[2381] 詩歌句の特集など 2007年07月08日 (日)

朝、「詩歌句」7月号がメール便で到着。

「藤原龍一郎の世界」という特集を組んでくれている。
内容は掲示板の方に書いてあるので、ご覧いただきたい。

朝9時から夜6時まで、昨夜のマンションの理事会の議事録を
作成する。ICレコーダーを3時間分あらためて聞きながら、
パソコン画面を見つめて、議事録を打ち続けるということで
目と耳が疲労困憊。

夜、「ドリームガールズ」のDVDを見るつもりだったのだが
目が疲れて、とてもそんな気分になれない。
とはいえ、寝る前に本は読んでしまうのである。
『復讐はお好き?』を200ページほど読む。あと残りが
100ページくらいになった。


[2380] 浅草花月 2007年07月07日 (土)

浅草の5656会館の5階にある浅草花月に初めて行く。
家からだと30分で到着してしまうほど近い。
ここは新宿のルミネとちがって、年配の観客向けのプログラムを
組んでいる。
出演者は下記のとおり。

・ポテト少年団
・でっかちゃん
・ペナルティー
・Bコース
・勝山梶
・COWCOW
・Wコミック
・大木こだま、ひびき
・笑福亭松乃助
・オール巨人・阪神

入場料は4000円とやや高めの設定に思えるが、見終えた後
は、まあ、これくらい払ってもいいか、という満足感が残った。

11時、2時、5時の3回まわしという、いかにも吉本らしい
タイムテーブル。私が入ったのは2時の回だが、ほぼ満員だっ
たし、お客の笑いもじゅうぶんだった。
いつのまにか、吉本興業が、こういう本格的な寄席を、土日だけ
とはいえ、浅草に確立していたというのは、驚くべきことだ。

7月の28、29には石田靖&山田花子と姉様キングスがキャ
スティングされているので、この両日はお得かもしれない。
石田靖が山田花子に本気でプロレス技をかけまくる、暴力漫才が
みられるだろう。

帰宅後、夜7時から10時まで、3時間たっぷり、マンションの理事会。
ものすごく疲れた一日になってしまった。


[2379] 凡庸な一日 2007年07月06日 (金)

会社の帰りに、豊洲の紀伊国屋書店へ寄ろうと思ったのだが、
豊洲駅で降りると急に行きたくなくなり、おりよく、バスも来
たので、一気に帰宅。

『仙波龍英歌集』を読んだ方たちが、何人か感想の手紙をくださる。
とても嬉しいことだ。

夜、文春文庫の新刊『復讐はお好き?』を読み始める。
翻訳文もテンポがよく、きわめて読みやすい。


[2378] 激辛麻婆豆腐など 2007年07月05日 (木)

昼食に、小香港の麻婆豆腐屋の激辛麻婆豆腐を食べる。

そのまま、竹芝の扶桑社に行く。
二時半過ぎにオフィスへ戻ったが、とにかく暑い。
麻婆豆腐の辛さが身体じゅうをかけめぐっている。

「週刊文春」をひさしぶりに自腹で買う。
小林信彦がコラムで鈴木宗男、佐藤優著『反省』とカール・ハ
イアセンの『復讐はお好き?』を褒めている。
前者はすでに三分の二くらい読み終えている。
それで、社屋内の流水書房で『復讐はお好き?』を購入。
ちょっとはじめの方を読んでみたが、テンポが速い文章で、
よどみがなく、読みやすそう。なにしろ、最初の三行でヒロ
インが客船から夜の海へ墜落する。先を読みたくなる展開だ。

ということで、週末は原稿の締切がないので、たまっている本
を何冊か読み終えたいのだけれど、読めるだろうか。


[2377] 蒸し暑い日 2007年07月04日 (水)

蒸し暑い一日。

午後、髪の毛を短く切りに行く。地下鉄の中も暑い。
夜は「はじめての短歌」講座の4回目。
みなさん熱心に出席してくれるので、力が入る。

帰宅後、安住敦の句集を拾い読みする。


[2376] あの作家にアンコール! 2007年07月03日 (火)

こうの史代の『夕凪の街 桜の国』を読み返す。
映画もみて見たい。
「綱手」7月号に、この映画を見た方の丁寧な感想が掲載されていた。

「本の雑誌」7月号をほとんど一ヶ月遅れで読んだ。
「あの作家にアンコール!」という特集で、巻頭に銀林みのる
のインタビューが載っている。
『鉄塔 武蔵野線』が日本ファンタジーノベル大賞をとってから
すでに14年経っている。その間に一作も小説を発表していない
というので、あらためて驚いた。
佐藤正午もまもなく出る新刊が7年ぶりの長編だそうだ。
殊能将之も前作からそろそろ3年経つらしい。
作家って、すくなくとも、経済的には報われにくい仕事なのだ
と、あらためて感じた次第。

私がアンコールしたい作家って誰だろうか。
歌人なら、歌集をださずに短歌からはなれてしまった杉本隆史や
梅原靖雄や大柳晴義といった「短歌人」の先輩たちか。
SFで難波弘之という手はあるかもしれない。山野浩一も出れば読む。


[2375] 百年の眠り 2007年07月02日 (月)

鶴田伊津歌集『百年の眠り』(六花書林刊)より心に残った作品を引用。

・はつなつのつばめが空に描きたるそうしつという語はうつくしき
・桃の花抱えて人を待つ茶房「桃は破邪の木 回春の木」と
・娘とはまこと面倒なものらしくしどろもどろの父の電話よ
・「ほんまあんたきままな子やからしゃあない」と母繰り返す我が生まれ月
・「しあわせにならなあかん」という母の言葉の向こう透ける青空
・馬の名が美しき詩と響きたる春まだ浅き土曜日の夕
・一年のけじめのためにかえりきて熊野の水に喉鳴らしたり
・もうつかれたんとちゃうかと父はひかえめに我の帰郷をうながしてくる
・ふるさとをただ美しく思う日のアンチテーゼか中上健次
・いつまでも柳のようなふれ合いのままだ割り箸わりそこないて

歌集の前半から心に残る作品10首。
父母との関係をみつめた歌に、そぞれのキャラクターが鮮明に
表現されているように思う。


[2374] 江戸川区短歌連盟の短歌大会 2007年07月01日 (日)

「短歌人」の渋谷知子さんのご紹介をいただいて、江戸川区の
短歌連盟の短歌大会に参加させていただく。
80首の歌についての講評をしゃべったのだが、良い勉強になった。

往復とも都バスで枝川から錦糸町まで移動したのだが、ちょっと
車酔いしてしまった。

夜は昨夜に続いて早寝。


[2373] 完全休養日 2007年06月30日 (土)

疲れていたので、どこにも出かけずに、一日じゅう読書三昧。

アイリッシュの『暁の死線』とシムノンの『黄色い犬』を読了。
アイリッシュは中学か高校の時にリライト版が学習雑誌の付録に
ついていて、それを読んだ記憶がうっすらある。
シムノンは再読だが、内容は完全に忘れていた。
まあ、どちらも、ムードを愉しむミステリなのかも。

昼寝を一時間半くらいしたのに、夜も10時過ぎに寝てしまう。


[2372] 新社長とSFと句会 2007年06月29日 (金)

新社長の所信表明演説を聴く。
キャラクターがよく出た、感じの良い所信表明だったと思う。
好きな言葉が「不易流行」というのも共感できる。

午後から慶応病院での定期健診。
今日から新しい先生になる。
終了後、飯田橋へ出て、書店「深夜プラス1」で、日に焼けた
ミステリの背を、じっくりと見る。
山本弘氏の本を何冊か購入。

雨がふってきたので、ウエンディーズで雨宿り。
今買った山本弘氏の『トンデモ本!?違うSFだ!』を拾い読み。
自分のSF体験に沿って、忘れ難い作品を語っている一種の
ブックガイドなので、どんどん読み進める。「トンデモ本」と
題名に入っているので、と学会方面の本なのではないかと、
今までは誤解していた。

夕方から駄句駄句会。
席題は「川開き」と「昼寝」

・川開き向こうの岸に母の実家  媚庵

よるは、くたくたに疲れて帰宅。


[2371] 亡き人の歌や句を 2007年06月28日 (木)

株主総会終了。
人事異動も発表になった。
とりあえず私は異動なし。

『仙波龍英歌集』を買って読んでくださった方たちが、それぞれの
ブログなどで、感想を書いてくださっている。
きちんとした反応を返してくださっているのがとても嬉しい。

『田中裕明全句集』(ふらんす堂)を送っていただいた。
こちらも、2004年の暮に急逝された田中裕明氏にゆかりの方たちが
尽力されてつくった全句集なのだろう。
文学的にも資料的にも価値の高い仕事で、アタマが下がる。

亡くなった人の業績を忘れられないようにまとめるのはとても
価値あることではあるが、とはいえ、それをつくるためには、
時間的にも経済的にも大きな負担を担わなければならないわけ
で、口でいうほど簡単にできることではない。
そういう負担をのりこえてでも、ぜひ、その歌や句を次の世代
の人に読んでほしいという情熱が、こういう本をつくらせるのだと思う。

『仙波龍英歌集』に話をもどすが、1990年代以降に短歌を
つくり始めた方たちには、ぜひ、読んでほしい一巻である。
六花書林に申し込んでほしい。電話とファックスは下記のとおり。

電話 03−5949−6307
FAX 03−3983−7678


[2370] ショック!! 2007年06月27日 (水)

掲示板にも書いたが、クリス・ベノワが妻と息子をまきぞえにした無理心中をしたそうだ。
東京スポーツには、ステロイド禍による錯乱状態での凶行かもしれないなどと
書いてあるが、本当に、そんなことがあるのだろうか。
深夜にまず妻を絞殺し、次に息子こども部屋で絞殺し、そのあとで
自分は地下室におりて首を吊ったのだそうだ。
陰々滅滅たる話である。

プロレスラーの自殺や薬物による突然死はさしてめずらしくはないが
このように、妻子を道連れの無理心中というのは初めてではないか。
私はもちろんベノワとは何の接点もないプロレスファンに過ぎないが、
これは二年前の橋本の急死以来のショックである。

心落ち着けるための読書でもしたいものだ。


[2369] 人生のすべてを無為にせぬために 2007年06月25日 (月)

週末は競馬に時間をとられてしまった。
宝塚記念は冷静に考えれば、距離実績のある3頭が上位に来た
わけだ。ダイワメジャーだけが失速したが、これは道悪と距離
と勤続疲労との累積ということだろう。

昨日はマンションの防災委員会だった。
今年の6月から二年間、輪番制の理事なのだが、月一回の総会
のほかに、防災委員会とか長期営繕委員会とかの分科会が、そ
れぞれ別個にあるので、会議に出る回数は、年間20回近くなりそうだ。

片山昭子さんの『脱皮―不求技』(ながらみ書房)とか鶴田伊津さんの
第一歌集『百年の眠り』とか、親しい方の歌集出版が続いている。
集中力を途切れさせずに、歌集一巻を読み切りたいと思う。
ミステリやSFを読んでいると、自分の集中力がなくなっていることに
うんざりしてしまう。

・人生のすべてを無為にせぬために焼きそばパンを丸かじりする/鶴田伊津『百年の眠り』


[2368] 地獄の読書録など 2007年06月20日 (水)

東陽町の文教堂書店で「俳句研究」7月号を立ち読み。
夏石番矢の特別作品50句「五十人の空飛ぶ法王」という作品が
掲載されているのだが、「これ、なんなの?」という嘆息しかでてこない。私にはまったく理解不能。俳人はこの50句をどの
ように感受するのか?

小林信彦の『地獄の読書録』を久しぶりに拾い読みした。
小林信彦の批評の基礎体力は、二十代の頃に、創元推理文庫や
ハヤカワ・ポケツト・ミステリの新刊のほとんど全部を読んで
その書評を書いてきたことによってね養われたのだろう。
傑作ばかりでなく、玉石混交のものを手当たりしだいに読んで
その中から、自分の価値体系、批評の基準をつくりあげていった
ことが、この本を読むとよくわかる。
私も若い頃にそういうガムシャラな時期をもちたかったと思う。
ある年齢をすぎると、どうしても、批評の視点がディレッタント的に
なってしまう。
短歌や俳句の批評に関しても、同じことがいえるのかもしれない。


[2367] 月曜と火曜の平穏 2007年06月19日 (水)

月曜日はブルー。
どうしても、出社拒否的な心理状態になってしまう。
嬉しいことといえば、『仙波龍英歌集』がようやくできあがつたこと。
二年越しの懸案で、六花書林の宇田川氏にも迷惑をかけてしまった。
400字詰め原稿用紙で30枚以上ある「メモワール仙波龍英」という
文章をこの歌集に収録してもらった。
仙波龍英との交友の詳細を書いてみた。
このほかに、小川太郎さんの「風馬」に掲載された「墓地裏にひそむ三月兎」という
高田流子さんを聞き手とした仙波龍英へのインタビューも収録されている。

仙波龍英を知らない人にも、少しだけ知っている人にもぜひ
読んで欲しい。
特に若い歌人には、仙波龍英の作品にふれて、その魅力を実感してほしい。

火曜日
『仙波龍英歌集』に関して、六花書林の宇田川寛之氏と打ち合わせの
メールのやりとりを何度かする。
すでに、ネットを通じて何人かが、購入してくださったとのこと。
とても、ありがたく、深謝したい。

夜、書棚に乱雑に突っ込んである歌集や歌論集を少し整理する。
塚本邦雄の『序破急急』にチャンドラー論とかブラツドベリ論が
載っていることに、いまさら、気付いた。


[2366] 土曜と日曜の顛末 2007年06月17日 (日)

土曜日は一日読書と昼ね。

一ヶ月ほど前から読み始めていた、プリーストの『奇術師』を
やっと読了。面白いとは思うのだが、なんだか、読み終わって
ストレスが残ってしまう。
同じ作家の『双生児』も買ってあるので、読まねばならないのだが
読めるかどうか不安ではある。

ここのところ視力が落ちていて、メガネをつくりなおしたものの
もう一つしっくりこないので、読書のスピードが落ちているのも不安。

ところで、POGの持ち馬ルミナリエが首尾よく新馬戦勝利。

日曜日。

ヤマダ電機で短波ラジオ購入。
そのあと、池袋の東京藝術劇場で短歌人の月例歌会。
新しい出席者も何人かいらして、詠草も60首と今年最多。
前半の司会を三時二十分くらいに終えて、小野澤繁雄さんと
司会をバトンタッチ。すぐに帰宅。
四時半から、マンションの臨時理事会。六時まで。
夜はがっくり疲れて、早く寝る。

今日、POG馬は三頭出走。勝てず。


[2365] 二歳新馬戦と授賞パーティー 2007年06月15日 (金)

サンケイスポーツを買って、明日と明後日の競馬の新馬戦に
出走する馬をチェックする。
水曜日に、確定した今年から来年にかけてのPOGが明日の
新馬戦から始まるのだ。

チェックしたら、土日でなんと5頭も出走することがわかった。
8頭もちのPOGで最初の土日に5頭というのは、長いPOG歴でも
もちろん初めてのことだ。
POGにくわしいかたなら、この状況がどういうものかわかるだろう。
つまり、これは私の気の小ささと姑息さをあらわしているわけである。

さて、週があけたら泣いているか笑っているか。
夏で私のPOGは終りかもしれない。
まあ、それも承知で姑息な馬選びをおこなったのだけれど。

ということで、今夜は東京會舘で、迢空賞と蛇笏賞の授賞式。
迢空賞は栗木京子さんの『けむり水晶』、蛇笏賞は岡本眸さんの『午後の椅子』。

鷹羽狩行さんが蛇笏賞の岡本眸さんの俳句を十数句、暗誦しな
がら、選後評を述べられたのには、びっくりした。
パーティでは、この鷹羽狩行さんにはじめて挨拶することができた。
迢空賞の方の選後評は馬場あき子さん。
馬場さんは歌集のタイトルを「ケムリズイショウ」と濁って発音していたが
確かに「けむり」が上にかぶさると「ムラサキズイショウ」等と
同じように、濁って発音すべきなのかも知れない。

福田龍生さんから、冬樹社の編集者時代に、山川方夫に長編を
依頼して、引き受けてもらったのだが、数日後に交通事故で、
その山川方夫が急逝してしまったというエピソードなどうかがう。

パーティ終了後は、一階のティールームで、桑原三郎、池田澄子、
大井恒行の三氏と密談。


[2364] オリヴィエ少年の物語 2007年06月14日 (木)

昨日に引き続き、勤め帰りに豊洲図書館に寄って、ロベー
ル・サバティエの「オリヴィエ少年の物語」の第一巻『ラバ
通りの人々』と第二巻『三つのミント・キャンディー』を借りてくる。
この本に関しては、まったく、予備知識がないのだが、1930年代を
舞台にしたパリでの少年の成長物語ということで、読んでみようかな、
との気になったもの。読むかどうかはわからないけど。

ここのところ、寝床で本を読み始めても、十分足らずで眠ってしまう。
まあ、いつまでたっても、眠れないよりはずっとよいのだが。


[2363] 時代小説盛衰史 2007年06月13日 (水)

勤め帰りに豊洲図書館によって、大村彦次郎著『時代小説盛衰史』を
借りる。
二年くらい前に出た本で、いずれ買おうと思って買いそびれていたもの。
図書館でみつけたので、借りて読むことにする。
著者は講談社で文藝雑誌の編集に長くたずさわり、役員でもあった方。
『文壇うたかた物語』『文壇栄華物語』『文壇挽歌物語』といった
文壇の裏側を描いた三部作があり、私はすでにその三冊は読んでいる。
ちなみに、大村氏は短歌研究社の社長をされていた時期もあって
1990年に私が短歌研究新人賞を受賞した時は、この大村社長から
賞状と賞金をいただいた。
吉川潮さんも、自分を見出して、「小説現代」で仕事をさせてくれたのは
大村彦次郎さんだとおっしゃっていた。
いわゆる、目配りの広い方なのだろう。

この『時代小説盛衰史』は、ポイントを時代小説にしぼって
伊藤整の『日本文壇史』の手法で、中里介山の「大菩薩峠」あたりから
昭和三十八年の長谷川伸の死までを書いたもの。
といっても、これから読むのだけれど。


[2362] 上方演芸の歴史など 2007年06月12日 (火)

いろいろととりこみごとが多く、心晴れない日々が続いている。
『米朝・上岡龍太郎が語る昭和上方漫才史』という本があって
すでに私は一度ならずこの本を読んでいるのだが、どこにしま
ったかわからなくなってしまったのでもう一冊買う。

上方漫才というのは、コンビ別れや組み合わせの変更がしばしば
あって、現場に居た人でないとなかなかその実態がつかめない。
名前も変わるので、師系もあとからではわからなくなってしまう。
その点、大正生まれの米朝と昭和十七年生れで、高校を卒業して
すぐに芸能界に入った上岡龍太郎の記憶力は抜群で、座談がお互いの
忘れてしまった部分をおぎないあうかたちになっている。
私のような演芸好きには、たまらないエピソードばかりである。
しかし、興味のない人には、何が書いてあるのかさえわからない
のだろう。まあ、私が物理の本などを読んでも、チンプンカンプンなのと
同じことなのだろう。

ちくま文庫の『上岡龍太郎かく語りき』も引っ張り出して、読みふけって
しまった。やはり、こういう本を読んでいると時間を忘れる。
気がついたら午前2時だった。


[2361] 青層圏 2007年06月11日 (月)

都築直子さんの歌集『青層圏』をあらためて読む。

画文集飽かず頁を繰りてゐき 童子、妖精、そらとぶものら
真夜中の高層ビルを飛びおりよ昼の遊びはみな色あせむ
空中にふかくねむれる者らありて機内映画のましろきひかり
にほひなき毛布のにほひ窓の外は午前一時の朝焼け浮かぶ
頬の上にたき火の呼吸ゆらめいて声低くわれらものを語れる
二〇〇六年秋木曜日てのひらにひるのひかりは充満したり
つらなりて傘通りすぐ午後七時新宿三井ビル南面前
かかはりのなきことなれどこの夜をむせかへるほど水仙にほふ
吾まはり吾のまはりに空まはり地面まはつてまた空まはる
くれなゐのジャムの皮膚なりまひるまを陶器のつぼに抱かれてをりぬ

スカイダイビングの歌ももちろんいいのだけれど、こういう感じの
作品に、都築さんの繊細な感受性があらわれているように思える。
いずれにせよ、こういう歌集が現代歌人協会賞というかたちで
きちんと評価されたのは、嬉しいことだ。


[2360] POGあれこれ 2007年06月10日 (日)

POG(ペーパーオーナー・ゲーム)をはじめたのは、リーゼ
ングロスが桜花賞をとり、シャダイアイバーがオークスを勝っ
た年からである。
なぜ、こんな覚え方をしているのかというと、その二頭を私が
ペーパーオーナー馬として所有していたからである。
つまり、きわめて幸先のよいスタートだったのだ。

その後、所有馬でG1レースをとったのは、ダイナガリバーの
ダービー、チアズグレイスの桜花賞、エイシンチャンプの朝日杯
フューチュリティステークスくらいだろうか。
今年のピンクカメオのNHKマイル勝利は、久しぶりのG1と
いうことになる。

つまり、ここに書いた以外の年は、ほとんど負けているということ。

一昨年は、ペールギュントで重賞二勝。
昨年はアドマイヤムーンで重賞三勝。
この年は一位指名のキャプテンベガがとれなくて、下位指名から
アドマイヤムーンが繰り上がってきたのだった。
そして今年がピンクカメオでG1勝ちと三年連続してプラスには
なっているが、今年はNHKマイルがなければ、少々だがマイナス
だったようだ。
このピンクカメオも、一位のアステリオンや二位のブラックオリーブが
とれなくて繰り上がってきたのではなかったか。
ただ、オークスのローブデコルテ、ダービーのウォッカはメンバーの
誰も指名していなかったので、大きな傷にはならなかったようだが。

さて、今年はどの馬を指名するか。
POG用の参考書を積み上げて思案しているうちに、サザエさんの
テーマが聞こえてきた。もう、日曜も終りである。


[2359] ~變忌その他いろいろ 2007年06月09日 (土)

台東区生涯学習センターという、ちょっと塚本邦雄的ではない
公的な施設で~變忌が開催される。

私は坂井修一さん、加藤治郎さんとともに「塚本邦雄作品を語る」
鼎談をさせていただく。
後期の塚本邦雄作品について語りたいという思いは、達成で
きたと思う。
坂井さんは塚本邦雄本人との手紙のやり取りが何度もあった
ということで、歌集『波瀾』に収録されている「花鳥百首」の
背後にある心理的なうごきなど、知られざる事実を語ってくだ
さった。また、加藤治郎さんは、塚本の歌集『歌人』の時代
から読み始めて、岡井隆に支持するという立場から見た塚本邦雄観を
語り、当時の短歌シンポジウムの中で出た「喜劇」というキ
ーワードを提出してくれた。やはり、1980年代の出来事は私が
リアルタイムで知らなかったことなので、塚本邦雄の作品を
理解するために、お二人の発言から、いくつかのヒントをいただく
ことができたように思う。

終了後は大型バスにのって、打ち上げ会場の神楽坂まで移動。
途中、鳥越祭のさなかの鳥越神社の前を通過するという幸運
もあった。

打ち上げは神楽坂の「もきち」を貸切。
塚本青史さん、深森未青さんらと長く話すことができ、やはり、
塚本邦雄作品を読むにあたってのヒントや刺激をもらった。
江畑實、池田裕美子、渡英子さんたちとも久しぶりに歓談。
印象的だったのは、及川隆彦、田村雅之という編集者のお二人が
塚本邦雄に原稿を依頼したり、会などで会ったりしたときは、
とても緊張して、まともに会話などできなかった、というエ
ピソードをそれぞれにお話しになったこと。
1970年代から短歌にかかわっている人にとっては、やはり
塚本邦雄という存在は、他の歌人とはまったくちがって、特別な
ものだということだ。

とりとめもなく思ったのは、塚本邦雄の短歌に対して、シャ
ーロッキアンのように、トリビアな取り組みをしてもいいの
ではないか、ということ。「塚本邦雄人名辞典」や「塚本邦
雄地名辞典」などがつくられれば、作品への理解は、とても
深まるだろうと思う。
菱川善夫氏が『水葬物語』の全歌注解を実現されたように、
他の塚本邦雄の歌集へも、一首一首をきちんと理解するという
姿勢で向かってゆくべきなのだろう。
乱歩みたいに「塚本邦雄蔵書目録」などもぜひつくっていただきたい。


[2358] 木曜日と金曜日 2007年06月08日 (金)

木曜日
会議が午後一から夕方に移ったので、その会議のはずだった
時間に、昨日の会議の議事録をつくる。

会議の後、少し、塚本邦雄の『波瀾』以降の歌集から、気に
なる作品を引用して、ワープロで打つ。

金曜日
今日は会議もなく、実際、何も今日中にやらなければならな
いことはない。
とりあえず、名刺の整理をして、委員会関係者別に分類する。
帰りに豊洲の紀伊国屋書店によるつもりだったが、何となく
疲労感がつのっていたので、まっすぐ帰宅。

いよいよね明日が鼎談である。


[2357] 私の好きな海外ミステリ・ベスト5 2007年06月06日 (5)

リテレール・ブックスの「私の好きな海外ミステリーベスト5
」を拾い読みする。
スーパー・エディター安原顕が1994年につくったムック。
各分野の著名人たちが、それぞれ、好きな海外ミステリーを五作品選定し
何ゆえに、それらの作品を選んだかを、見開き2ページのエッセイに
書いたもの。いかにも、安原顕らしい企画だと思う。

歌人からは塚本邦雄と岡井隆の二人が参加している。
塚本邦雄の方は、「海」に小説を書いているし、『麒麟騎手』に収録されている
寺山修司宛の手紙にも、編集者としての安原顕の名前は書かれている。

塚本邦雄のベスト5は下記のとおり。

1.チェスタトン『木曜の男』
2.ボアロー&ナルスジャック『犠牲者たち』
3.チャンドラー『大いなる眠り』
4.アシモフ『鋼鉄都市』
5.クイーン『Yの悲劇』

堂々たる王道の選択で、アシモフのSFミステリも選択して
いるところが、塚本邦雄の読書の幅の広さを示している。前
記の寺山への手紙の中では、ランジュランの『蠅』やデュ・
モーリアの『破局』を読んだことを書いている。つまり、異色作家
短篇集を買って読んでいたということである。

こういうアンケートとエッセイという企画は、読者にとっては、
簡単に読めて、そのわりに、書き手の嗜好をリアルにあらわす、
興味深いものだ。

ちなみに、私の好きな海外ミステリ・ベスト5

1.アイリッシュ『幻の女』
2.チェスタトン『木曜の男』
3.カー『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』
4.クリスティー『オリエント急行の殺人』
5.エド・マクベイン『殺意の楔』

他愛ない選択で恐縮です。


[2356] 安倍内閣の支持率 2007年06月04日 (月)

フジテレビの昼のニュースで安倍内閣への世論調査の数字が発
表される。支持するは32パーセント、支持しないは49パー
セント。この数字を受けて、夕方、報道委員会が開かれる。
私は傍聴していただけだが、産経新聞とフジテレビの政治部の
幹部がそれぞれの読みを披露してくれる。
さて、参議院選挙の結果はどのようなものになるか。

塚本邦雄短歌に読み疲れ、夜は部屋であれこれと短歌以外の本
を拾い読み。ミステリだけでなく、種村季広や加藤郁乎や、あ
げくのはてに、坂井修一著『現代短歌鑑賞・塚本邦雄』といっ
た本まで、ダブってもっていることが判明。どなたかに、もら
っていただくことにするかもしれない。


[2355] ダイワメジャー 2007年06月03日 (日)

昨日に引き続き一日じゅう家で塚本邦雄の短歌を読み続ける。

安田記念は、私の期待のコンゴウリキシオーが、ゴール前50
メートルでダイワメジャーに首差さされる。
もう一頭の期待馬のディアデラノビアは、直線で一度のびかけ
るが、ゴール前200くらいで、足がとまってしまった。
馬券的にはコンゴウリキシオーの複勝と、コンゴウから3着の
ジョリーダンスへのワイド馬券が的中したので、安田記念だけ
の収支は黒字だったが、他のレースで、ついつい横山騎手に期
待をかけすぎた分、負けというより大負けとなる。


[2354] マンションの長い理事会 2007年06月02日 (土)

昼間はずっと、塚本邦雄の短歌を読み続ける。
夜の7時からマンションの理事会。
これから一年間の理事会とその関連のバス券販売などのスケジ
ュールが出る。
そして、終ったのが10時過ぎ。3時間以上かかったことになる。
これから月一回ずつ、3時間の会議というのもしんどいことだ
が、とかたがない。

帰宅すると、家族が「すべらない話スペシャル」を見ており、
ちょうど、吉本新喜劇の最年少座長である小藪千豊がしゃべっ
ているところだった。内場勝則や辻本茂雄と並んで、座長を張
っている小藪の力量は、松本人志をはじめとする出演者には知
られているが、東京地区の視聴者はぜんぜん知らないだろう。

小藪君のすべらない話は「同じ顔の家族」と「吉本の恥ずかし
さ」というものだった。「吉本の恥ずかしさ」というのは、関
西出身者の吉本的笑いに対する愛憎の本質をついていたように
思い、私は感心した。まあ、感心するべき番組ではないのだが。


[2353] 席題は梅雨とかたつむり 2007年06月01日 (金)

昨日の項に書き忘れたのだが、「高田笑学校」の会場で、歌人
の笹公人さんと石和の馬場さんが一緒にいらっしゃった。挨拶
はしたのだが、このお二人は知り合いだったのだろうか。私は
両氏とも知っているわけで、会場では疑問がわかなかったのだ
が、よく考えると、短歌系統と笑芸系統とそれぞれが別系統の
知り合いなのだった。
そういえば、サザンシアターでは、久しぶりにホーキング青山
氏にも会った。

そして、本日は駄句駄句会。
席題は「梅雨」と「かたつむり」。
自慢になるが、私は「天」を四人の方からいただいてしまった。
どんな句かといえば、

かたつむり辞書に乗せれば辞書を這ひ   媚庵

こういう句であります。

ということで、今日の句会は久しぶりに、吃蟲こと松尾貴史さん
が出席。総勢11人という豪華なものになった。
雑談の中で、吉本興業、島田伸介とそのマネージャー、中田カ
ウス、横山ノックの失脚といったあたりの裏話が聞けたのが収
穫だった。しかし、世の中には報道されない事実がたくさんあ
るということだ。
中田カウスに「笑ろても、ええんやで」といわれても、なかな
か笑えないだろう。

句会終了後、飯田橋駅前の書店「深夜プラス1」で創元推理文
庫の『アーサー・マッケン傑作集1、2』など、文庫本を何冊
か買って帰宅。


[2352] 月曜から木曜へのロンド 2007年05月31日 (木)

タイトルはぜんぜん意味はありません。

月曜日
土日に血圧が高い感じだったので、慶応病院に予約外で診療して
もらいに行こうと思っていたのだが、結果的に行かなくてよかった。
坂井泉水やら松岡農水相やらの事件で、慶応病院はてんやわんや
だったのだろう。ニュースを見ていたら、血圧も下がっていた。

火曜日
ほとんど記憶のない一日。何をしていたのだろう。
一首引用してみようか。

・エンサイクロペディア・ブリタニカ売り払ひ養老院の華と謡はれよ/塚本邦雄『詩歌変』

水曜日
「はじめての短歌」講座が始まる。
今期は男性が多いので驚く。
私が理想とする現代の短歌のありかたについて熱く語る。
帰宅したら、テレビで藤原紀香が作文を読んでいた。

木曜日
「高田笑学校」を見に、新宿の紀伊国屋サザンシアターへ。
出演は、U字工事、松村邦洋、清水ミチコ、岡田圭右、浅草キッド。
ますだ、おかだの岡田圭右がハンドマイクを持つて、舞台を歩
き回りながらの漫談。「咲くやこの花賞」を受賞した時の話な
ども出てくる。このときに、文藝部門で江戸雪さんが一緒に受賞
していたはず。
客席で、私の右隣の席に座っているのが徳光和夫さんだったの
で驚く。昨日の夜、紀香、陣内の結婚式の司会をしていた人が
今、隣にいるという面白さを少し感じる。
雨の中、東京駅へ出て、タクシーを待っていたら、こんどは、
瀬戸内寂聴らしい女性がおつきの人とやってきてね私の後ろに
並んだので、また、驚いた。
帰宅後、寝る前に「SFマガジン」7月号を拾い読み。
「見果てぬ夢」というヒューゴー賞の候補になったという短篇小説を
読んでしまう。「SFマガジン」で小説を読むなんて、十数年
ぶりのことかもしれない。


[2351] マンションの理事会とウオッカ 2007年05月27日 (日)

今年から二年間、マンションの理事ということで、理事会に
出席する。
午前中の十時に始まって、全部の議案が可決されて、散会し
たのが、なんと午後二時半。
がっくりくたびれて帰宅。
ダービーの馬券を買い足すつもりだったが、結果的には買わ
なくてよかった。
私が買ったのは、サンツェッペリンの単複と、この馬からの
流し馬券。
あと、牝馬のウオッカの単複。
払い戻しは、行って来いだった。
サンツェッペリンが三着にねばってくれれば、ウオッカとの
ワイド馬券も持っていたので、かなり儲かったはずなのだ
が、まあ、しかたがない。
ところで、結果としてウオッカの単勝が三番人気だったの
は、安倍明恵が大量にこの牝馬の単勝馬券を買っていた、と
いうことかもしれないし、私のように記念馬券ということ
で、とりあえず、単複を買ったという人が多かったというこ
とだろうか。

ともかく、ガックリと疲れた日曜日であった。


[2350] 門のある家 2007年05月26日 (土)

城昌幸の短篇集を読んでいたら、星新一の傑作「門のある
家」のもとネタではないかとの話にぶつかった。

ちくま文庫の怪奇探偵小説傑作選『城昌幸集』に入っている
「根の無い話」という掌編。文庫本で8ページの物語なのだ
が、全体がさらにABCと三つの掌編で構成されている。そ
のうちのCの話が、星新一の「門のある家」の原型ともいえ
る掌編なのだ。この話自体、文庫の2ページという極掌編な
ので、星新一は換骨奪胎したといっていい。
新一が城昌幸の作品が好きで、かつて牧神社から出た城昌
幸の作品集『のすたるじあ』という本に、丁寧な解説を書い
ているので、この「根の無い話」を読んでいないということ
はありえない。
しかし、くらべて読んでみればわかるが、地域に伝わる簡単
な民話を、完璧な小説の完成形にしあげたということで、星
新一の才能はいっそう輝いている。

ゆきあたりばったりに本を読んでいても、こういう面白い出
来事に出会うことがある。

ということで、ダービーの前哨戦の馬券は不発の土曜日であった。


[2349] 歌壇のパーティへ 2007年05月25日 (金)

寺山修司短歌賞と葛原妙子賞の授賞式に、如水会館へ行く。

葛原妙子賞は酒井祐子さんの歌集『矩形の空』。
寺山修司短歌賞は谷岡亜紀さんの歌集『闇市』。

ひさしぶりに両賞ともに、冠の歌人の名にふさわしい受賞者、
受賞歌集をえたと思う。

パーティでは「短歌人」の方たちをのぞくと、栗木京子さん、
今野寿美さん、さいかち真さん、永田典子さん、加藤英彦さん
たちと、話をすることができた。また、久々湊盈子さんからは
私の歌集『楽園』からの抄出作品のコピーをいただき感激する。
帰りの東西線の駅で、光本恵子さんと一緒になり、途中まで、
一緒に帰る。
午後九時過ぎに帰宅。
競馬新聞を読みながら就寝。


[2348] 古い短歌雑誌から 2007年05月24日 (木)

「短歌研究」1986年8月号に掲載された「現代文化におけ
る短歌の位置」という座談会のコピーを読んだ。
出席者は道浦母都子、田谷鋭、尾崎左永子、仙波龍英の4人。

まだ、俵万智は角川短歌賞を受賞していて、すでにカンチュー
ハイの歌は評判になっているが、まだ、歌集『サラダ記念日』
は出版されていない時期のようだ。
仙波龍英の歌集『私は可愛い三月兎』はすでに前年に上梓されている。

仙波龍英が、時代の特徴として
「情報の異常な多さ」
「テクノロジーの異常な加速化」
「マスコミのファッシヨ化」
「事象の風化の加速」
の4点を挙げている。
これは、26年後の今でも、さらに異常になって、通用する。

「ビックリハウス」のご教訓カレンダーや「ぴあ」の「はみだ
し」などにふれて、次のようにも発言している。

「短歌の方は、そこに文芸的な匂いを薫らせて、あなたは文芸
 に参加しているんですよという気持ちを誘わせる。(中略)
 「ぴあ」の「はみだしYouとぴあ」とか「ビックリハウス」
 とかが楽屋内だけでウケていたように、短歌も楽屋内だけで
 ウケる世界にどんどん移行してゆくと思います。」

もう一つ、こんな発言も。

「僕はたくさんの人に自分の短歌を読んでもらいたいし、歌集
 が十万部も二十万部も売れる世の中になって、印税をはらっ
 てもらい、家を建てて、ゆっくり余生を過ごしたいぐらい
 に考えているんですけれども」
それに対して道浦母都子が
「そうはならないでしょうね、たぶん」と答え、さらに仙波が
「なるわけないですね。それはならない」と応じている。

この発言の翌年がサラダ記念日ブームだと思えば、なんともせ
つないやりとりに思える。

最後に仙波のPARCOの歌にふれた部分。

「このPARCOは明日にでも滅びてしまうだろうと書く人
 がいます。書く人は、あたかも自分の一族郎党がPARCO
 より長生きすると思い込んでいるんでしょうが、日本が滅
 びたって、PARCOは残るかもしれない」

あとだしジャンケン的にふりかえれば、せつないやりとりが
くりかえされているわけだが、その次の年から、今に続く歌壇
の地すべり現象がおこるわけだから、できれはこの時点に立ち
戻って、歌集がベストセラーになったりしない現代短歌史をつ
くりなおしたいと、私は思う。


[2347] 暗号馬券解読 2007年05月23日 (水)

今年のダービーには、皇太子殿下が観覧にこられるとのことで、
サイン馬券派の私としては、枠順発表が楽しみになった。
(フサイチ)法皇とか(ヒラボク)ロイヤルとか、簡単なサイン
ではないと思うのだけれど、先週の混戦オークスの結果が、
女性好みの名前のローブデコルテと一番人気馬の組合せだっ
たので、今年は、案外、簡単な出し方をしてくるのかもしれない。
厳密には、こういうキーワードの馬と同枠の馬が連がらみする
とか、今週のダービー以外のレースに、プリンスとかロイヤル
的な馬名の馬が出ていて、その馬番が勝ったり、ということも
あるので、まあ、今夜、競馬新聞をにらみながら、あれこれと
妄想をめぐらせる楽しみがあるというわけだ。

枠順発表は明日の午後。

とりあえず、暗号とは無関係に、私はサンツェッペリンの単複
は、買います。


[2346] 編集会議その他 2007年05月22日 (火)

「短歌人」の編集会議。
会議場所の東京芸術劇場に行く前に、LIBLOとジュンク堂
によって何冊か本を購入。
ジュンク堂の短歌の棚の前に行くと、穂村弘さんのエッセイ集
などが、何冊も並んでいるわけだが、こういう本は普通の新刊
のエッセイの棚と短歌の棚との両方に置かれているのだろうか。
書店でいかに自分の本の場所を確保するかというのが、著者や
出版社の勝負どころのようだから、歌人という肩書きを名乗り
続ける意味はあるということか。

編集会議は全員出席。
今まで、会員カードと歌誌送付用の封筒とを読み合わせして、
会費のチェックをしていたのだが、今月から名宛カードに会費
の納入済の月が表記されるようになったので、圧倒的に所要時
間がみじかくなる。
誌面の内容は、早くも、9月号以降の執筆者の人選に入る。
もう今年も、前半は終わりに近い。

地下鉄の中で、さっき買った、創元推理文庫の『クルンバーの
謎』の解説を読みながら帰る。
この表題作品は、中学の頃に新潮文庫の白帯に『クルンバの悲
劇』というタイトルで出ていた本を読んでいる。ただし、スト
ーリーにはまったく記憶がない。
解説で面白かったのは、ドイルのこの小説がイギリスで刊行さ
れた翌年に、日本では原抱一庵という人が、翻案して、新聞に
連載したそうなのだが、なんと、前半が「クルンバーの謎」で
後半が「四つの署名」と、ドイルの作品二つを強引に合体させ
てしまったものだったのだそうだ。
そういうことを平気でやってしまった明治という時代に、一度
タイムマシンで行ってみたいと思う。


[2345] 俳句のある人生 2007年05月21日 (月)

不調の一日。
勤務時間中に整形外科に行き、オフィスを30分早上がりして
眼科に行く。

昨日の「犀」の会できいた話。
Oさんは、15歳で夕張炭鉱の坑内労働を始めて、同じ頃に、
俳句もつくり始める。
西東三鬼の「断崖」に投句を続けて、三鬼に毎月20句送って
選句してもらっていたそうだ。そして、その時に◎をつけてく
れた句を、あらためて「断崖」に投句すると、当然のことなが
ら上位に掲載してくれて、三橋敏雄さんよりも上位だったこと
が何回もあったという。
才能がなければ、三鬼も採るわけはないから、Oさんには生ま
れながらに、俳句の才能があったのだろう。
Oさんは現在77歳。現在も毎月20回以上の句会に出て、毎
日、数十句の俳句をつくっているという。
Oさんにとって、俳句は人生の重要なファクターであり、俳句
のある人生を十二分に楽しんでいらっしゃる。
うらやましい人生だと、正直、思う。


[2344] 土曜と日曜のメモ 2007年05月20日 (日)

朝いちばんで眼科に行く。
視力がおちたような気がしていたが、やはり落ちていた。
めがねをつくりなおさなければならない。
午後は一日原稿書き。

日曜日の毎日新聞、高柳克弘氏の俳句月評の文章に感心。


「ある俳人がなぜ忘れられたかということについて
 時間の淘汰という一語で片付けられることがある。
 しかしそれは、過去を知ることに怠慢な人たちの
 言い訳けにすぎない場合が多い。」

私にとってまさに、よく言ってくれたとの思いの文章だ。
高柳氏の広い目配りと洞察力には感心するばかりだ。

午後は俳句同人誌「犀」の創刊25周年記念会に出席。
東京駅近くの八重洲富士屋ホテル。
桑原三郎さんはもちろん、金子弓湖、西村智治、奥山雷火、
岡田一夫、吉田香津代さんらのなつかしい顔ぶれと歓談。
赤尾兜子の俳句の血脈が確かに続いているのを実感する。