2003年11月23日 (日) 21時38分

共感は理解ではない白桃の窪みに満ちる露だ君達


[11138] 086:とらんぽりん 2003年11月23日 (日) 21時38分

爆弾に直撃されて人体はとらんぽりんのように跳ねたよ


[11137] 085:銀杏 2003年11月23日 (日) 21時36分

からころと煎る音のして銀杏と冷酒の日本の秋はおだやか


[11136] 084:円 2003年11月23日 (日) 21時32分

だって今買い時なのさ円高さ ああ君はもうそんなにも遠い


[11135] 083:予言 2003年11月23日 (日) 21時30分

予言などするな戦の火の中に燃え尽きる娘のいのちのことを


[11134] 082:ほろぶ 2003年11月23日 (日) 21時28分

パレスチナの民のほろぶを見たいのか瓦礫瓦礫に悲哀埋まる


[11133] 081:ノック 2003年11月23日 (日) 21時25分

違うという言葉を胸にカチカチとノックダウンのペン玩ぶ


[11132] 080:織る 2003年11月23日 (日) 21時15分

百年の歴史を織りなす女性誌にわたしの色もひとすじふたすじ


[11131] 040:走る 久野はすみ 2003年11月23日 (日) 20時39分

走る人をずっと眺めているだけのきみの日曜、無惨にも晴れ


[11130] 091:煙 瓜生ゆき 2003年11月23日 (日) 17時50分

豚トロはここのあたりと喉を撫で はしゃぐあなたは煙りの向う


[11129] 090:ぶつかる 瓜生ゆき 2003年11月23日 (日) 17時48分

何事もぶつかることは避けていた魚の笑みを持つ少年


[11128] 089:開く 瓜生ゆき 2003年11月23日 (日) 17時46分

指先で鰯を開くその後に無言で潰す 夕餉の仕度


[11127] 088:象 長谷川と茂古 2003年11月23日 (日) 17時01分

背中には世界が支へられてゐて曲げらるることなき象の膝


[11126] 039:贅肉 久野はすみ 2003年11月23日 (日) 16時30分

贅肉に刺青をするようなものかも知れないがわたしの薔薇だ


[11125] 038:明日 久野はすみ 2003年11月23日 (日) 15時59分

なにもかも洗い流して雨が降る明日のあさ飛ぶ燕のために


[11124] 079:眼薬 2003年11月23日 (日) 15時13分

この一夜夢を見ないで眠りたい一滴の眼薬一口の酒


[11123] 078:殺 2003年11月23日 (日) 15時10分

私の中の殺意に気づくとき人間というものに恐怖す


[11122] 077:落書き 2003年11月23日 (日) 15時06分

テーブルに落ちた涙を指につけ横顔描く落書きのように


[11121] 076:てかてか 2003年11月23日 (日) 15時01分

漆黒のチャドルの下の右頬に火傷のあとがてかてか光る


[11120] 075:痒い 2003年11月23日 (日) 14時58分

口元も手足も腫れて痒いだろうにただ眠る子に蠅が群がる


[11119] 074:キャラメル 2003年11月23日 (日) 14時54分

キャラメルの甘さが口に広がるも知らずに飢えた幼子は死ぬ


[11118] 073:資 2003年11月23日 (日) 14時51分

自らの資質問いつつ最終の地下鉄に乗り校正紙見る


[11117] 072:席 2003年11月23日 (日) 14時47分

息子らが巣立てばほっかり空く席を抱えて初冬の薄青き空


[11116] 071:待つ 2003年11月23日 (日) 14時43分

命令を自衛隊員は待つのみとイラク派遣の新聞記事読む


[11115] 016:紅 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時13分

安い口紅なんか買ふなよと言ふ君の何かがつらく指組んでゐた


[11114] 015:葉 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時12分

ようこさんのようという字は何だつけ?たしか「葉」だよ生成りのやうな


[11113] 014:段ボール 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時10分

そこにはつかぬくもりはあり白猫がいつも寝そべる古段ボール


[11112] 013:愛 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時09分

わたくしが嬉しいときに「あ、そう」と言ふあなたをなぜか愛してました


[11111] 012:突破 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時07分

突破せよ忙殺必至といふ日々を霜の吐息に喰はれさうな日を


[11110] 011:イオン 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時06分

良きイオンの話を初めて聞いたのは通り雨過ぎる君のアパート


[11109] 010:浮く 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時05分

バジル浮くスープをすする土曜日のだあれもゐないキッチン 日盛り


[11108] 009:休み 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時04分

休みには本のページをめくるやうに遠ざけゆかむ感情の混沌 


[11107] 008:足りる 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時02分

幾つもの呼びかけの後足りぬのは君の内なる我だと気づきぬ 


[11106] 007:ふと 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 14時01分

ふと疲れた表情をして本心に近い話を君は始める 


[11105] 006:脱ぐ 文屋 亮 2003年11月23日 (日) 13時50分

脱ぎ捨てたストッキングに熱 たらたらと残る痕跡気味悪く、振る


[11104] 065:光 加藤苑三 2003年11月23日 (日) 12時16分

あたたかい光がさしてほかほかです 幸せなのだと信じていよう

http://www5c.biglobe.ne.jp/~sk-sweet/index.htm


[11103] 087:朝 長谷川と茂古 2003年11月23日 (日) 08時18分

うつすらと白き衣を凛として羽織るつはぶきその冬の朝


[11102] 050:南瓜 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時36分

天高くきらめきていくB29を語りし父は南瓜が嫌い


[11101] 049:嫌い 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時34分

超嫌いと目が言つてゐる行き着いた飲み屋でおやじクサヤ引き裂く


[11100] 048:死 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時33分

敏感に死のにほひ嗅ぐハイエナと異ならずシチュー鍋まはす


[11099] 047:沿う(訂正) 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時31分

テーブルの木目に沿つて広がつて行くきみのこゑ君のコンソメ


[11098] 047:沿う 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時28分

テーブルの木目に沿つて広がつて行くきみのこゑ君のコンソ


[11097] 046:南 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時27分

茹でたての南京豆の湯気結ぶランプの巨人に願ひ事


[11096] 045:がらんどう 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時27分

張りぼてのモデルルールは炊ける匂ひも点てさせずがらんどう


[11095] 044:殺す 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時26分

初雪の朝息殺し戸をあけて干し柿一つ転がつてゐる


[11094] 043:鍋 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時25分

大根をみるみる下ろす親を見てうつとりとする子の常夜鍋


[11093] 042:クセ 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時24分

メイプルオートナッツスコーンであつてもやはり裏から食べるクセ


[11092] 041:場 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時24分

吊り棚におかれたパンの香りから麦の穂のざわめく場所へ行く


[11091] 040:走る 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時23分

走る様に拝観する学生ら横目にくずきり食ふ法隆寺


[11090] 039:贅肉 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時22分

一杯の朝のコーヒーに溶けていく通勤ラッシュも贅肉のうち


[11089] 038:明日 宮原素一 2003年11月23日 (日) 03時21分

有限の表現の内に止まれよお揚げ一枚に明日をひらく


[11088] 070:玄関 2003年11月23日 (日) 00時52分

真夜中に玄関扉を開けるたび闇が忍んで澱となりゆく


[11087] 069:コイン 2003年11月23日 (日) 00時45分

ケネディのコイン ベトナム戦争の影も宿さず銀色に光る


[11086] 068:似る 2003年11月23日 (日) 00時42分

立ちつくすもういないのに人混みに見かけた若いあなたに似た人


[11085] 067:化粧 2003年11月23日 (日) 00時35分

戦場に出る武士(もののふ)は化粧して職場の机電話上役


[11084] 100.短歌 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時33分

「短歌って何?」「短歌っていうのはね秋の夕暮からできている」


[11083] 99.かさかさ 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時32分

かさかさの手を水洗いしながらもきれいな心それがどうした


[11082] 98.傷 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時31分

二十五時心の傷を照らすべく白く大きく降りしきる雪


[11081] 066:僕 2003年11月23日 (日) 00時31分

跡形もなくいなくなる僕のこと君はいつまで覚えているか


[11080] 97.支 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時29分

十二支に選ばれざるをよろこびて白猫はわたしを踏んでゆく


[11079] 96.石鹸 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時28分

千一夜かけて牛乳石鹸の正しさをお前に教えよう


[11078] 95.満ちる 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時26分

おとうとよお前が生まれ落ちるのは白いはなびら満ちる校庭


[11077] 94.時 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時24分

十二時の鐘は響いてため息がこれほど役に立たないとはね


[11076] 93.恋 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時22分

三十歳独身の願いはただひとつ「恋愛資本主義社会崩壊!」


[11075] 92.人形 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時21分

人形師人形遣いそれぞれに雪降る街を去ろうとはせず


[11074] 91.煙 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時19分

白い煙黒い煙と上がりだし街は山から見たほうがいい


[11073] 90.ぶつかる 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時18分

恐そうな人にぶつかり木枯らしはごくわずかだけ弱くなりたり


[11072] 89.開く 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時17分

哀しみに耐えきれず泣き出すごとく白山茶花は開きはじめる


[11071] 065:光 2003年11月23日 (日) 00時15分

爆発の光最後に眼裏(まなうら)に留めて君は盲(めしい)となるか


[11070] 88.象 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時15分

草原に最後まで残されるのは象使いより象のほうなり


[11069] 87.朝 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時13分

あたらしい朝が来るとは誰が決めた白木の椅子の静かなること


[11068] 86.とらんぽりん 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時12分

とらんぽりん日本代表あっさりと「自分のために勝つ」と言うなり


[11067] 85.銀杏 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時11分

ぼんやりと銀杏並木を眺めつつ貧乏という言葉を学ぶ


[11066] 064:ドーナツ 2003年11月23日 (日) 00時10分

コカコーラとドーナツ欲しと米兵は砂塵の中に白い歯を見せ


[11065] 84.円 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時09分

ことことと円を売りドルを買い円を売り禿げるのはあとにしてくれないか


[11064] 83.予言 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時08分

あしたから冬であります予言者がいちばん苦手な冬であります


[11063] 063:海女 2003年11月23日 (日) 00時07分

舟の夫にいのち託して潜る海女一瞬の不信も兆さぬものか


[11062] 82.ほろぶ 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時06分

ほろぶならあしたほろんでくれないか滋賀県近江八幡市出町


[11061] 81.ノック 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時06分

キャッチャーの声もようやく濁りだしノックは夕暮にさしかかる


[11060] 80.織る 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時04分

絨毯のごとく言葉を織りながら朝の寒さに浸っていたり


[11059] 062:渡世 2003年11月23日 (日) 00時04分

傭兵で渡世する日本青年はアフガンイラクは職場と語る


[11058] 79.眼薬 岡村知昭 2003年11月23日 (日) 00時02分

一回も使うことなく捨ててやるあなたが買ってくれた眼薬


[11057] 78.殺 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時59分

大花野どこまでもきらきらとして殺人の動機はここにある


[11056] 061:祈る 2003年11月22日 (土) 23時58分

コーランの主の祈りの念仏の祈る姿のどこが違うか


[11055] 77.落書き 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時57分

東京の公衆トイレの落書きにわが家の電話番号もあり


[11054] 76.てかてか 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時55分

文化の日きれいな断崖絶壁でてかてかの顔見てしまいけり


[11053] 060:奪う 2003年11月22日 (土) 23時54分

人間のいのちを奪うこんなにも簡単なことか空爆の写真


[11052] 75.痒い 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時53分

想い出をみんな月夜に置いてゆきあなたの痒いところを撫でる


[11051] 74.キャラメル 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時52分

東鳩のキャラメルコーン一袋食べ終えて太陽は汚い


[11050] 059:夢 2003年11月22日 (土) 23時52分

笑ってる君の写真を敷いて寝るお願い夢でいいから会いたい


[11049] 73.資 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時51分

山道に眠りし姉を踏みしめて資本主義から離れゆくなり


[11048] 72.席 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時49分

席順はかならずくじ引きで決めること柊の花ゆっくり開き


[11047] 058: たぶん 2003年11月22日 (土) 23時49分

二カ月分白い日記よ来年の秋にはたぶん僕はいないと


[11046] 71.待つ 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時48分

伝言です 「これからもこれからもずっと裸で成田空港で待つ」


[11045] 70.玄関 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時46分

ただいまから老犬は守護神であり玄関を動こうとはしない


[11044] 69.コイン 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時41分

ワタクシを壊してくれる大雨をコインランドリーで待っております


[11043] 100:短歌 コメット 2003年11月22日 (土) 23時41分

迷いつつ人事調書の趣味欄に今年初めて「短歌」を加える


[11042] 68.似る 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時40分

父さんに似るぐらいなら月面の足跡を消すほうがましです


[11041] 099:かさかさ コメット 2003年11月22日 (土) 23時39分

赤字部門ゆえのかさかさ心まで異常乾燥注意報出る


[11040] 67.化粧 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時39分

化粧品売り場を広く見せるべくプラスチックの花を飾りぬ


[11039] 098:傷 コメット 2003年11月22日 (土) 23時37分

誰よりも傷つき易いと言いながら新人いびる熟年OL


[11038] 66.僕 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時37分

僕たちは浜辺に寝転がりながら明日こそ消えようと誓った


[11037] 097:支 コメット 2003年11月22日 (土) 23時36分

アルコ−ルやけした常務接待の支払い票が次々と来る


[11036] 096:石鹸 コメット 2003年11月22日 (土) 23時34分

お歳暮は石鹸ばかり手も腹もそれほど汚れていると思えぬ


[11035] 65.光 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時34分

永遠の愛を誓っていたふたり光線銃を撃ちあうふたり


[11034] 095:満ちる コメット 2003年11月22日 (土) 23時32分

学歴か能力の差か年下の新取締役は自信に満ちる


[11033] 64.ドーナツ 岡村知昭 2003年11月22日 (土) 23時32分

ドーナツの穴からのぞく太陽の歪なることわたしのごとし


[11032] 094:時 コメット 2003年11月22日 (土) 23時30分

慣例のサ−ビス残業誰一人上司いる時は帰ろうとせず


[11031] 093:恋 コメット 2003年11月22日 (土) 23時26分

快活な笑顔明るくふりまいて社内恋愛時代の愚妻


[11030] 092:人形 コメット 2003年11月22日 (土) 23時24分

協力は出来ないと言う社長派の傀儡人形輩の逃げ腰


[11029] 091:煙 コメット 2003年11月22日 (土) 23時22分

またしても堂々巡り予定時刻過ぎて紫煙とシラケが漂う


[11028] 090:ぶつかる コメット 2003年11月22日 (土) 23時21分

結局は感情論か上役とぶつかる度に出た異動辞令


[11027] 089:開く コメット 2003年11月22日 (土) 23時19分

パソコンを立ち上げてすぐ叱咤する声聞こえそうなメ−ルを開く


[11026] 088:象 コメット 2003年11月22日 (土) 23時17分

会社とは巨象突いても容易には動かぬ愚鈍さを抱え持つ


[11025] 087:朝 コメット 2003年11月22日 (土) 23時16分

やることもそれ程無くていつまでも朝刊読んでいる取締役


[11024] 086:とらんぽりん コメット 2003年11月22日 (土) 23時14分

ああ言えばこう言う二人とらんぽりんしているような社内恋愛


[11023] 085:銀杏 コメット 2003年11月22日 (土) 23時12分

黄葉する銀杏並木入社した日はなよなよの裸木だった


[11022] 084:円 コメット 2003年11月22日 (土) 23時09分

ステンレス・オブジェの見積もり円錐の面積計算式を忘れる


[11021] 083:予言 コメット 2003年11月22日 (土) 23時07分

団塊のわれらが集えば悲観的予言者ばかりになる赤ちょうちん


[11020] 082:ほろぶ コメット 2003年11月22日 (土) 23時06分

奢ってはほろぶがさだめ先人の企業経営理論を紐とく


[11019] 081:ノック コメット 2003年11月22日 (土) 23時04分

反論を口に出せずにノック式シャ−プペン頻りに押し続けている


[11018] 027:忘れる (再投稿) しんくわ 2003年11月22日 (土) 21時59分

ペンギンに聞いた仕掛けを忘れてしまい27階で途方にくれた


[11017] 033:中ぐらい(訂正) しんくわ 2003年11月22日 (土) 21時43分

中ぐらいの戦車のキャタピラ輸入して皇帝ペンギンの冠にした


[11016] 063:海女 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時33分

あひみての後の心にくらぶれば海女になるなど容易きことと


[11015] 062:渡世 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時33分

くちなしの花の香りに気づかない渡世おくればいつも夕暮れ


[11014] 061:祈る 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時32分

祈らないことを選んだ翌朝の森にひとすじ金の罫線


[11013] 060:奪う 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時32分

手相ごと未来のすべて奪はれて見上げる空に北斗七星


[11012] 059:夢 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時31分

身の上にふるふる降るはこぬか雨地雨むらさめひとかたの夢


[11011] 058:たぶん 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時31分

思い切り抱きしめあつて別れたらたぶんあなたは仕合はせになる


[11010] 057:蛇 朔田みあ 2003年11月22日 (土) 20時30分

蛇(くちなは)にそそのかされたふりをして口いつぱいに頬張つてみる


[11009] 086:とらんぽりん 長谷川と茂古 2003年11月22日 (土) 17時11分

愉快なるとらんぽりんをするやうに事件を解きしジェシカおばさん


[11008] 100:短歌 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時56分

さまざまな記憶の扉開け放ち題詠マラソン短歌終わりぬ


[11007] 099:かさかさ 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時56分

かさかさと馬追い虫のはいまわり虫の世界もついに滅びぬ


[11006] 098:傷 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時55分

年代の車あちこち傷だらけ我もおなじよ生きた証か


[11005] 097:支 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時55分

遅咲きのクレマチス枯れて支え棒ともにからまりその姿なし


[11004] 096:石鹸 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時54分

手に包むように我が子を掻き抱けばベビー石鹸匂いほのかや


[11003] 095:満ちる 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時54分

沖かなたむすんで続くリーフには満ちる潮(うしお)が白波たてり


[11002] 094:時 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時53分

島唄を聴きてドライブ出かければいつしかフレーズ口ずさむ時


[11001] 093:恋 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時50分

春浅き温泉町に雪残る恋もまだらに消えかかるかも


[11000] 092:人形 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時50分

指人形一歳の子の誕生の祝いに送るじじばばあより


[10999] 091:煙 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時49分

蒲団干すかなた工場エントツに煙まっすぐ立ち昇るかも


[10998] 090:ぶつかる 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時48分

とびら机ストーブ箪笥窓ガラスあんよの幼子ぶつかるぶつかる


[10997] 089:開く 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時46分

朝陽さす今日も一日さあ生きよう閉じたるこころ開くときかな


[10996] 088:象 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時46分

七人で乗れる自動車探したが飼ってもみたい象の乗り物


[10995] 087:朝  寒雨 2003年11月22日 (土) 15時45分

声高に児は泣き叫びその母はよしよし言いつつ朝空けるらし


[10994] 086:とらんぽりん 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時44分

高校の体育館の隅だったとらんぽりん部どうしてるかな


[10993] 085:銀杏  寒雨 2003年11月22日 (土) 15時43分

ニュータウン銀杏もみじのこの通りつぎの通りはユリノキもみじ


[10992] 084:円 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時42分

100円を握りかれこれ15分あすの遠足おやつはどれに


[10991] 083:予言 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時42分

占いは耳を塞いでやりすごす予言なんてはまああほらしく


[10990] 082:ほろぶ 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時41分

ほろぶ生まるる繰り返すものの命はすべて一緒さ


[10989] 081:ノック 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時41分

そのまえに逃げ出さなけりゃヤバイようノックダウンはいますぐそこに


[10988] 080:織る 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時40分

すばらしく朝陽かがやき夕陽照り映えたたみ織るらん美しき日よ


[10987] 079:眼薬 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時39分

寝る前にかかさずさそうと先生と約束しても眼薬なくす


[10986] 078:殺 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時38分

人間も虫と同じじゃ共食いもすれば親御を殺しもするぞ


[10985] 077:落書き 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時38分

落書きをなんじゃあこれと言い放つ小3の子の二歳児ノート


[10984] 076:てかてか 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時37分

てかてかのほっぺつんつんしてみたいそのあとオシメ替えてあげよう


[10983] 075:痒い 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時37分

痒いときかけば気持ちのいいものをほおっておけば痛痒くなる


[10982] 074:キャラメル 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時36分

石垣の白砂さんご散る浜にわが肌焼けてキャラメルになり


[10981] 073:資 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時36分

いつまでも払えというのかこの時代固定資産税高すぎるぞう


[10980] 072:席  寒雨 2003年11月22日 (土) 15時35分

幼き日席を与えし子供らも今は去りゆく机のひろし


[10979] 071:待つ 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時34分

卒業を待ち昇進を待ち定年を待つあとののぞみは死を待つことか


[10978] 070:玄関 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時33分

立ちつくし手のひらひらり顔くしゃり玄関先でわが子見送くる


[10977] 069:コイン 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時33分

名も知れぬどこかの国のコインあり押し潰したる姫リンゴ似の


[10976] 068:似る 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時32分

風邪ひかず寝つきも早く元気モンそんなとこだけ似る子にそだて


[10975] 067:化粧  寒雨 2003年11月22日 (土) 15時31分

化粧する君は灯りもつけずして鏡の中でなにをみている


[10974] 066:僕 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時31分

鼻の穴おおきく笑うニパッとね僕にそっくりボクのあかちゃん


[10973] 065:光 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時30分

光さす窓辺のサフィニア咲き競い今日もいちにち心楽しも


[10972] 064:ド−ナツ 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時29分

子とともにおやつづくりでドーナツを揚げたが堅く輪ゴムのようだ


[10971] 063:海女 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時29分

波間から顔だす足だす何ごとか修学旅行の海女のすがたは


[10970] 062:渡世 寒雨 2003年11月22日 (土) 15時28分

お逮夜の焼香の列崩れたり服喪のことも渡世なるかな


[10969] 091:煙 佐藤新樹 2003年11月22日 (土) 15時14分

自殺者はどなたの身代わり かなしみよ煙となって川をさすらう


[10968] 090:ぶつかる 佐藤新樹 2003年11月22日 (土) 15時08分

ぶつかるという出来事が嫌いだとぶつかるものは風ばかり 冬


[10967] 089:開く 佐藤新樹 2003年11月22日 (土) 15時01分

しばらくは咲いているはずアワダチソウ 冬が開いて川はおだやか


[10966] 057:蛇 2003年11月22日 (土) 14時59分

蛇の如く賢(さと)くなければという人の出世競争を誇る喉首


[10965] 056:野(訂正) 2003年11月22日 (土) 14時55分

イエス君が野の百合愛でし地にいまはパレスチナ人の血の花が咲く


[10964] 056:野 2003年11月22日 (土) 14時53分

イエス君が野の百合愛でし地にいまはレスチナ人の血の花が咲く


[10963] 085:銀杏 長谷川と茂古 2003年11月22日 (土) 10時17分

ひたすらに翡翠色の実を欲して未だか未だかと銀杏を煎る


[10962] 080:織る 春村 蓬 2003年11月22日 (土) 09時34分

透明な糸をくはへて鳥たちは自分の空にストールを織る


[10961] 079:眼薬 春村 蓬 2003年11月22日 (土) 09時33分

眼薬を差してあげようこんな日は魚の視野にて暮らすのもいい


[10960] 078:殺 春村 蓬 2003年11月22日 (土) 09時33分

解のない方程式や完璧な数式へ抱きつづける殺意


[10959] 077:落書き 春村 蓬 2003年11月22日 (土) 09時32分

堂堂と落書きしてもかなふまい茫茫とナスカの地上絵はや


[10958] 076:てかてか 春村 蓬 2003年11月22日 (土) 09時31分

黄緑の蛍光ペンでてかてかと好きな言葉は発色させて


[10957] 036:遺伝 千名民時 2003年11月22日 (土) 02時24分

早九字をひとり切りたりさみしさが遺伝してゆくやうな月の夜