[10154] 085:銀杏 萩原留衣 2003年11月13日 (木) 10時11分

空想の翼は銀杏の葉でした。ただいま栞となっております。

http://bgthj.hp.infoseek.co.jp


[10153] 057:蛇 浦奈保美 2003年11月13日 (木) 10時10分

本能のおもむくまま
殺した日も
あった

円陣を広げて子らが打ち棄てし蛇なる腹の銀のかがやき


[10152] 084:円 萩原留衣 2003年11月13日 (木) 10時07分

円形の星座はあまりないんだね林檎座だとか玉子座だとか

http://bgthj.hp.infoseek.co.jp


[10151] 083:予言 萩原留衣 2003年11月13日 (木) 10時05分

石でしょうCD-ROMではいけません由緒正しい予言の保管

http://bgthj.hp.infoseek.co.jp


[10150] 082:ほろぶ 萩原留衣 2003年11月13日 (木) 10時03分

みらい未来地球がほろんだ後できる文明のための環境保存

http://bgthj.hp.infoseek.co.jp


[10149] 081:ノック 萩原留衣 2003年11月13日 (木) 10時01分

とんとんとん夕焼け空からノックですもうすぐ柿が星になります

http://bgthj.hp.infoseek.co.jp


[10148] 056:野 浦奈保美 2003年11月13日 (木) 09時54分

056:野

強い
緑の匂いが
漂っている

ビロードの木の芽萌えゆくひたすらな春野の嘆きを斉唱(コロス)となして


[10147] 029:森(訂正) 加藤苑三 2003年11月13日 (木) 09時39分

森の熊はお逃げなさいと言うけれど私は逃げたくない意地っぱり

http://www5c.biglobe.ne.jp/~sk-sweet/index.htm


[10146] 055:置く 浦奈保美 2003年11月13日 (木) 09時21分

いつしかに
氷庫の中で
小さく、小さくなって…

置き去りにされた氷があったはずだがまあ替わりはいくらでもある


[10145] 054:麦茶 浦奈保美 2003年11月13日 (木) 09時01分

夜更けのコンビニ
忘れられた季節の
やさしい水

いまは空洞となりたる麦茶の紙の箱にこんこんと満ちる夏の空あり


[10144] 093:恋 みうらしんじ 2003年11月13日 (木) 04時04分

ほんとうの恋は一度もなかったと新しい恋するたび思う

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[10143] 028:三回 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時30分

名を呼ばれたくて背中を向けたまま星を数へる まう三回め


[10142] 027:忘れる 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時30分

くちびるが固まつてゐる忘れたいことを忘れてしまふほど冬


[10141] 026:妻 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時29分

過去はみな捨ててあなたの妻になる信太の森はいよよ深まる


[10140] 025:匿う 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時29分

月光が二人を照らす逃げながらふりむくものを匿はぬ森


[10139] 024:きらきら 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時29分

チヨキとパー出せないままで負けてゐるだつて手の中にはきらきらが


[10138] 023:詩 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時28分

「明日からは冬になります」詩のやうなまなざし、指先、そしてくちびる


[10137] 022:素 朔田みあ 2003年11月13日 (木) 00時28分

素通りをしやうとすればできたはずそしてここにはいなかつたはず


[10136] 074:キャラメル 瓜生ゆき 2003年11月13日 (木) 00時08分

突然のキスでもらったキャラメルはエンゼルマークの口どけです


[10135] 073:資 瓜生ゆき 2003年11月13日 (木) 00時07分

未来へと残すべき世界遺産さえ資産にならず打ち砕かれる


[10134] 072:席 瓜生ゆき 2003年11月13日 (木) 00時05分

空白の座席指定に埋められた枡目の色はたぶんピンクだ


[10133] 071:待つ 瓜生ゆき 2003年11月13日 (木) 00時04分

待つことに慣れてしまった猫なのに眠っていてもアンテナをはる


[10132] 070:玄関 瓜生ゆき 2003年11月13日 (木) 00時01分

玄関を張る段ボールハウスから届く年賀は一年おくれ


[10131] 096:石鹸 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時34分

石鹸に針つきたててつきたてて呪ふがごとくひとりに恋する


[10130] 095:満ちる 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時33分

潮は満ち逃げ道は消え寒い夏モン・サン・ミッシェル異教の聖地


[10129] 094:時 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時32分

時計技師のつくりし人形リオネルはロボット三原則を知らない


[10128] 093:恋 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時32分

百年が過ぎるのを待つ 恋唄を少年従者に歌はせながら


[10127] 092:人形 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時30分

性愛のきはみを「小さき死」と呼ぶと教へてくれし人形なりき


[10126] 091:煙 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 23時28分

煙管(キセル)から落としたちひさい火の玉を手のひらに載せ見せてくれた祖父


[10125] 071:待つ 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時19分

人を待つ待たせるよりも待ってゐる方が好きとふ君の瞳涼しき


[10124] 070:玄関 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時17分

玄関にいつも花あり母と妻かたみに活けてゐるらしき秋


[10123] 069:コイン 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時16分

10円のコイン渡して「お駄賃に」とペットボトルを買ひに行かせぬ


[10122] 068:似る 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時14分

子のわれに似るはなにとなく罪のやうな気がする秋の夕方


[10121] 067:化粧 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時12分

夜の君軽く汗ばむ床にして見ればうっすら化粧してゐる


[10120] 066:僕 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時11分

いつもいつもみんなと一緒で「僕」といふ一人称が使えずゐたり


[10119] 065:光 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時09分

晩秋の光かそけく竹藪の中より弱く蚊が飛びてゆく


[10118] 064:ドーナツ 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時08分

スーパーの買ひものは妻とふたりして先ずドーナツのコーナーに行く


[10117] 063:海女 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時07分

目が合ひて見知らぬ人の心うち海女のやうなる気がふとしたり


[10116] 062:渡世 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時05分

世に生まれ持つとも苦手なものとなる渡世といふこと明日も雨らし


[10115] 061:祈る 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時03分

星の夜を醒めし目でゐる君がゐて私の祈ることを知らざり


[10114] 060:奪う 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 23時01分

吾が文体奪ひし女饒舌に語るを黙って我は聞きをり


[10113] 059夢 大石俊弘 2003年11月12日 (水) 22時59分

妻の夢吾の夢とは異なりてそれぞれに持つ夫婦対等


[10112] 100:短歌 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時40分

ひともとの短歌を海に投げこんでこれが最後のばら園のばら

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[10111] 099:かさかさ 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時39分

枯葉うちかさなる土地をかさかさとあまた脚もつものらよぎれり

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[10110] 098:傷 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時39分

夕立のあとなまぐさくなる街にあなたの傷はかけのぼる虹

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[10109] 097:支 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時39分

すいこまれそうなる紺の朝顔がひらく銀河に支柱はありや

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[10108] 096:石鹸 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時38分

まよなかにポストは鳴りぬ試供用石鹸ふかく落としこまれて

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[10107] 095:満ちる 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時38分

こわれたる小舟に水の満ちゆきて死よりしずかな流れとならむ

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[10106] 094:時 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時38分

月面のようにお尻を照らされるひとといるときわたしは時間

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[10105] 093:恋 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時37分

恋をする躰は風にちぎらせる とがりやまない病のままに

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[10104] 092:人形 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時37分

人形を置いてあの子は去りました石を育てる人のところへ

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[10103] 091:煙 佐藤弓生 2003年11月12日 (水) 22時36分

緒となりて虚空を恋えり ほそくほそく炎をつたいのぼる煙は

http://homepage3.nifty.com/annabel/


[10102] 092:人形 みうらしんじ 2003年11月12日 (水) 22時28分

くいだおれ人形のふりで立っていて戎橋から投げ込まれた夜

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[10101] 035:駅 大畑靖夫 2003年11月12日 (水) 22時02分

雑踏の秋葉原駅懐かしくミルクスタンドの列に続けり


[10100] 034:誘惑 大畑靖夫 2003年11月12日 (水) 22時02分

誘惑はブロートヒィエンの肌色の指をも返す弾力のこと


[10099] 033:中ぐらい 大畑靖夫 2003年11月12日 (水) 22時01分

中ぐらい温きスープを抜け出でてバルサミコ酢の強き黒あれ


[10098] 032:星 大畑靖夫 2003年11月12日 (水) 22時01分

星の降る野営の谷のラタトウユ火照りを集めぐつぐつと煮る


[10097] 031:猫 大畑靖夫 2003年11月12日 (水) 22時00分

青草を食む猫がをりジェラシックパークのなかに佇む我と


[10096] 046:南 加藤苑三 2003年11月12日 (水) 21時36分

不自由を楽しむことが出来るから南の楽園なんかいらない

http://www5c.biglobe.ne.jp/~sk-sweet/index.htm


[10095] 077:落書き 兵庫ユカ 2003年11月12日 (水) 20時44分

落書きのない教科書がさみしくて磯野くんに猿描いてもらった

http://www.d3.dion.ne.jp/~y_hyogo


[10094] 076:てかてか 兵庫ユカ 2003年11月12日 (水) 20時43分

てかてかなるをとりて給えとなよたけの姫なので言う夢だけど言う

http://www.d3.dion.ne.jp/~y_hyogo


[10093] 075:痒い 兵庫ユカ 2003年11月12日 (水) 20時43分

体質が変わったのだろうおととしの自分の比喩が痒い夕暮れ

http://www.d3.dion.ne.jp/~y_hyogo


[10092] 092:人形 キタダヒロヒコ 2003年11月12日 (水) 18時12分

あやつり人形なんかぢやないと瞋(いか)る子よ なら君のその紐切ればよい


[10091] 091:煙 キタダヒロヒコ 2003年11月12日 (水) 18時11分

煙(けむ)に巻いたつもりでゐたい師と煙に巻かれたふりしてくれる生徒と


[10090] 090:ぶつかる キタダヒロヒコ 2003年11月12日 (水) 18時10分

ぶつかれば雲のやさしさそのひとの胸に少年倚りかかり泣く


[10089] 088:象 芦田美香 2003年11月12日 (水) 17時36分

さんたまりやさんたまりやと象が鳴く夕暮れ凍ったような路地裏


[10088] 050:南瓜 ひぐらしひなつ 2003年11月12日 (水) 17時32分

はつなつの朝の南瓜の手ざわりを確かめながら聴くきみのうた

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[10087] 049:嫌い ひぐらしひなつ 2003年11月12日 (水) 17時31分

砂の城くずれるように嫌い、と言ってしまえば百合の香のする

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[10086] 087:朝 芦田美香 2003年11月12日 (水) 17時28分

腰掛を少しずらして一日に何度も朝を見るかんなづき


[10085] 086:とらんぽりん 芦田美香 2003年11月12日 (水) 17時26分

ビニールのゴリラの中で咽ながらとらんぽりん安上がりな遊具


[10084] 048:死 ひぐらしひなつ 2003年11月12日 (水) 17時14分

死者の名は増えゆくばかり目に見えぬ雪が瓦礫を静かに隠す

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[10083] 047:沿う ひぐらしひなつ 2003年11月12日 (水) 17時13分

国道は真冬の海岸線に沿いあなたの家も見えなくなって

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[10082] 046:南 ひぐらしひなつ 2003年11月12日 (水) 17時12分

目指すのは南、あなたのくるぶしの羅針が探しつづける南

http://www2.spitz.net/hinatsu/


[10081] 090:ぶつかる 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時09分

幼稚園の絵本かばんは大きくて「ぶつかる ぶつかる」入れて帰りつ


[10080] 089:開く 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時08分

獅子舞のお獅子のくわつと開けられし口を突き出て人の手の見ゆ


[10079] 088:象 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時06分

ひとりの象さん蜘蛛の巣で・・・とう手遊びを吾子とやりしが吾子わすれをり


[10078] 087:朝 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時06分

幕引きの挨拶をする天邪鬼「夢十夜は明け、朝が来ました」


[10077] 086:とらんぽりん 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時04分

ふらここは春の季語ですあをぞらにとらんぽりんの枠組み立てる


[10076] 085銀杏(再投稿) 西橋 美保 2003年11月12日 (水) 17時02分

月の夜はお化け銀杏のするすると枝がのびるぞ殴りにくるぞ


[10075] 053:サナトリウム 浦奈保美 2003年11月12日 (水) 16時44分

老人、精神病患者らの
アクアリウムは
プラネタリウム

サナトリウムの壁のPaul Klee(クレー)の金色の金魚 やがてしずかに泳ぐ


[10074] 040:走る 烏情 2003年11月12日 (水) 16時12分

走る跳ぶ投ぐ耐ゆ転ぶ挫く悔ゆ躓く怨む朽つ十種競技(デカスロン)


[10073] 039:贅肉 烏情 2003年11月12日 (水) 16時11分

贅肉の悪しき報いも 力士らの乳房ひときはやはらかきとき


[10072] 038:明日 烏情 2003年11月12日 (水) 16時11分

ジョーの明日を彩りたりし力石の葬儀委員の寺山修司


[10071] 037:とんかつ 烏情 2003年11月12日 (水) 16時11分

春キャベツ喰ふ術ひとつ懊悩の西村修とんかつ嫌ひ


[10070] 036:遺伝 烏情 2003年11月12日 (水) 16時10分

卜伝の秘伝奥伝絶えしとき況して遺伝の行方は知らぬ


[10069] 035:駅 烏情 2003年11月12日 (水) 16時10分

身勝手なメロスそれより昏昏と箱根駅伝最終走者


[10068] 034:誘惑 烏情 2003年11月12日 (水) 16時09分

カバディーと唱へずママとママとばかり不覚誘惑絶てざるままに


[10067] 033:中ぐらい 烏情 2003年11月12日 (水) 16時09分

頼むから寒中ぐらゐ泳ぐこと止めよとりわけ蛙泳ぎを


[10066] 032:星 烏情 2003年11月12日 (水) 16時09分

隕つる星のこころ恋ほしき幅跳びの構へちつとも潔くない


[10065] 031:猫 烏情 2003年11月12日 (水) 16時08分

山嵐・ヴァンデヴァル投げ・空気投げ・柔の奥義・猫踏んじやつた


[10064] 044:殺す ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時56分

携帯のメールも画像も消すように殺すなんておかわり自由


[10063] 043:鍋 ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時55分

ニャーと泣き足に絡まる道すがら白さ深まり今夜は鍋に


[10062] 042:クセ ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時53分

朝日浴びシーツのしわをのばしつつクセのある髪七三にする


[10061] 041:場 ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時52分

保健室「先生いこう」顔覗く 銀杏臭う運動場


[10060] 040:走る ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時51分

いつまでも走る姿追いかけた 帰れないから手を繋いでよ


[10059] 039:贅肉 ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時50分

寝息たて床で寝そべるあの人の頭を撫でて贅肉つまむ


[10058] 038:明日 ひな菊 2003年11月12日 (水) 10時50分

帰り道肩に寄り添い引き返す星に願うが明日はこない


[10057] 052:冷蔵庫 浦奈保美 2003年11月12日 (水) 09時31分

かつて
老嬢が
ひとり棲みしという

廃屋の開かず扉の内側をしんしんと立つ冷蔵庫四機


[10056] 070:玄関 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時11分


土足でもいいのか僕だけくたびれて君の玄関あかるい朝に

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[10055] 069:コイン 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時07分


「嘘つき」と千枚のコイン投げつけて僕の棺に泣く君の夢

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[10054] 068:似る 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時06分


ごくたまに似るときがあるあのひとの夜の仕草の手の動きには

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[10053] 067:化粧 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時05分


ちろちろと焔(ほむら)の笑みだ完璧な化粧の君の出す赤い舌

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[10052] 066:僕 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時04分


脱ぎなさい。傷舐めあうほど若くなく剥ぎ合うために着る僕達だ

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[10051] 065:光 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時03分


花の蜜吸う虫になるくちびるをつけたあなたの光の頬に

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[10050] 064:ドーナツ 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 08時01分


ドーナツの君の歯型を噛んでみるひとり残った夕焼けの部屋

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[10049] 063:海女 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 07時58分


深層水ふかぶか飲めば肋骨をちいさな白い海女降りてゆく

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[10048] 062:渡世 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 07時57分


『渡世人羽賀健次郎一代記』弥生書林で十円である

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[10047] 061:祈る 塩谷風月 2003年11月12日 (水) 07時56分


祈るとき。目を閉じるのは(くちづけ、と)同じ奥まで(はいってきてよ)

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[10046] 097:支 高澤志帆 2003年11月12日 (水) 07時09分

しやつくりを治すまじなひ母の言ふ干支を復唱しつつ水飲む

http://www.geocities.jp/kogawa96/


[10045] 030:表 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時06分

まはされて来る機内食にも飽きて雲の表面行く影をみつ


[10044] 029:森 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時06分

道道に子どもらの森トンカツ泉にんにくかーこんぴら満つ


[10043] 028:三回 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時05分

居候は三回目にはそつと出しだがわれわれに二回目さへない


[10042] 027:忘れる 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時04分

デパ地下の鮮魚売り場に関アジのシール貼られてすべて忘れる


[10041] 026:妻 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時04分

夕暮れを逢魔が時といふらしいマックぱくつく妻にばつたり


[10040] 025:匿う 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時03分

性欲に匿はれてる日々からに決別したい朝粥啜る


[10039] 024:きらきら 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時02分

晒されて吐き出されてくきらきらの金平糖を星にかさねる


[10038] 023:詩 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時02分

てんてんてんまりてんまりこ詩人も鶴橋ガードの串かつ一本


[10037] 022:素 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時01分

世代とふことかも知れぬ味の素白菜の漬物に振りかく


[10036] 021:窓 宮原素一 2003年11月12日 (水) 02時00分

窓からの風に言ひ逃れはできまいおいて行くからケロッグ一椀


[10035] 045:がらんどう 加藤苑三 2003年11月12日 (水) 01時25分

いっそがらんどうだったなら慰めになっただろうが、愛されていた

http://www5c.biglobe.ne.jp/~sk-sweet/index.htm


[10034] 060:奪う 春村 蓬 2003年11月12日 (水) 00時45分

ちつぽけな私のひざを奪ひあふ子のにほひして炬燵布団干す


[10033] 059:夢 春村 蓬 2003年11月12日 (水) 00時43分

生きてきた時とこれから見る夢のどちらの嘘もいとほしむべし


[10032] 058:たぶん 春村 蓬 2003年11月12日 (水) 00時42分

けふは雨たぶんあしたも雨だらうさうして天(そら)は足跡も消す


[10031] 057:蛇 春村 蓬 2003年11月12日 (水) 00時41分

結局は蛇行しながら辿り着く高速道にころがる無念


[10030] 056:野 春村 蓬 2003年11月12日 (水) 00時41分

六本木ヒルズの窓のひとつから関東平野のひときれを見る


[10029] 085:銀杏 芦田美香 2003年11月12日 (水) 00時13分

晩秋の雨に黄緑色のまま散りゆく銀杏には銀杏の都合


[10028] 084:円 芦田美香 2003年11月12日 (水) 00時11分

一円を笑う者は一円に泣くという舐めても舐めても冷たいコイン


[10027] 083:予言 芦田美香 2003年11月12日 (水) 00時09分

発熱のわが夢に来る予言者はきんのかんむり被れる白鳥


[10026] 082:ほろぶ 芦田美香 2003年11月12日 (水) 00時07分

ほろびゆくものはちりりと懐かしく心根に沿うヒアデス星団


[10025] 045:がらんどう 夏己はづき 2003年11月11日 (火) 23時49分

「がらんどう」だから楽器は響くのだ「からっぽ」なんかじゃ絶対駄目だ

http://8-gatsu.ka.to/


[10024] 044:殺す 夏己はづき 2003年11月11日 (火) 23時49分

殺したい人はいますよわたしです昨日のわたし限定ですが

http://8-gatsu.ka.to/


[10023] 043:鍋 夏己はづき 2003年11月11日 (火) 23時49分

「『えび』さんのあなたは常にNo.2」鍋占いのご託宣なり

http://8-gatsu.ka.to/


[10022] 042:クセ 夏己はづき 2003年11月11日 (火) 23時48分

アクセルを全開にして言い過ぎた言葉その他を追い越してゆく

http://8-gatsu.ka.to/


[10021] 041:場 夏己はづき 2003年11月11日 (火) 23時48分

この地球すべて会場なのですよ その日あなたに聴かせるために

http://8-gatsu.ka.to/


[10020] 028:三回(訂正) 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時53分

三回を過ぎてしまへばコノシロの光りし魚を何無くさばく


[10019] 030:表 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時50分

冬瓜の表を覆ふ産毛あり触ればたちまち深きみどりへ


[10018] 029:森 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時49分

両の手に甘き樹液が滲みてゆく砂糖楓の森に迷へば


[10017] 028:三回 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時49分

回を過ぎてしまへばコノシロの光りし魚を何無くさばく


[10016] 027:忘れる 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時49分

一兆のビットの溝のひとかけの在り処忘れてフォーマットする


[10015] 026:妻 大畑靖夫 2003年11月11日 (火) 22時48分

妻といふ言葉はなにか他人事のやうな気がしてレジの列待つ


[10014] 083:予言(訂正) 丸山 進 2003年11月11日 (火) 22時02分

予言者の資格取るため裏山の狐の塾に通っています


[10013] 044:殺す 加藤苑三 2003年11月11日 (火) 21時31分

殺すなら自分を殺せ そうすればきっと世界は終わってくれる

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[10012] 043:鍋 加藤苑三 2003年11月11日 (火) 21時30分

きっとわたしのこころには鍋がありとかげ以上のものが煮えてる

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[10011] 042:クセ 加藤苑三 2003年11月11日 (火) 21時29分

本当に言いたいことは言えなくて無駄口ばかり溢れさせるクセ

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[10009] 084:円 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時24分

大団円的解決にも似て「人外境通信」の隣の「人外魔境」


[10008] 083:予言 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時23分

地獄の門の向かうに神は待つてゐる 予言者ヨカナーンお前が欲しい


[10007] 082:ほろぶ 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時22分

秋草は露ふりこぼしふりこぼし恋ゆゑほろぶと伝へよと言ふ


[10006] 081:ノック 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時16分

テニスンの「イノック・アーデン」酔ひて元宇宙飛行士諳んじては泣く


[10005] 080:織る 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時15分

秋の夜長の百物語 機を織る人魚のはなしを知つてゐますか


[10004] 079:眼薬 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時14分

血ではないわ。これは眼薬。月光を浴びて泣いてるわたしの涙・・・


[10003] 078:殺 西橋 美保 2003年11月11日 (火) 21時13分

記憶から抹殺してやるお前など忘れたことすら忘れてみせる


[10002] 041:場 加藤苑三 2003年11月11日 (火) 19時46分

場違いなことは充分承知して 言わなきゃいけない言葉があった

http://www5c.biglobe.ne.jp/~sk-sweet/index.htm


[10001] 040:走る 加藤苑三 2003年11月11日 (火) 19時44分

走ってく貴方がばらまくキャンディを全部私が拾うと誓った

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[10000] 091:煙 みうらしんじ 2003年11月11日 (火) 18時28分

子供ではもうあるまいし煙草なら二十歳になってきっぱりやめた

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[9999] 090:ぶつかる みうらしんじ 2003年11月11日 (火) 18時27分

「ゆめ」だとか「こひびと」だとか書く人は街で詩人とぶつかりなさい

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[9998] 089:開く みうらしんじ 2003年11月11日 (火) 18時27分

きみのその開き直った態度からぼくのあしたが透けてみえるよ

http://www.mnet.ne.jp/~miusin/


[9997] 060:奪う 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時29分


悪いのは僕だ。こうして奪うほど薄らいでゆく冬薔薇の紺

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[9996] 059:夢 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時28分


片方の乳房だけ露出した君が(これは夢ではありませんから)

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[9995] 058:たぶん 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時27分


たぶんってなんだよはっきりしてくれよ入れてもいいのそれともダメなの

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[9994] 057:蛇 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時27分


白い蛇ときどきすれ違っていた子供の頃の僕の家では

http://www1.mahoroba.ne.jp/~shiotani


[9993] 056:野 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時26分


すすき野は光の波頭(気をつけて)大切なひとの名が欠けてゆく

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[9992] 055:置く 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時22分


あなたの手コーヒーカップを置く音がして何もかも静かになった

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[9991] 054:麦茶 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時21分


君が淹れてくれたとしても駄目なんだ(魂が言う)麦茶はきらい

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[9990] 053:サナトリウム 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時20分


ほの紅いのはサナトリウムの別館の廊下の端のあかるい窓です

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[9989] 052:冷蔵庫 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時17分


冷蔵庫の切ったレモンの断面を包むラップの切なさだ 今

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[9988] 051:敵 塩谷風月 2003年11月11日 (火) 08時16分


“敵将は君だったのか!”大気圏吹き飛んだあとの地球で神が

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[9987] 069:コイン 青山みのり 2003年11月11日 (火) 08時16分

ワンコインショップに君と同じ名の水売られいてしばし抱きしむ


[9986] 055:置く 春村 蓬 2003年11月11日 (火) 02時35分

指先にかならず月を置くひとであつたけれどもあいにくの雨


[9985] 054:麦茶 春村 蓬 2003年11月11日 (火) 02時33分

ひといきに飲み干す麦茶くちづけは麦の見てゐた大空となる


[9984] 053:サナトリウム 春村 蓬 2003年11月11日 (火) 02時32分

一生のはじめとをはりを思ふとき十一月のサナトリウム


[9983] 052:冷蔵庫 春村 蓬 2003年11月11日 (火) 02時30分

長身をかがめて覗き込むひとよ冷蔵庫のあをい仄明かり


[9982] 051:敵 春村 蓬 2003年11月11日 (火) 02時29分

餌をまくわたしの影もきみたちの敵なのか雀 なにもしないよ


[9981] 030:表 2003年11月11日 (火) 01時54分

苦しみは表に出さない校正を黙々とする笑みさえ浮かべ


[9980] 096:石鹸 大野景子 2003年11月11日 (火) 01時53分

店員の謂ふまま石鹸買はされぬパーツごとに身体洗へと


[9979] 029:森 2003年11月11日 (火) 01時51分

アフガンに人を抱ける森はなく乾く大地に血は吸われゆく


[9978] 095:満ちる 大野景子 2003年11月11日 (火) 01時49分

野をわたる鳥たちの声満ちるとき秩序正しく死者は過ぎゆく


[9977] 094:時 大野景子 2003年11月11日 (火) 01時46分

胃の中の眠剤溶けゆく時の間をじつと耐へをり 三分過ぎぬ


[9976] 028:三回 2003年11月11日 (火) 01時43分

庶民たち日清・日露・第二次と三回ともに二等兵なる


[9975] 093:恋 大野景子 2003年11月11日 (火) 01時42分

眠剤を呑みてむさぼる束の間の眠りの中ゆ消えてゆく恋


[9974] 027:忘れる 2003年11月11日 (火) 01時40分

人はみな過去を忘れるイラク戦終われば忘れる痛みもなしに


[9973] 026:妻 2003年11月11日 (火) 01時37分

平和をと非戦を誓いの言葉とし新妻が横で深く頷く


[9972] 025:匿う 2003年11月11日 (火) 01時33分

この人は黙し語らずベトナムの逃亡兵を匿う日々を


[9971] 024:きらきら 2003年11月11日 (火) 01時28分

きらきらと形容したくなる瞳片目は弾のかけらに失う


[9970] 023:詩 2003年11月11日 (火) 01時25分

「し」と打てば「死」と変換さるワープロのキーから「詩」は失われている


[9969] 022:素 2003年11月11日 (火) 01時22分

素直なるをよしとする日本人ならむイラク派兵も易く肯う


[9968] 021:窓 2003年11月11日 (火) 01時19分

ぽんかんを剥いてほおばるこの居間に骸投げ込むテレビという窓


[9967] 021:窓 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時23分

重ければ重いほどよい君だけに鍵をわたした私の窓は


[9966] 020:害 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時22分

「もうすこし一緒にいたい」吐く息は形にできぬ被害のかたち


[9965] 019:蒟蒻 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時22分

はじめからもてあそばれて無造作にちぎられてゆく蒟蒻になる


[9964] 018:泣く 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時21分

哀しみも苦しみもなく泣くといふだるさの中に引きこまれたい


[9963] 017:雲 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時21分

言葉など必要なくて目の前の爪に浮かんだ雲を見てゐる


[9962] 016:紅 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時20分

ゆるゆると紅さしませうそれほどの時を私は生きてきました


[9961] 015:葉 朔田みあ 2003年11月11日 (火) 00時20分

わくら葉の強い視線を感じてる 硝子のカケラ取れたこの夜


[9960] 030:表 烏情 2003年11月11日 (火) 00時13分

背の低きこと殊更に彰かな表彰台の日本代表


[9959] 029:森 烏情 2003年11月11日 (火) 00時13分

捕手と走者が絡み合ひつつ森閑と 人間が人間を裁くな


[9958] 028:三回 烏情 2003年11月11日 (火) 00時12分

ああ薔薇の花びらの見ゆ一面に伸身塚原三回捻り


[9957] 027:忘れる 烏情 2003年11月11日 (火) 00時11分

門球の集ひ、果して彼らみな互ひの名前とうに忘れぬ