[10759] 091:煙 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時45分

国道の果てにくゆらす煙草からちいさなちいさな街が見えたら


[10758] 090:ぶつかる 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時43分

星と星 雲と雲とがぶつかってきらきら世界を覆って奇麗


[10757] 089:開く 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時42分

西向きに開いた窓のカーテンが風でないものに揺られて 四月


[10756] 088:象 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時41分

なにもない日曜日にはベランダを象が歩いていくのが見える


[10755] 087:朝 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時39分

三月の朝の星/月またたけば動かされているシマリスの耳


[10754] 086:とらんぽりん 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時38分

ハーブティーもう温くなり星もないとらんぽりんでどこへ飛ぼうか


[10753] 085:銀杏 佐原みつる 2003年11月19日 (水) 18時37分

カローラの走る道にも銀杏の葉きいろは危険地帯のしるし


[10752] 100:短歌 高見里香 2003年11月19日 (水) 17時09分

おかあさんは短歌かくのにどうして「お-いぽぽんた」に名前がないの?


[10751] 099:かさかさ 高見里香 2003年11月19日 (水) 17時07分

かさかさの冬がまた来てひたすらに玻璃の中にて時過ごしたり


[10750] 098:傷 高見里香 2003年11月19日 (水) 17時02分

洗車と傷の点検は後回し日曜日は出掛けるのが好き


[10749] 097:支 岩崎一恵 2003年11月19日 (水) 16時59分

雨だから傘を支えているのですじぶんがだれかおぼえてなくても

http://www.asahi-net.or.jp/~ht1k-iwsk/index.html


[10748] 096:石鹸 岩崎一恵 2003年11月19日 (水) 16時58分

一日の贖罪を終え石鹸はしろく冷えゆく、夜半の浴室

http://www.asahi-net.or.jp/~ht1k-iwsk/index.html


[10747] 097:支 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時57分

「ちゃっとまわししてくるで」と言って急いで支度をするのが正しい


[10746] 096:石鹸 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時51分

幼なじみの君と分け合った紙石鹸はもう香らない


[10745] 095:満ちる 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時49分

満ちるのを待ったつもりが引き際の砂浜にコ−ラの瓶が


[10744] 094:時 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時46分

とびきりの薬をあげる「時がたつ」とラベルに書いてあります


[10743] 093:恋 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時43分

考え込むのがそもそも間違い溢れるような恋歌できぬ


[10742] 092:人形 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時41分

幸せの藁人形は今もまだ資料室の展示品です


[10741] 082:ほろぶ(再投稿) 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時39分

恐竜がほろぶ以前の君に会いたくてタイムマシンにゆられておりぬ


[10740] 091:煙 高見里香 2003年11月19日 (水) 16時37分

約束を破ったわけではないけれど煙草の煙は換気扇行き


[10739] 100:短歌 キタダヒロヒコ 2003年11月19日 (水) 15時19分

短歌にはなることはないおおつひにならうとしないうつくしい虹


[10738] 085:銀杏 佐藤新樹 2003年11月19日 (水) 14時50分

銀杏の絵 枠をつきぬけ階上の人のあゆみを翳らせる午後


[10737] 084:円 佐藤新樹 2003年11月19日 (水) 14時47分

円を描くように歩いてたどりつく町の芯部にとどかざる 雨


[10736] 083:予言 佐藤新樹 2003年11月19日 (水) 14時45分

預言者の臍にはみぞれ 寒空に埋めつくされて陽はかすかなり


[10735] 083:予言 瓜生ゆき 2003年11月19日 (水) 14時22分

信じると言い切れるから信仰の羊水のなか予言は眠る


[10734] 082:ほろぶ 瓜生ゆき 2003年11月19日 (水) 14時21分

手をとってほろぶすべも見失い足跡ばかり途方に暮れる


[10733] 081:ノック 瓜生ゆき 2003年11月19日 (水) 14時18分

打ち鳴らすノックの前の扉から漏れし光り木花之開耶


[10732] 080:織る 瓜生ゆき 2003年11月19日 (水) 14時16分

くもの糸ゆうひの光りかさなって でんしゃの窓にえいえんを織る


[10731] 055:置く(訂正) 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時31分

さざなみの遠つ淡海のボート場にちょんと置きたし航空母艦

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10730] 055:置く 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時30分

055:置く さざなみの遠つ淡海のボート場にちょんと置きたし航空母艦

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10729] 054:麦茶 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時28分

午後あさき待ち合い室の長椅子でホット麦茶を飲んだことなど

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10728] 053:サナトリウム 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時26分

夜をとおしサナトリウムの上にある星をつかんでほおばっている

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10727] 052:冷蔵庫 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時24分

待つことのかたちあるいはこのような冷蔵庫売場に人気なし

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10726] 051:敵 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 12時23分

敵陣をあらわす赤いマップピン刺せばたちまちしたたるように

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10725] 099:かさかさ(訂正) キタダヒロヒコ 2003年11月19日 (水) 11時57分

> 会議中かぶりを振ればかさかさとこのひそやかな違和のしたしみ


[10724] 090:かさかさ キタダヒロヒコ 2003年11月19日 (水) 11時57分

会議中かぶりを振ればかさかさとこのひそやかな違和のしたしみ


[10723] 077:落書き 五十嵐仁美 2003年11月19日 (水) 09時57分

知らぬ間に娘の落書き増殖しリビングの床うさぎのダンス

http://www.d1.dion.ne.jp/~itefutef


[10722] 099:かさかさ 芦田美香 2003年11月19日 (水) 09時54分

指先がかさかさ乾いてゆく季節みかんの香りのクリーム擦り込む


[10721] 053:サナトリウム 壱架 2003年11月19日 (水) 08時56分

キミのいたサナトリウムに約束の花を咲かせてあげたかった

http://finito-web.com/mm1


[10720] 052:冷蔵庫 壱架 2003年11月19日 (水) 08時56分

寒くなり冬眠するよにひっそりとあたしは冷蔵庫に還(かえ)ってく

http://finito-web.com/mm1


[10719] 051:敵 壱架 2003年11月19日 (水) 08時49分

憎まれて敵(かたき)になればキミはもうあたしのことを忘れられない

http://finito-web.com/mm1


[10718] 078:殺 黒瀬珂瀾 2003年11月19日 (水) 08時04分

人間(ひと)は母殺しと思ひ立ち尽くす突風に総倒れの芙蓉

http://aurora.bird.to/karan/


[10717] 077:落書き 黒瀬珂瀾 2003年11月19日 (水) 08時03分

落書きを消すために塗るペンキかな三鬼忌はまだ遠き晩秋

http://aurora.bird.to/karan/


[10716] 076:てかてか 黒瀬珂瀾 2003年11月19日 (水) 08時01分

てかてかの林檎を闇に託すさま私生活ゆゑ描かざりにき

http://aurora.bird.to/karan/


[10715] 075:痒い 黒瀬珂瀾 2003年11月19日 (水) 08時00分

王権がまとはりつきて痒いのだ 馬さへ遠き影を持つとも

http://aurora.bird.to/karan/


[10714] 074:キャラメル 黒瀬珂瀾 2003年11月19日 (水) 07時59分

雨の夜 誰何されつつ噛み潰すキャラメルよりぞ甘さあふれて

http://aurora.bird.to/karan/


[10713] 100:短歌 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時47分

言葉とは偉大な力夢も現実も無限に広ごる短歌の世界


[10712] 099:かさかさ 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時45分

かさかさと落ち葉鳴りゐて冬近しリンドウの花一本買ひぬ


[10711] 098:傷 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時43分

外科手術傷も癒えたる今日の日は街さっそうと歩いてみたり


[10710] 097:支 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時42分

妻の目は時にやさしく孤独なる心の支へとなるときもある


[10709] 96:石鹸 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時39分

石鹸の泡全身に満ち満ちて今日の汚れを落とさむとする


[10708] 095:満ちる 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時38分

感動の満ちて涙の出で来るはドラマだけなる妻の日常


[10707] 094:時 大石俊弘 2003年11月19日 (水) 07時36分

父母出かけ妻もの仕事の午後三時我ひとりなるひとりの時持つ


[10706] 050:南瓜 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 01時16分

でも僕は(器用な)(南瓜の種に似た爪の)指先が好きだった

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10705] 049:嫌い 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 01時14分

O脚です野菜嫌いです坂道で後ろはけして振り返らない

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10704] 048:死 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 01時08分

遠いのか近いのかよくわからない死にあてて書く手紙の途中

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10703] 047:沿う 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 01時06分

プロセスはガイドラインに沿っている胸にからまるくるしい水が

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10702] 046:南 佐藤りえ 2003年11月19日 (水) 01時04分

アンコールワットに伸びる影法師 南天にいま太陽がある

http://www.ne.jp/asahi/sato/dolcevita/


[10701] 027:忘れる 伴 風花 2003年11月19日 (水) 00時38分

忘れたくないから声も握る手の強さも耳の角度も、だから


[10700] 026:妻 伴 風花 2003年11月19日 (水) 00時32分

愛妻家であるところの先生の脱字だらけの学級通信


[10699] 025:匿う 伴 風花 2003年11月19日 (水) 00時31分

あのひとのやさしい嘘を匿っていつか困らせたいときのため


[10698] 024:きらきら 伴 風花 2003年11月19日 (水) 00時30分

脱ぎ捨てたかたちのままのジーンズに朝はきらきらたまっていった


[10697] 023:詩 伴 風花 2003年11月19日 (水) 00時29分

午前四時眠れず雨をきいているきっとあなたは詩に棲んでいる


[10696] 051:敵(訂正) 2003年11月19日 (水) 00時25分

今日もまた心の中の敵に負け悪口を言った寂しい一夜


[10695] 050:南瓜 2003年11月19日 (水) 00時23分

一生分戦争中に食べたから南瓜は食わぬと言い切る父よ


[10694] 050:敵 2003年11月19日 (水) 00時19分

今日もまた心の中の敵に負け悪口を言った寂しい一夜


[10693] 049:嫌い 2003年11月19日 (水) 00時14分

戦争は嫌いだ嫌いだ殺す方殺される方みな人なのに


[10692] 048:死 2003年11月18日 (火) 23時04分

じりじりと灼きつくす陽も死体から漂う臭いもテレビには無い


[10691] 047:沿う 2003年11月18日 (火) 22時59分

五年余を建設に捧げたと彼のいうパイプラインに沿う空爆線


[10690] 046:南 2003年11月18日 (火) 22時56分

北の国南の国と分けられて水を争う水の惑星


[10689] 065:光 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 22時52分

百万のグミの実ならぶ方眼が光捉えてCCDとふ


[10688] 064:ド−ナツ 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 22時52分

ドーナツが太き指もて広げられやがて閉じゆく灼熱の中


[10687] 063:海女 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 22時52分

ぴつたりと濡れし衣が纏ひつくテレビの中の海女は窮屈


[10686] 062:渡世 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 22時51分

真っ黒き牛蒡の灰汁が澄みてゆく渡世の術を我も見つくる


[10685] 061:祈る 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 22時51分

祈るもの見つからぬまま貰ひたる聖体なりしパンのひとかけ


[10684] 045:がらんどう 2003年11月18日 (火) 22時47分

なにもかも吹っ飛び盗まれがらんどうイラク美術館の像は首無し


[10683] 044:殺す 2003年11月18日 (火) 22時40分

軍隊は人を能率良く殺すそれが目的忘れないでね


[10682] 043:鍋 2003年11月18日 (火) 22時38分

何もない空っぽの鍋周りには死体のみありて飢えていたらば


[10681] 042:クセ 2003年11月18日 (火) 22時35分

空爆の日からまぶたをピクピクと動かすクセが取れぬという子


[10680] 093:恋 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時26分

亡き母を恋してゐたり恋といふ意味さへ知らぬ高校生なりき


[10679] 092:人形 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時25分

父と妻の権力強き家にあり私はただのあやつり人形


[10678] 091:煙 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時24分

なにゆえにただの煙が恋しいぞ禁煙をして1年が過ぐ


[10677] 090:ぶつかる 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時22分

熱っぽくぶつかることもなくなりぬ妻の仕事は中学校教諭


[10676] 089:開く 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時21分

最高裁判事になりし団藤氏「開かれた構成要件」講義にありき


[10675] 088:象 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時20分

今は亡き母にしっかりいだかれて象にリンゴを投げし記憶よ


[10674] 087:朝 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時18分

爽やかに風吹き抜けて秋ひと日仕事休みの朝の歯磨き


[10673] 086:とらんぽりん 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時17分

見るだけのとらんぽりんと体験と違い大きくあるを思へり


[10672] 085:銀杏 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時15分

本郷の銀杏並木をゆっくりと友と歩みし日の我にあり


[10671] 079:眼薬(訂正) 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 22時13分

君を見るこの目に濁りのありや否清らに見ゆる眼薬の欲し


[10670] 084:円 兵庫ユカ 2003年11月18日 (火) 21時53分

円陣は陣なのだろうバレー部の高崎さんもひとりなら花

http://www.d3.dion.ne.jp/~y_hyogo


[10669] 060:奪う 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 21時23分

奪うもの奪われしもの無きままに明くる平穏欝の真中は


[10668] 059:夢 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 21時22分

マシュマロに追ひつめらるる夢見たり確かに柔き感触のあり


[10667] 058:たぶん 大畑靖夫 2003年11月18日 (火) 21時22分

滾りたるチーズフォンデュの賑はひもたぶんは暗き胃の腑のもとへ


[10666] 091:煙(再投稿) 久哲 2003年11月18日 (火) 19時07分

異端者の火刑の煙たなびいて貧困街にある果物屋


[10665] 094:時 久哲 2003年11月18日 (火) 19時04分

嘘寒き詩を破り捨て後ろ手で時をまさぐるちょいとごめんよ


[10664] 093:恋 久哲 2003年11月18日 (火) 19時03分

「恋なんか詠んでやらんぞ生卵」「君にあるのは白いもらもら」


[10663] 092:人形 久哲 2003年11月18日 (火) 19時02分

人形と罵倒されても●●をあんたなんかに許しはしない


[10662] 092:煙 久哲 2003年11月18日 (火) 19時02分

異端者の火刑の煙たなびいて貧困街にある果物屋


[10661] 090:ぶつかる 久哲 2003年11月18日 (火) 19時01分

その髪で男の足を拭う時 床にぶつかるロザリオまでの


[10660] 089:開く 久哲 2003年11月18日 (火) 19時01分

金色の香油の瓶を知り過ぎた少女が開くやめときゃいいのに


[10659] 088:象 久哲 2003年11月18日 (火) 19時00分

あえてまた身を投げ出して気まぐれな象に踏まれる こわれないから


[10658] 098:傷 芦田美香 2003年11月18日 (火) 18時14分

人形の頬にはさみで傷つけし夕かつてあり鏡の前で


[10657] 097:支 芦田美香 2003年11月18日 (火) 18時08分

支援者のふりして握手に呪い込めておきました。レイプは犯罪ですから。


[10656] 096:石鹸 芦田美香 2003年11月18日 (火) 18時05分

石鹸で洗い流してしまいたい、この野郎、さっきあいつに言われた言葉


[10655] 098:傷 キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時33分

浅き傷われの車に彫(ゑ)りし子ら潮風のもと父母となりゆく


[10654] 097:支 キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時31分

街ぢゆうに満面の笑み貼りつけて支持くれといふこころをおもふ


[10653] 096:石鹸 キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時29分

眼に沁みる石鹸ほどのいたみもてなつかしき名のひとりを見つむ


[10652] 095:満ちる キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時28分

あすからはあなたのゐない教室とおもへば不意に満ちくる嗚咽


[10651] 094:時 キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時26分

内容のない会議ですニ時間が垂れ流されて乾ききつてる


[10650] 093:恋 キタダヒロヒコ 2003年11月18日 (火) 17時24分

恋まではあと半音もずれてゐてまだ変でゐるよりほかなくて


[10649] 082:ほろぶ(訂正) 大野景子 2003年11月18日 (火) 15時58分

癌細胞じんはり侵蝕遂げてゆきほろぶまで見る命の無惨


[10648] 065:光(訂正) 大野景子 2003年11月18日 (火) 15時44分

溺死者を呑み込み鈍く光りをり画面の中の淡海のうみは


[10647] 051:敵(再投稿) ひな菊 2003年11月18日 (火) 15時26分

黒々と緑の領地埋め尽くす敵の一手で真っ白になる


[10646] 075:痒い 春村 蓬 2003年11月18日 (火) 15時23分

ごめんね君のせいぢやない痒いかごめんよアトピーは奇妙なこと


[10645] 074:キャラメル 春村 蓬 2003年11月18日 (火) 15時22分

キャラメルのおまけの箱に詰められて昭和 しづかな午睡は並ぶ


[10644] 073:資 春村 蓬 2003年11月18日 (火) 15時21分

家康の思惑のそとに残りたる人生は資料館の恒温


[10643] 072:席 春村 蓬 2003年11月18日 (火) 15時20分

空席の目立つ車両がごろごろと瞼のうらを横切つてゆく


[10642] 071:待つ 春村 蓬 2003年11月18日 (火) 15時18分

もろもろの形にならぬものばかり拾ひてひと日歌ひとつ待つ


[10641] 090:ぶつかる 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時24分

今年もまた聞きたくなって白鳥の羽音と氷がぶつかる音を


[10640] 089:開く 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時22分

たとえそれを持っていないとしたら次々開く蜂蜜のふた


[10639] 088:象 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時20分

「象の鼻のように素敵だったけど最後は尻尾になってしまった。」


[10638] 087:朝 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時18分

どの子らもみなけだるくて三十分ずらした朝のラジオ体操


[10637] 086:とらんぽりん(再投稿) 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時17分

跳ぶたびに吸い込まれそうで怖かったとらんぽりんのふかみどりいろ


[10636] 085:銀杏 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時15分

ほろほろと落ちる銀杏(ぎんなん)幼き日鼻をつまんで通った道よ


[10635] 084:円 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時13分

沐浴はなんだか怖いとみな逃げて楕円の形のお湯が冷えゆく


[10634] 083:予言 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時11分

子の予言占い師より正しくて「お腹の赤ちゃんおとこのこだよ」


[10633] 082:ほろぶ 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時10分

とびきりのほろびの美学を教えられもう猫になるしかないかも


[10632] 081:ノック 高見里香 2003年11月18日 (火) 14時01分

ふくらんだドアノックしたら留守ですのメモ書き残し小人はいない


[10631] 095:満ちる 芦田美香 2003年11月18日 (火) 13時03分

倦怠と反感満ちる教室にカーテン越しの日は注ぐのみ


[10630] 094:時 芦田美香 2003年11月18日 (火) 13時00分

「携帯電話も時計も手帳も持たないで来たバスに乗ること」休日取扱説明書


[10629] 093:恋 芦田美香 2003年11月18日 (火) 12時50分

男の背見上げるような恋ばかりしていた ひょいと水たまり跳ぶ


[10628] 092:人形 芦田美香 2003年11月18日 (火) 12時44分

君の眼差しにもう温度が感じられない人形の目のように


[10627] 082:ほろぶ(再投稿) 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 10時08分

かそけさの中にそよ風秋の日のほろぶがごとく弱く光れり


[10626] 083:予言 長谷川と茂古 2003年11月18日 (火) 09時32分

予言する鸚鵡を探す夢にゐて極彩色のめぐりに眩む


[10625] 100:短歌 みうらしんじ 2003年11月18日 (火) 01時41分

この胸のゆれる想いを置き換えてオブジェと化した短歌をうたう

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[10624] 099:かさかさ みうらしんじ 2003年11月18日 (火) 01時41分

かさかさに乾きはじめた生活の中でいつしか孤独になった

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[10623] 098:傷 みうらしんじ 2003年11月18日 (火) 01時40分

わたくしは人にやさしくなるために傷ついてきたわけじゃないんだ

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[10622] 084:円 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時35分

求め方未だわからぬ円周率「産医師異国に向こう」ただなる暗記


[10621] 083:予言 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時33分

かの人の予言いずれも的中す「先生になる」「家を新築」


[10618] 081:ノック 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時26分

ノックなく突然妻は吾が部屋に入り来るのが日常となる


[10617] 080:織る 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時24分

虹の橋に織りなす恋の物語君が語ればいつしかに朝


[10615] 078:殺 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時21分

死にたいと思ふときこそ自殺より人を殺せと自らに言ふ


[10614] 100:短歌 大野景子 2003年11月18日 (火) 01時20分

削ぎ落とすもの何もなく短歌のみ残せしといふ一遍和尚


[10613] 077:落書き 大石俊弘 2003年11月18日 (火) 01時17分

民宿の落書きノートに自らの不倫を綴り住所まで書く


[10612] 031:猫 しんくわ 2003年11月18日 (火) 01時05分

猫じゃらしでペンギンマフィアが指示を出す。グレープフルーツ密売グループ


[10611] 045:がらんどう(訂正) 大野景子 2003年11月18日 (火) 00時53分

訪れし故郷の庭セイタカの黄金の波ゆ がらんどうなり


[10610] 099:かさかさ 大野景子 2003年11月18日 (火) 00時47分

かさかさの心にしみる蟋蟀の音を聞きをればそよりと動く


[10609] 098:傷 大野景子 2003年11月18日 (火) 00時43分

生きてこの夜の深みにはまるとき灯火に照らせり手首の傷を


[10607] 097:支 大野景子 2003年11月18日 (火) 00時35分

ここからが異界への道と示されし看板の支柱風にゆらぎぬ


[10605] 030:表 しんくわ 2003年11月18日 (火) 00時20分

ペンギンに追いかけられた霊柩車が表通りを突っ走ってゆく


[10604] 029:森 しんくわ 2003年11月18日 (火) 00時19分

半月が森に墜落。フライパン片手に走るペンギン姉妹


[10603] 028:三回 しんくわ 2003年11月18日 (火) 00時17分

クリティカルヒットを三回決めた後にたりと笑うカンフーペンギン


[10602] 027:忘れる しんくわ 2003年11月18日 (火) 00時16分

ペンギンに聞いた仕掛けを忘却し27階で途方にくれた


[10601] 026:妻 しんくわ 2003年11月18日 (火) 00時14分

三日三晩ペンギンたちと戦った手長足長村長の妻


[10600] 083:予言 兵庫ユカ 2003年11月17日 (月) 23時08分

幸せになれないよって予言して彼女はそれを譲ってくれた

http://www.d3.dion.ne.jp/~y_hyogo


[10599] 092:人形 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 23時05分

抱くことは許されなくてともだちになれないままの人形だった

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10598] 091:煙 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 22時50分

双眸の煙水晶うつくしく悩める人に勝てるはずなく

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10597] 057:蛇 大畑靖夫 2003年11月17日 (月) 22時03分

潰れゆく蛇のイチゴの軟らかく過ぎし言葉は淡きむらさき


[10596] 056:野 大畑靖夫 2003年11月17日 (月) 22時03分

汝が淵の深き野生を嗅ぐごとくバジル青葉を強く毟りぬ


[10595] 077:落書き 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時37分

民宿の落書きノートに自らの不倫を綴り住所まで書く


[10594] 076:てかてか 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時36分

高校生てかてか光る帽子もて自己主張せし日も遠くなり


[10593] 075:痒い 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時35分

痒いからかく眠いから眠る日々遠き思ひを空に浮かべて


[10592] 074:キャラメル 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時33分

日の当たる店にキャラメル売っていた明治生まれの祖母の思い出


[10591] 073:資 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時32分

資本論わが家にあると中学に言ひし生徒は東京大学生


[10590] 72:席 大石俊弘 2003年11月17日 (月) 21時30分

われかつて叱られしことある学舎の席静もりて秋の陽の降る


[10589] 005:音 文屋 亮 2003年11月17日 (月) 21時11分

その音はなに、その音は。ソルフェージュ教師の巻き毛が頬に触れくる  


[10588] 004:木曜 文屋 亮 2003年11月17日 (月) 21時09分

木曜は鍵つ子だつた、木曜はパンがお土産、いい匂ひの日


[10587] 003:さよなら 文屋 亮 2003年11月17日 (月) 21時07分

K先輩に貸しつぱなしの本の名は寺山修司『さよならの城』 


[10586] 002:輪 文屋 亮 2003年11月17日 (月) 21時04分

あした行かう花輪線で行かう胸が青いんだ、待つてゐて、ねえ、君


[10585] 001:月 文屋 亮 2003年11月17日 (月) 21時02分

霜月の夕べ硝子は雫して触れえぬ森の一樹を想ふ


[10584] 029:森 谷川由里子 2003年11月17日 (月) 20時26分

半袖のふたりは音を出し合って森でブレスの練習をする


[10583] 100:短歌 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 12時40分

この詩形が
****である限り
あるいは****てゆくだろう

縊られし一行の詩を今日よりはひとすじの視線と思え 短歌


[10582] 099:かさかさ 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 12時19分

派兵部隊は
重武装にて
抑止力を強化するべし

死者の前歌う言の葉かさかさと散ればわが行くいくさも遠し


[10581] 098:傷 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 12時12分

肌色の
カーテンに仕切られた
その部屋

病み臥せる叔母のくれたる無花果の傷咽せるまで甘く匂えり


[10580] 097:支 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 12時04分

少女時代の
赤茶けた風景

ユーモレスクの歌詞を忘れて海へ伸びる貨物支線の枕木を踏む


[10579] 077:落書き 青山みのり 2003年11月17日 (月) 11時24分

陽だまりの郵便ポストに落書きのごとき宛名の恋文ありき


[10578] 076:てかてか 青山みのり 2003年11月17日 (月) 11時23分

てかてかにひかりかがやく水たまり あたしがそこにいるとおもった


[10577] 075:痒い 青山みのり 2003年11月17日 (月) 11時22分

心臓が痒いと言えば抱きしめて同じ温度にしてくれるひと


[10576] 096:石鹸 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時49分

イヌイットの
女の子は
それを食べちゃったんだって

石鹸をフォームと言いて洗うわれの顔は飽くまで扁平なる日本


[10575] 095:満ちる 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時33分

愛恋の末
死んでいった
男女は数多

危うさの満ちるグラスを飲み干して次の噂に耳かたぶける


[10574] 094:時 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時23分

幻影といえば幻影
現実といえば現実
だから?

様々な姿態を取りて残された〈時〉がわたしを狩り立てている


[10573] 093:恋 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時13分

電話の回線を
切った
日射しがやさしい

恋という汚名そそげばおだやかな飢(かつ)え親しくわが部屋を訪う


[10572] 092:人形 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時07分

たくさんのドレスと
外国人の親友
電気仕掛けの家政婦もいた

声色を変えつつ脱がす遊戯なりき体毛無き香山リカ人形を


[10571] 091:煙 浦奈保美 2003年11月17日 (月) 10時06分

どこかに
火種が
隠れている

暗き管を昇る煙の太りゆく夜半熟したる卵巣あわれ


[10570] 100:短歌 AQ 2003年11月17日 (月) 02時10分

相和する情(こころ)なくせし和歌のいま虚空に響く短歌は啖呵

http://8229.teacup.com/soranuta/bbs


[10569] 099:かさかさ AQ 2003年11月17日 (月) 02時09分

恋ひ渡る愚かさかさね肉かさね金輪際にとどかぬ虚しさ

http://8229.teacup.com/soranuta/bbs


[10568] 098:傷 AQ 2003年11月17日 (月) 02時08分

傷口を重ね絆とせし恋の破局流局忘却流浪

http://8229.teacup.com/soranuta/bbs


[10567] 090:ぶつかる 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 00時50分

ぶつかると痛いけどあまりにうまくかわされるのもわりあい痛い

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10566] 089:開く 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 00時49分

開かせたのはきみだからいざり出る呪いもちゃんと受け止めなさい

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10565] 088:象 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 00時49分

曾祖母が愛のかたみに贈られたという 象嵌の帯止めを継ぐ

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10564] 087:朝 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 00時48分

朝が来てしまえば消える歌ひとつ書きとめしろい冷蔵庫に貼る

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10563] 042:クセ 朔田みあ 2003年11月17日 (月) 00時46分

もう一度愛されてから防腐剤たつぷり入れたハクセイになる


[10562] 041:場 朔田みあ 2003年11月17日 (月) 00時45分

かたはらにすてきに笑ふひとが居た 場面はすでに切り替えられて


[10561] 040:走る 朔田みあ 2003年11月17日 (月) 00時45分

走ること、遠く跳ぶこと、投げること、すべて忘れていま沼の底


[10560] 039:贅肉 朔田みあ 2003年11月17日 (月) 00時44分

贅肉はしあはせでした水かきをなくした君の指につままれ


[10557] 086:とらんぽりん 星川郁乃 2003年11月17日 (月) 00時43分

とらんぽりん跳ねるわたしを見下ろして満足そうなその笑顔、嫌

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4803/index.html


[10556] 038:明日 朔田みあ 2003年11月17日 (月) 00時42分

夕焼けが明日に向かつて咲くことを信じられたら生きやすい冬